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薬漬けの精神科医療を考えるTVドラマ
2015年05月03日(日)
堺雅人さんが精神科医を演じるドラマ「Dr.倫太郎」が始まった。
さらに精神科医の片田珠美先生が、精神科医療の問題に切り込まれている。
なぜか玉置浩二氏も登場するが、歪んだ精神科医療の犠牲者が減って欲しい。
さらに精神科医の片田珠美先生が、精神科医療の問題に切り込まれている。
なぜか玉置浩二氏も登場するが、歪んだ精神科医療の犠牲者が減って欲しい。
【精神科女医のつぶやき】片田珠美(136)玉置浩二さんも苦しんだ…「倫太郎」にはなれない精神科の現状
http://www.sankei.com/west/news/150502/wst1505020051-n2.html
堺雅人さんが精神科医を演じるドラマ「Dr.倫太郎」が始まった。おもしろいが、「一度の診察に50分もかけるのは、実際にはなかなか難しい」という声が同業者の間でちらほら上がっている。なぜか? 採算がとれないからだ。保険診療の場合、厚生労働省が決めた診療報酬が医療行為に対して支払われる仕組みになっており、長時間患者さんの話を聞いたからといってそれに比例して診療報酬が上がるわけではない。保険を適用しない自由診療であれば診療報酬を医師が決められるが、全額自己負担であり、お金持ちの患者さんがそんなにいらっしゃるわけではない。
そのため、採算を度外視するとか、寝ずに働くという覚悟が精神科医になければ、時間のかかる精神療法よりも手っ取り早い薬物療法に比重が傾くことになる。駆け出しのころは、患者さんに寄り添ってじっくり話を聞こうと理想に燃えていたはずなのに、日々の診療に忙殺されていると、どうしても薬物療法中心になりやすい。
ただ、これではいけないと心の底で思っている精神科医は少なくないはずだ。私自身もそうで、歌手の玉置浩二さんの「(精神科病院に入院して)3日で脱走した。だってね、病院入ってるとね、一日中眠らされるんですよ。これ飲みなさいってクスリもらって飲んで、はっと起きると、何日経ったかわからないくらい、16時間ぐらい寝てるんですよ。で、起きるとまたクスリ飲まされる」(志田歩『玉置浩二★幸せになるために生まれてきたんだから』、イースト・プレス)という体験談を読んで、薬漬け医療の弊害をあらためて思い知らされた。
精神科病院では、医師一人当たりの担当患者数が一般病院より多いこともあって、患者さん一人一人の診察にそれほど時間をかけられない。必然的に薬物療法中心になるが、向精神薬は副作用として眠気を伴うことが多く、「一日中眠らされる」と受け止める患者さんが多い。精神科の治療において睡眠は確かに大切だ。だが、入院患者を眠らせておくほうが管理するのが楽だ、という側面があるのは否定できない。
玉置さんの行動は「無断離院」としてカルテに記載されたのかもしれないが、それがあったからこそ、あの名曲「田園」が生まれたのではないか。私自身、「死にたい」と訴える患者さんを前にすると、生きていくことへの希望を歌った「田園」の歌詞を口ずさみたくなるのである。
http://www.sankei.com/west/news/150502/wst1505020051-n2.html
堺雅人さんが精神科医を演じるドラマ「Dr.倫太郎」が始まった。おもしろいが、「一度の診察に50分もかけるのは、実際にはなかなか難しい」という声が同業者の間でちらほら上がっている。なぜか? 採算がとれないからだ。保険診療の場合、厚生労働省が決めた診療報酬が医療行為に対して支払われる仕組みになっており、長時間患者さんの話を聞いたからといってそれに比例して診療報酬が上がるわけではない。保険を適用しない自由診療であれば診療報酬を医師が決められるが、全額自己負担であり、お金持ちの患者さんがそんなにいらっしゃるわけではない。
そのため、採算を度外視するとか、寝ずに働くという覚悟が精神科医になければ、時間のかかる精神療法よりも手っ取り早い薬物療法に比重が傾くことになる。駆け出しのころは、患者さんに寄り添ってじっくり話を聞こうと理想に燃えていたはずなのに、日々の診療に忙殺されていると、どうしても薬物療法中心になりやすい。
ただ、これではいけないと心の底で思っている精神科医は少なくないはずだ。私自身もそうで、歌手の玉置浩二さんの「(精神科病院に入院して)3日で脱走した。だってね、病院入ってるとね、一日中眠らされるんですよ。これ飲みなさいってクスリもらって飲んで、はっと起きると、何日経ったかわからないくらい、16時間ぐらい寝てるんですよ。で、起きるとまたクスリ飲まされる」(志田歩『玉置浩二★幸せになるために生まれてきたんだから』、イースト・プレス)という体験談を読んで、薬漬け医療の弊害をあらためて思い知らされた。
精神科病院では、医師一人当たりの担当患者数が一般病院より多いこともあって、患者さん一人一人の診察にそれほど時間をかけられない。必然的に薬物療法中心になるが、向精神薬は副作用として眠気を伴うことが多く、「一日中眠らされる」と受け止める患者さんが多い。精神科の治療において睡眠は確かに大切だ。だが、入院患者を眠らせておくほうが管理するのが楽だ、という側面があるのは否定できない。
玉置さんの行動は「無断離院」としてカルテに記載されたのかもしれないが、それがあったからこそ、あの名曲「田園」が生まれたのではないか。私自身、「死にたい」と訴える患者さんを前にすると、生きていくことへの希望を歌った「田園」の歌詞を口ずさみたくなるのである。
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この記事へのコメント
精神科治療って、救急病院みたいな保険治療とは枠が違うような気がします。
「病の語り~慢性の病いをめぐる臨床人類学」に著者、アーサークラインマンを読みますと、一時間とか決めて現金治療をしているような感じがします。
アメリカは全てを保険治療にはしていないのが前提ですから、精神科には良かったのかも知れません。
でも、現金治療にすると、患者の懐具合も違うし、治癒するまでの期間も様々ですし、一体いくらもらえば良いのか頭が痛くなります。
Posted by にゃんにゃん at 2015年05月04日 12:37 | 返信
精神科を受診する前に、本人の症状が、「医者」が行う「治療」によって改善するものなのか、「医療」が必要なのか否かを、まず考えてみるべきではないか。
本人の心身が耐え切れなくなって悲鳴をあげている環境を変えずに、薬を飲ませて一時的に元気にしたりおとなしくさせたりを繰り返したところで、悪化しても改善はしない。
ず~っと、死ぬまで薬漬けになるだけだ。
本人の話を「傾聴」すれば、本人は「聞いてくれる人がいた」と思って少しスッキリするかもしれないが、自分を取り巻く混沌世界へ戻って正常を保ちながら生き抜けるチカラにはならない。
問題は、生活環境や人間関係、職場環境、教育システムにあるのではないか。
こういった環境を、皆が生きやすいように変えるのはものすごくたいへんな作業である。
強者は、自分たちに都合よく作り上げた社会システムを変えようとはしない。
リストラ恐怖、学校や職場でのいじめ、児童虐待、家庭内暴力、デートDV、介護うつ・・・
均等な価値観の押し付け。みんなと同じにならなければ、という圧迫。
「治療」すべきは社会環境・生活環境であるにもかかわらず、
「強者のための社会構造」が作り出した被害者を、薬漬けにして「病人」として隔離する、
それが精神医療なのだ。
精神医療だけでないのかも。
「医療」って、本質的に「みんな元気で一生懸命働いて優秀な子孫を残して国家繁栄」のための道具(だった)のだ。
だから「どんなに苦しくても健康体になるために病と闘うのが美しい」だから、患者の苦痛や人権を無視して「最先端の医療を施し死ぬまで抗癌剤」を当然と考える医者が出来上がるのだ。
Posted by komachi at 2015年05月04日 04:32 | 返信
komachiさんの意見は、正論ですね。自殺するのは、失った恋人が戻らないから、職場に戻れないから、学校に戻れないから自殺するのですから、薬で治すと言っても限界があるでしょうね。
均等な価値観に押し付けって凄いですね。
私も自治会のハロウインの行事に積極的に参加しないと言って叱られました。
結婚しても、子供さんのなかなかできない主婦にまで「あんた、なんでハロウインに参加しないの!」と強要して、「あ、回覧板見てなかった」と答えると、今度は私に「あんた!回覧板回してないでしょ!」と矛先が、こっちに来る始末です。
「子供子供」て、野良猫がいっぱい産んでくれるのでうんざりしてますけど(笑)。
年寄りが「若い人に自治会に入って欲しい」と、言うので困っています。若い人達は、ローンに追われて共稼ぎで自治会どころではないのです。自治会を、若返らせたいのだったら、年寄りが静かにしてほしいものです。
Posted by にゃんにゃん at 2015年05月05日 04:28 | 返信
思い出したのですけど、祖父は、商業高校は、卒業したのですけど、その後学校の入試に失敗して、ノイローゼになったそうです。そこで両親が、あわててお猿の様な祖母と結婚させたので、ノイローゼが治ったそうです。学校入試に失敗したことのストレスは祖母と結婚する事である程度解消されたのでしょう。それで全部解消されたわけでは無かったのか、息子を三人その学校に入れて祖父のストレスは、解消されたように見えました。でも神経質な祖父の性格は、太平洋戦争で貿易がさっぱりできず、収入が途絶えて、おまけに神戸の大空襲で借りていた貿易会社のビルが火災に会い、金庫をうっかり開けてしまって中の書類を全部灰にしてしまってから、又うつ病と脳梗塞を発症、最後は戦後に、アルツハイマーと阪大で診断されました。祖父は一人っ子でしたし、実の母親も若くして他界していました。
とにかく学校入試に失敗しても、60歳代までは生きていました。
望むものが手に入らなくても、心の持ち方も影響するのではないでしょうか?
Posted by にゃんにゃん at 2015年05月05日 03:19 | 返信
なんでも 病名をつけたがる…
患者さんもご家族も お医者さまも…
病名がついて 適当(?)に 薬が出て 疑わずに飲んで…安心する
やっぱり ヘン〜です
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年05月05日 11:58 | 返信
宮さま、ご自分のお話をして下さい。
訪問看護をなさっていらっしゃるのなら、訪問看護のお仕事の中に、喜びや苦しみや、うれしい事などおありでしょう。
他人の申し上げる事に、攻撃ばかり下さったら、誰もコメントしなくなります。
私は、私の祖父が昔,阪大で「アルツハイマー」と診断されたと事実を申し上げているだけです。
宮さまにに診断、治療をして下さいとはお願いしては、おりません。
このブログには皆さま、ご自分の事をお話下さることが多くて、他人の攻撃をする人は、僅かだと思います。
私の申し上げていることがおかしければ、長尾ブログなのですから長尾先生からご批判があると思います。
Posted by にゃんにゃん at 2015年05月07日 11:54 | 返信
5/3当初から、このトピックに関心があり考えていましたら、komachiさんからのコメントが
ドンピシャリ!我が意を得たり!いや、それ以上に図星を突いていらしたので、後追いしないでいました。
komachiさん'sコメント引用
>問題は、生活環境や人間関係、職場環境、教育システムにあるのではないか。
>こういった環境を、皆が生きやすいように変えるのはものすごくたいへんな作業である。
>強者は、自分たちに都合よく作り上げた社会システムを変えようとはしない。
これが核心であると思いました。精神科医療のみならず、社会問題の根源は皆そこにあるといっても過言ではないと思います。
人生の後半戦にあって、『このままではいけない!日本は沈没してしまう!』と内心で燻り続けています。思い切りぶちまけてハッキリ、スッキリしたいけれど、何せインターネットです。用心もしなければいけません。組織に属していれば、書き込み行為も難アリですし、福祉的な立場で人様をお預かりする立場であると、些細なエピソードに尾ひれがついてしまう恐れも心配しています。
ですが、正義感の塊、いや鏡でいらっしゃる長尾先生の言葉をお借りして、便乗してますが、何かのタイミングで、自分自身でも変革の一助にお役立ちできる日が来るように、とブログから学ぶ日々です。
長尾先生、いつも、ありがとうございます。
Posted by もも at 2015年05月09日 12:13 | 返信
同じ思いの方々が、いつか、つながりますように。
他力本願ではいけないとわかっていますが、
私だけでなく皆さん、ご自身の、ご家族の、けして軽くはない事情を抱えておられると思います。
まずは身近な会話の中で、きっかけがあれば、それとなく「あんまり薬に頼らない方がいいのかも。」等々から・・・。
しかし、医者を信用し切っている人、「お医者様のおっしゃるとおりにお薬を飲まないとイケナイでしょ!!」なんて言う人、こういう人はホントに難しい。
効果あるのはやっぱり長尾先生の「有名なお友達(???)」が書いてる「医療否定本」かな・・・「ああ、あの人ね」と、話のきっかけができます。
長尾先生ご本人が、もっと頻繁にマスコミに露出してくだされば話しやすくなるのですが。
でもこの前、「平穏死 10の条件」を知り合いに貸した時、本の帯の写真を見て、「あ、この人、この前テレビで見たよ」と言ってました。
Posted by komachi at 2015年05月09日 03:38 | 返信
薬は必ずしも人を救わない。
しかし、患者以外の人間に関しては救ってしまう。
それは時にもっと患者を不幸にする。
抗精神病薬を服用している当事者さんのブログこんな文が載っていました。
うちの娘も閉鎖病棟で脱走しようとするので拘束され、薬を増やされ、廃人のようになってしまいました。今も意志の疎通が難しいです。
はっきり言って犯罪ですが、こういうことが全国いたるところで行われています。被害者は訴えることもできず、泣き寝入りです。
早急に、薬物投与の問題を改善をして欲しいです。
大量投与の問題はもちろん、誤診も多く、薬剤過敏で薬に対して弱い人への考慮もない、子供も大人と同じように治療する、患者は薬が合うまで試されるモルモット。野蛮な治療を続ける精神医療。
治療に必要なのは安心して休める居場所の確保と時間薬。そして患者にたいする適切な対応。
回復した後に必要なのは、生涯を通じて医療チームから投薬治療主体ではないサポートを受けられる体制作り。当事者に対する社会的なバックアップ、などではないかと思います。
国のお金でやってほしいと思います。
きちんとしたサポート体制を整え、患者が薬を飲まなくなれば社会復帰率も上がり、障害年金や生活保護、作業所やデイケアなどに回すお金も減り、結婚する人も増えて少子化対策にもなり、結局は国の為にもなると思いますよ。
精神薬は一時的に症状を抑えても、かえって病気の治りを悪くし、人を弱くしますから。風邪薬と同じで、症状を抑えても結局は人間の治癒力を邪魔するだけ。
精神薬、一見患者を救うモノ、実は周りの人が楽するためのモノ、でもほんとうは回り回ってみんなの首を絞めていくものなのではないでしょうか。
Posted by 紘子 at 2015年05月17日 09:09 | 返信
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