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車谷長吉氏の死を悼む

2015年05月19日(火)

作家の車谷長吉氏が亡くなられた。
私は彼の作品が大好きだ。
赤目四十八滝心中未遂事件は阪神出屋敷駅から始まる。
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たしかこの小説の舞台は、私のクリニック周辺。
阪神出屋敷駅と国道2号線の間の空気が描かれている。

カビの匂いがしてきそうなアパートの描写が忘れられない。
そんなアパートでの生と死に毎日、寄り添う身だ。

彼の作品の主人公も彼自身も常に愚直である。
勝手に自分に勝手に重ね合わせては感動してきた。

渡辺淳一氏とは対極の、ネクラの世界。
そこが車谷さんの魅力だった。

しかしもうレジェンドになってしまった。
いつか彼の作品三昧をしたい。

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車谷長吉さんが亡くなられた。「最後の文士」と申し上げてもいいのではないか。残念ながらお目にかかる機会はなかった。こういう時に編集者を辞めたことを悔やむ。編集者であれば「作品のお願い」で押しかけることもできる。しかしバッタ物書きと直木賞作家ではお目にかかる機会はない。
 <直木賞作家の車谷長吉さんが死去>
 http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150518-OYT1T50121.html
 <兵庫県生まれ。広告代理店勤務後、料理屋の下働きなどをしながら関西各地を転々とし、47歳で刊行した「塩壺(しおつぼ)の匙さじ」で三島由紀夫賞などを受賞。2度の芥川賞候補の後、1998年、人間に絶望した男女の究極の愛を描く「赤目四十八瀧心中未遂」が直木賞に選ばれ、2003年に映画化された。同作品は伊藤整文学賞にも決まったが、伊藤整とは文学観が違うと受賞を辞退、「反時代的毒虫」と自称するなど、一徹さでも知られた。2001年、「武蔵丸」で川端康成文学賞。>
 同時代に生きた方として、私がもっとも憧れた作家のおひとりであった。それは「私には絶対にできない」からでもある。「ああ、こういう文章極道に堕ちてみたい」と思った。先生を尊敬するからこそ敢えて「堕ちる」と言っている。カッコいい。凄い。いま、しょうもない病気などに絡め捕られていると、先にそちらに行けば良かったのかなとも思う。どうせ人は死ぬんだし。
 車谷さんの名前はそんなには広く知られていないかも知れない。ぜひ、一冊、読んで欲しい。そうすればご存命の時に読んで、その人柄に接するような記事でも何でも見たかったなあと思ってもらえるかも知れない。先生、69歳かあ。私も60歳を過ぎるともう一切の外界との接触を絶って、軽井沢で何か書けるのであれば書くかなあ。死後1カ月ほどたって発見されるのである。冬だと充分に、人に迷惑をかけないほどには冷凍されている。おっと、暖房を切っておかなくては。
 

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この記事へのコメント

映画の「赤目四十八滝心中未遂」では、寺島しのぶと大西なんとかが天王寺動物園を早足で歩きまわるシーンがあって、私は幼少時に大阪を出たので知らないのですが、天王寺動物園の隣の一心寺に、母の遺骨を納めに行った時、今度ゆっくり来よう、と思いつつ、まだ行けてません。
先生は、一心寺、ご存知ですか。
大阪庶民のよりどころ、ウチはみな、一心寺の骨仏さんになってます。
ウチも、近所の人も、お墓の無い人が、墓を作らず、骨を一心寺へ納めると、10年に一度だったか20年に一度だったか、その溜まった骨を溶かして海藻などを混ぜて仏様を作るのです。
年代別に骨仏さんが並んでいるので、ああ、この仏さんにおばあちゃんが入っている、と、わかります。
母の骨仏さんはまだ何年か先です。父が、同じ骨仏さんに入るのるかな、なんて思ってましたけど、たぶん次になる感じです。
知らない人も、いがみ合っていた人も、みんなごちゃまぜ。
関東人に話すと、そんなの嫌だという人が多いです。
死んだらそれまで。
大阪人の現実主義。

Posted by komachi at 2015年05月21日 12:10 | 返信

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