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朝日新聞も多剤投与を報道しはじめた
2015年05月26日(火)
このブログでも何度も指摘しているように、→こちら
多剤投与の根は深く、複合的なので解決は相当に難しい。
マスコミの方からも問い合わせをよく頂くが、少し報道しても
本質に踏み込まないとほとんど意味が無いと思う。
少なくとも
ジェネリック問題よりも多剤投与のほうが先
であることだけでも強調しておきたい。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
薬漬け、処方されるまま 13種飲み副作用…86歳救急搬送
医師同士、情報共有せずhttp://digital.asahi.com/articles/ASH5R0578H5QUUPI007.html
2015年5月25日(月)配信朝日新聞
医師が処方した多くの薬を患者が飲み続けた結果、具合が悪くなって救急搬
送される例が後を絶たない。薬の情報が、医師同士や薬剤師の間で共有されず、
重複したり、飲み合わせが悪くなったりするからだ。厚生労働省は患者が飲む
薬を一元的に管理する「かかりつけ薬局」の普及を進めるが、課題も多い。
水戸協同病院(水戸市)の救急外来には、薬の副作用で体調を崩した患者が
多く運ばれてくる。特にお年寄りが多い。
同病院に今春まで勤めていた阿部智一医師らが、2013年末までの9カ月
間に運ばれてきた85歳以上の高齢者381人を調べたところ、7%が薬の副
作用が原因だったという。服薬していた高齢者の7割が5種類以上飲んでおり、
最も多い人で22種類飲んでいた。
めまいや嘔吐(おうと)などの症状で運び込まれてきた女性(86)は、1
3種類の薬を飲んでいた。そのうち、高血圧薬や利尿薬による副作用が原因と
みられた。尿が出なくなったという男性(87)は、不整脈を防ぐ薬の副作用
が原因とみられ、12種類の薬を飲んでいた。
阿部医師は「多くの病気を抱える高齢者は複数の診療科にかかるため、薬が
増えやすい。体全体の機能が衰えており、薬の影響が強く出る。体の状態に応
じ、常に薬の種類や量を見直す必要がある」と話す。
兵庫県の30代男性は片頭痛、糖尿病、痛風、高血圧、肥満などの治療で四
つの医療機関に通っている。3月、もらった処方箋(せん)を近所の薬局に出
したところ、計36種類の薬を渡された。
精神安定剤、食欲抑制剤、睡眠剤、抗不安薬、痛風治療薬、胃薬……。「効
き目がない」と医師が処方をやめたはずの食欲抑制剤が、別の医療機関の医師
によって処方されていた。
薬剤師は薬が多すぎると思ったが、「一度体重を測ってみませんか」と助言
することしかできなかった。
薬剤師は「お薬手帳」で、患者がどんな薬を飲んでいるか把握する。手帳の
記録から、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばないことが多い。
不要な薬の整理に取り組む薬剤師の福井繁雄さんは「医療機関に問い合わせ
てもすぐに返事がもらえないこともある。患者を待たせないため、処方箋通り
に薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い」と話す。
在宅患者らの減薬に取り組んでいる、長尾クリニック(兵庫県尼崎市)の長
尾和宏院長は「ほかの医師の処方に口を出しづらい。『処方を勝手に変えない
で』と、別の病院の専門医から苦情が来ることも珍しくない。患者の薬をまと
めて整理する主治医が必要だ」と話す。
心臓病、糖尿病、認知症などを抱える、尼崎市の松田弘さん(82)は以前
20種類の薬を飲んでいた。長尾さんが主治医となり、治療に必要な薬の優先
度を見極めた結果、今は12種類まで減らすことができた。介護する長男充弘
さん(57)は「薬を減らしても状態は変わらずに落ち着いている」と話す。
■薬剤師が調整役、限界
厚労省は、患者が不必要に多くの薬を飲む事態を引き起こす要因の一つが、
医療機関の前に立ち並ぶ「門前薬局」にあるとみる。患者が複数の病院で診療
を受け、それぞれの門前薬局を利用すると患者のすべての服薬状況を把握でき
ない。
問題を解決するため、厚労省は患者がなじみの薬剤師をもつ「かかりつけ薬
局」の普及を進めている。薬剤師が患者の服薬情報を一元管理して不必要な薬
を減らせるよう、厚労省は来年度の診療報酬改定に向けて検討を進めている。
いくつも病気を抱える高齢者が複数の医療機関にかかって重複する薬が処方
されても、かかりつけ薬局なら、重複をチェックできる。患者宅を訪ねて、薬
の副作用や飲み残しがないかを確認する役割も求める。
だが、地域医療機能推進機構顧問で、総合診療医の徳田安春さんは「医師と
薬剤師が十分情報共有しない現状で、薬剤師だけに薬の調整役を担わせるには
無理がある」と指摘する。
医師が出す院外処方箋には通常病名は書かれておらず、薬剤師は薬から推測
したり患者に聞いたりするしかない。情報がないのに薬剤師から医師に薬を減
らすよう求めることは難しい。
徳田さんは「医師同士が連絡を取り、必要なら処方の内容を変えるのが本来
の姿。だが、薬を減らす訓練を受けていない医師が多く、教育が欠かせない」
と話す。
(錦光山雅子、田内康介)
多剤投与の根は深く、複合的なので解決は相当に難しい。
マスコミの方からも問い合わせをよく頂くが、少し報道しても
本質に踏み込まないとほとんど意味が無いと思う。
少なくとも
ジェネリック問題よりも多剤投与のほうが先
であることだけでも強調しておきたい。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
薬漬け、処方されるまま 13種飲み副作用…86歳救急搬送
医師同士、情報共有せずhttp://digital.asahi.com/articles/ASH5R0578H5QUUPI007.html
2015年5月25日(月)配信朝日新聞
医師が処方した多くの薬を患者が飲み続けた結果、具合が悪くなって救急搬
送される例が後を絶たない。薬の情報が、医師同士や薬剤師の間で共有されず、
重複したり、飲み合わせが悪くなったりするからだ。厚生労働省は患者が飲む
薬を一元的に管理する「かかりつけ薬局」の普及を進めるが、課題も多い。
水戸協同病院(水戸市)の救急外来には、薬の副作用で体調を崩した患者が
多く運ばれてくる。特にお年寄りが多い。
同病院に今春まで勤めていた阿部智一医師らが、2013年末までの9カ月
間に運ばれてきた85歳以上の高齢者381人を調べたところ、7%が薬の副
作用が原因だったという。服薬していた高齢者の7割が5種類以上飲んでおり、
最も多い人で22種類飲んでいた。
めまいや嘔吐(おうと)などの症状で運び込まれてきた女性(86)は、1
3種類の薬を飲んでいた。そのうち、高血圧薬や利尿薬による副作用が原因と
みられた。尿が出なくなったという男性(87)は、不整脈を防ぐ薬の副作用
が原因とみられ、12種類の薬を飲んでいた。
阿部医師は「多くの病気を抱える高齢者は複数の診療科にかかるため、薬が
増えやすい。体全体の機能が衰えており、薬の影響が強く出る。体の状態に応
じ、常に薬の種類や量を見直す必要がある」と話す。
兵庫県の30代男性は片頭痛、糖尿病、痛風、高血圧、肥満などの治療で四
つの医療機関に通っている。3月、もらった処方箋(せん)を近所の薬局に出
したところ、計36種類の薬を渡された。
精神安定剤、食欲抑制剤、睡眠剤、抗不安薬、痛風治療薬、胃薬……。「効
き目がない」と医師が処方をやめたはずの食欲抑制剤が、別の医療機関の医師
によって処方されていた。
薬剤師は薬が多すぎると思ったが、「一度体重を測ってみませんか」と助言
することしかできなかった。
薬剤師は「お薬手帳」で、患者がどんな薬を飲んでいるか把握する。手帳の
記録から、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばないことが多い。
不要な薬の整理に取り組む薬剤師の福井繁雄さんは「医療機関に問い合わせ
てもすぐに返事がもらえないこともある。患者を待たせないため、処方箋通り
に薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い」と話す。
在宅患者らの減薬に取り組んでいる、長尾クリニック(兵庫県尼崎市)の長
尾和宏院長は「ほかの医師の処方に口を出しづらい。『処方を勝手に変えない
で』と、別の病院の専門医から苦情が来ることも珍しくない。患者の薬をまと
めて整理する主治医が必要だ」と話す。
心臓病、糖尿病、認知症などを抱える、尼崎市の松田弘さん(82)は以前
20種類の薬を飲んでいた。長尾さんが主治医となり、治療に必要な薬の優先
度を見極めた結果、今は12種類まで減らすことができた。介護する長男充弘
さん(57)は「薬を減らしても状態は変わらずに落ち着いている」と話す。
■薬剤師が調整役、限界
厚労省は、患者が不必要に多くの薬を飲む事態を引き起こす要因の一つが、
医療機関の前に立ち並ぶ「門前薬局」にあるとみる。患者が複数の病院で診療
を受け、それぞれの門前薬局を利用すると患者のすべての服薬状況を把握でき
ない。
問題を解決するため、厚労省は患者がなじみの薬剤師をもつ「かかりつけ薬
局」の普及を進めている。薬剤師が患者の服薬情報を一元管理して不必要な薬
を減らせるよう、厚労省は来年度の診療報酬改定に向けて検討を進めている。
いくつも病気を抱える高齢者が複数の医療機関にかかって重複する薬が処方
されても、かかりつけ薬局なら、重複をチェックできる。患者宅を訪ねて、薬
の副作用や飲み残しがないかを確認する役割も求める。
だが、地域医療機能推進機構顧問で、総合診療医の徳田安春さんは「医師と
薬剤師が十分情報共有しない現状で、薬剤師だけに薬の調整役を担わせるには
無理がある」と指摘する。
医師が出す院外処方箋には通常病名は書かれておらず、薬剤師は薬から推測
したり患者に聞いたりするしかない。情報がないのに薬剤師から医師に薬を減
らすよう求めることは難しい。
徳田さんは「医師同士が連絡を取り、必要なら処方の内容を変えるのが本来
の姿。だが、薬を減らす訓練を受けていない医師が多く、教育が欠かせない」
と話す。
(錦光山雅子、田内康介)
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