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介護報酬減額の余波
2015年05月26日(火)
介護職員が絶対的に不足している!
介護研修も絶対的に不足している!
平穏死研修も
エンドオブライフ研修も夢の夢か・・・
とにかく、猫も杓子も「バイタルサイン」
こんな介護に誰がした!
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
医療タイムス5月号 介護施設報酬減額の余波 長尾和宏
今春の介護報酬改定は介護事業者のみならず、在宅医療に関わる町医者にも少なからず影響を与えている。
町医者にも、グループホームやサ高住や小規模多機能などから在宅主治医を依頼されることが増えてきた。定期的に訪問して感じることは、介護職員の不足だ。人数が足りないだけではなく、入れ替わりが激しい。行く毎に職員の顔が変わっている。そして無資格の素人が当直をしているので、介護現場は大変なことになっている。
まずは身体抑制の増加だ。「抑制は良くない」という知識すらないと思える素人が抑制を行っている。もちろん良くないことを話すが、知識が無いためか理解ができない。「家族に承諾書を取っています」と言い訳するがそんな問題ではない。移動という尊厳、という基本概念が介護教育の中に無いのか、人間を閉じ込めたり縛ったりすることに抵抗を感じない介護者がいる。ユマニチュードやパーソンセンタードケアについて聞くが、なんのことか分からないという。どこから教えたらいいのか分からない、という現状だ。もっとも営利企業の上層部にもそうした理解が無いこともあり、問題の根は深い。
介護施設での看取りが謳われているが、看取りまでの様々な変化を受け止められない介護スタッフが増加している。熱が出た、食べられない、苦しそうだという電話が頻回にかかってきて往診要請が増加している。特に夜間は、素人のスタッフが診ている場合は、不安で不安でたまらないようだ。「私の不安を取るためにとにかく来てください」と過換気症候群に陥った当直職員が深夜に電話を何回もかけてくるのでこちらは眠れない。介護報酬減額の余波が、在宅医の疲弊につながらないかを危惧している。
地元で「医療と介護の連携の会(尼から連携の会)」なるものを定期的に開催しているが、肝心の新米介護スタッフがそこに来る余裕は無い。また来たとしても、看取りまでの様々な知識を理解するには、たった1時間や2時間では到底無理だ。「エンドオブライフ・ケアの大半がスピリチュアルケアにある」と考えるが、そうしたちゃんとした教育を誰がどこで行うのか、いい答えは無い。地域包括ケアの掛け声はいいのだが、肝心の各論を身につけるための方策が圧倒的に不足している。実は、これは介護職に限った話ではない。医師や看護師の中でも、患者さんの心の叫び、死への恐怖を受け止められないスタッフが増えている。患者さんの思いと食い違うと医療不信に、介護では虐待になってしまう。
緩和ケアという概念は30年前からあるが、四半世紀以上経っても充分に普及していない。がんと診断された時からの緩和ケア、そしてがん以外のすべての病で苦しむ人のための緩和ケア、緩和ケア病棟以外の特に在宅における緩和ケアという言葉はあるが、実態としてはまだまだ貧弱である。早急に本格的な教育体制の整備が望まれる。
おりしも、めぐみ在宅クリニックの小澤竹俊先生や北里大学の小野沢滋先生たちが発起人となり「一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会」が設立された。2025年問題に対応できる現場スタッフの養成が目的である。一人でも多くの医療・介護者が具体的・実践的なエンドオブライフ・ケア研修を受け、スキルアップすることを願っている。
介護研修も絶対的に不足している!
平穏死研修も
エンドオブライフ研修も夢の夢か・・・
とにかく、猫も杓子も「バイタルサイン」
こんな介護に誰がした!
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医療タイムス5月号 介護施設報酬減額の余波 長尾和宏
今春の介護報酬改定は介護事業者のみならず、在宅医療に関わる町医者にも少なからず影響を与えている。
町医者にも、グループホームやサ高住や小規模多機能などから在宅主治医を依頼されることが増えてきた。定期的に訪問して感じることは、介護職員の不足だ。人数が足りないだけではなく、入れ替わりが激しい。行く毎に職員の顔が変わっている。そして無資格の素人が当直をしているので、介護現場は大変なことになっている。
まずは身体抑制の増加だ。「抑制は良くない」という知識すらないと思える素人が抑制を行っている。もちろん良くないことを話すが、知識が無いためか理解ができない。「家族に承諾書を取っています」と言い訳するがそんな問題ではない。移動という尊厳、という基本概念が介護教育の中に無いのか、人間を閉じ込めたり縛ったりすることに抵抗を感じない介護者がいる。ユマニチュードやパーソンセンタードケアについて聞くが、なんのことか分からないという。どこから教えたらいいのか分からない、という現状だ。もっとも営利企業の上層部にもそうした理解が無いこともあり、問題の根は深い。
介護施設での看取りが謳われているが、看取りまでの様々な変化を受け止められない介護スタッフが増加している。熱が出た、食べられない、苦しそうだという電話が頻回にかかってきて往診要請が増加している。特に夜間は、素人のスタッフが診ている場合は、不安で不安でたまらないようだ。「私の不安を取るためにとにかく来てください」と過換気症候群に陥った当直職員が深夜に電話を何回もかけてくるのでこちらは眠れない。介護報酬減額の余波が、在宅医の疲弊につながらないかを危惧している。
地元で「医療と介護の連携の会(尼から連携の会)」なるものを定期的に開催しているが、肝心の新米介護スタッフがそこに来る余裕は無い。また来たとしても、看取りまでの様々な知識を理解するには、たった1時間や2時間では到底無理だ。「エンドオブライフ・ケアの大半がスピリチュアルケアにある」と考えるが、そうしたちゃんとした教育を誰がどこで行うのか、いい答えは無い。地域包括ケアの掛け声はいいのだが、肝心の各論を身につけるための方策が圧倒的に不足している。実は、これは介護職に限った話ではない。医師や看護師の中でも、患者さんの心の叫び、死への恐怖を受け止められないスタッフが増えている。患者さんの思いと食い違うと医療不信に、介護では虐待になってしまう。
緩和ケアという概念は30年前からあるが、四半世紀以上経っても充分に普及していない。がんと診断された時からの緩和ケア、そしてがん以外のすべての病で苦しむ人のための緩和ケア、緩和ケア病棟以外の特に在宅における緩和ケアという言葉はあるが、実態としてはまだまだ貧弱である。早急に本格的な教育体制の整備が望まれる。
おりしも、めぐみ在宅クリニックの小澤竹俊先生や北里大学の小野沢滋先生たちが発起人となり「一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会」が設立された。2025年問題に対応できる現場スタッフの養成が目的である。一人でも多くの医療・介護者が具体的・実践的なエンドオブライフ・ケア研修を受け、スキルアップすることを願っている。
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この記事へのコメント
素人=悪い、プロ=良いのでしょうか?
プロでも悪い、素人でも良い介護をしている人もいますので。
むしろポンコツなプロもいますから。
Posted by 社会福祉士河本健二 at 2015年05月26日 10:21 | 返信
本日はありがとうございました
Posted by 尾崎 友宏 at 2015年05月26日 10:44 | 返信
やっぱり 最後は人ですよね…
自分にとって いい方に縁したいですね
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年05月26日 11:33 | 返信
長尾先生お忙しい中、有益な情報をありがとうございます。
家族よボケと闘うなを買いました。
ゆっくり読みたいと思います。
長尾先生にお勧めの本があります。
大井玄「ボケたカントに理性はあるか」新潮新書です。
認知症高齢者に胃ろうを拒否する倫理的主体性はあるのかを論じた内容です、僕は一日で読み脱帽でした。是非!!
Posted by 介護士 しゅとう at 2015年05月28日 10:31 | 返信
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