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歩くことの効用

2015年07月12日(日)

昨日の産経新聞の連載は、歩くことについて書いた。
毎日1時間歩いている人は、医者要らずになっていく。
書いた割には自分は全然歩けてないので、少しは歩こうと思う。
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産経新聞・平成養生訓第6回  「長尾版・平成養生訓」
                毎日1時間歩くだけで医者・薬要らず
 
 私の理想の医療とは薬をまったく使わず、食事と運動だけで病気を治すことです。医学生時代にそんな旨の文章を書いて35年経ちますが、現実は理想と逆方向に向いています。日本人は医者も患者も薬好き。そんな流れに逆えないでいる今日、本当に情けない思いで処方箋を書いています。貝原益軒は、300年前に薬を使わない養生法を説き85歳まで生涯現役で生を謳歌しました。益軒というとどこか禁欲的なイメージがつきまといますが、「養生訓」を読むと、たとえば性欲に関しても無理な我慢はかえって体に悪いと欲望を否定せず前向きに解放しています。ただし欲望に任せて快を貪れば、食も性も健康を害すると説いています。すなわち、禁欲も有害、行き過ぎも有害で、なんでも腹八分目くらいがちょうどいいと。庶民的な視点で「中庸」のライフスタイルを説いたのです。そんな養生訓に書かれていないことがひとつあります。それは歩行などの運動に関する項目です。江戸時代には歩くしか移動の手段が無かったので敢えて歩く効用など説く必要など無かったのでしょう。そこで今日は普段診察室で繰り返し説いている歩くことの効用を書いてみます。以下、独断と偏見に満ちた「長尾版・平成養生訓」を読み流して頂ければ幸いです。

 私は現代病の大半は歩かないことが原因だと秘かに思っています。糖尿病、高血圧などの生活習慣病は歩くほどに改善し、薬が減りやがてゼロになる人が沢山います。大きな課題である認知症予防に関しては計算をしながら毎日1時間歩くことで改善するという論文が日本から世界に発信されています。ストレス社会で増えているうつ病も、毎日歩くだけで改善して薬無し過ごせるようになります。また国民病ともいわれている不眠症も、毎日1時間以上歩くだけで解決します。最近、増加が著しい逆流性食道炎や便秘症など消化器の機能性障害も、歩くほどに一挙に改善します。

  毎日、外来患者さんに壊れたテープレコーダーのように歩くことを勧めている私ですが、必ず聞かれる質問があります。それは「自転車ではダメなのか?」という疑問。自転車と歩くでは、運動効果に雲泥の違いがあります。また「どんな歩き方がいいですか?」という質問にはデユーク更家さんの本を買いなさいと返します。よく分らないという人には私が実演して見せます。「どれだけ手を後ろにも振っているかで、あなたの年齢が分りますよ」と言うと、みなさん俄然頑張って手を大きく振りだします。

 “脊椎ストレッチウオーキング”を御存知でしょうか。私も武庫川の河川敷で専門家の指導を受けたことがあります。頭頂部からヒモで引っ張られている感覚で背筋をしっかり伸ばして胸を張って大股で歩きます。腰や膝が悪い人や障害がある人にも歩行補助具が開発されています。よく走る人もいますが、膝や心臓への負担を考えるとお勧めできません。毎日歩くだけで健康寿命が確実に延びることを「寝たきりにならず自宅で平穏死」(SB出版)という本にも書きました。最近、2本の棒を使って歩くポールウオークに興味を持っています。とても運動効率が高いのです。歩くだけで確実に人生が変わります。薬ではなく、靴やウエアやポールにお金をかける時代だと思います。
 

キーワード 脊椎ストレッチウオーキング
兵庫県健康財団 健康指導部が提唱する正しい立ち方、正しい歩き方の理論。姿勢保持のための筋力強化、安全で効果的な有酸素運動、転倒予防、腰痛、膝関節障害などの障害の予防などに大きな効果がある歩行理論。
 

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この記事へのコメント

>私の理想の医療とは薬をまったく使わず、食事と運動だけで病気を治す


実践しています。
40年前 知人の病院長と、キッチン付き栄養相談室での治療を始めました。
風邪には玉子酒・疲労には散歩と野菜たくさん。
スポーツ施設を整えました。
末期がんの方と、登山や海外旅行を楽しみました。


現在、岩手県安比高原で 継続しています。
スポーツ&認知&リビングウイルDr・管理栄養士・柔道整体師など「医療も介護もいらない人生」を提案しています。Lw協会東北副支部長も参加しております。

今年4月99歳の方が、安比高原に移住してこられました。
現在一人暮らしです。
http://blogs.yahoo.co.jp/wadobashi/folder/703271.html

Posted by kayabuki110 at 2015年07月13日 05:41 | 返信

文中にあります、"脊椎ストレッチウォーキング" の下りを読みながら、そう言えば
講演会でお見掛けしました長尾先生のお姿は、立ち姿も座位も、「頭頂部から...背筋を伸ばして..
胸を張って...。」の表現通りでした。イメージとして示すならば2014年 9月8日付けブログにある
靖国神社を背景にしたお写真、毅然としたお姿でいらっしゃいました。
ブログ写真を拝見した時の印象は、日本のシンボルでもある靖国を背にした時の、写真用ポーズかと
思っていましたが、日常的に意識しておられるのですね。
会場内で貴賓バッジを上着に付けて、なおかつ堂々とした貫禄を印象付けていらっしゃいました。
また身長がとても高くていらっしゃる事が印象的でした。
長尾先生、是非、海外で堂々と外国人医師と渡りあって下さい。平穏死の伝道師として、海外でも。
医療が日本国民を牛耳っているのが、現状であるならば、医療者のお立場から国際舞台で日本の良さを
"The日本人"を主張して頂きたいと願っています。

Posted by もも at 2015年07月13日 08:04 | 返信

歩くことの効用、日々実感しています。
廃車、免許返納を契機に、もっぱら歩き専門です。
今日も、バス、電車も利用しつつ、自宅と仕事先を往復、1万歩達成です。
ただ、セイケイゲカ的歩行は、いただけません。年寄りには、不向きです。
まず、靴はアウト。草履に限ります。それも、滑り止めつき、左右履き替えできる鼻緒つき。
もちろん、クツシタは滑るのでNGです。夏冬、裸足が原則です。
かかとの後ろを気にかけるように歩けば、耳、肩、腸骨、膝、踝が1直線になります。
かかとの後ろを気にかけるように歩けば、重心が仙骨に乗ります。
かかとの後ろを気にかけるようにすれば、重心が前移動します。
かかとの後ろを気にかけるようにすれば、自然に階段を登ります。
車いすは、坂を転がるように、勝手に登ります。
4尺ぐらいの1本の棒を滑握して歩けば、五重の塔の心柱のように、
全身がまっすぐ支えられ、後ろから蹴られても倒れません。
いにしえの人びとの歩行のすべは、現代でも有効ですね。

ちょうど今、横のTV画面に、福岡の百姓69歳が、50年育ててきたみかん農園から強制排除されている様子が。
辺野古沖での日常と重なりますね。
あす15日は、戦争法案の委員会採決強行とか。
「いつまでもダラダラやってられない」(官房長官)。「決めるときは決めるんだ」(総理大臣)。
ああ、なんという国でしょう。

Posted by 鍵山いさお at 2015年07月14日 06:49 | 返信

せっかくご紹介いただいた《脊椎ストレッチウオーキング》について、全面否定みたいになり、すみません。
コメント投稿のあとで、兵庫県健康財団の資料を、詳しく読ませてもらいました。
ポイントが三つ。
①.下腹を下から持ち上げるように引き締める。
②.頭頂部をひもで引き上げられるように背筋をしっかり伸ばし、軽く胸を張る。
③.膝を軽く伸ばし、足先を引き上げ、踵から着地し、着地した踵の上にすばやく腰を乗せていく。
初心者にもやりやすく、意識(意守)も重視されていて、ネイミングの意味がよくわかりました。
ただ、官製「後期高齢者」のひとりとしては、一動全動の方が、いいんですよね。同じ効果をうむのでしたら。
ポイント説明の中で、「重心を高く保つ」とか「地球と戦い続ける」とかの、整形外科的表現がありました。ですが、重力にはさからわず、月と地球の引力のはざまで「あるく」、という感覚の方がいいのではないでしょうか。
ポイント②「頭頂部をひもで引き上げられるように」出来ればいいいのですが、でもそれは、あやつり人形とは違って、「上虚下実」という成果を手にすることになります。
また、ポイント①の「下腹を引き締める」際、同時に「肛門」を引き締め引き上げていく感覚だと、へそと命門が近づくことで、脊椎がよりしなやかに整うのではないでしょうか。
経験的な私見です。

Posted by 鍵山いさお at 2015年07月26日 07:05 | 返信

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