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誰のための退院調整?
2015年07月22日(水)
医療タイムス7月号 誰のための退院調整か? 長尾和宏
最近の急性期病院では退院調整や退院支援が盛んである。入院後10日もすると入院患者さんは次の療養の場の決定を迫られる。在宅で診ていた独居の高齢者が入院した場合、二度と家に帰って来ないことがよくある。退院調整スタッフが、「独居なので在宅復帰は無理」と勝手に判断して遠くの施設などに紹介している。認知症があるだけで次の行き先は精神病院であったりもする。入院で寝たきりをつくり認知症を悪化させておきながら、営業に来た施設に紹介する連携室を見るたびに、「いったい誰のための退院調整?」と思ってしまうのは私だけか。
「終末期医療の意思決定支援」という言葉があるが、その前に「療養の場の意思決定支援」はどうなっているのだろうか。本当に本人の意思が反映されているのだろうか。筆者の知る限り、本人の希望とは無関係に、調整の専門家(と称する人たち)が勝手に仕切っている場合が多い。特に末期がんの患者さんの場合は、さらにひどい退院調整を見ることが少なくない。すなわち、退院調整や退院前カンファレンスに2週間もかかるのだ。余命1ケ月の患者さんの退院調整に2週間もかけていたら帰れないのは当たり前だ。案の定、「状態が悪くて帰せません」と連絡が来た1週間後には、「病院で亡くなりました」という連絡が入ることが多い。だから地域連携室から末期がんの依頼があっても「どうせ帰ってこないだろう」となる。実際、そのとうりになることが多いのだが。もし自宅での最期を望む家族が相談に駆け込んで来た場合は、「脱出」という言葉を使ってアドバイスをするしか術がない。実際、すぐに「脱出」に成功した人だけが、自宅での平穏死が叶っているというのもヘンな話だ。
そもそも急性期病院の退院調整スタッフは、在宅医療を知らないし、見たこともないし、見たくもなさそうだ。もちろん「平穏死」も知らない。それどころか独居の看取りの難易度が一番低いことも知らなければ、独居の認知症でも最期まで在宅療養が可能であることも知らない。在宅現場をまったく知らない退院調整スタッフが人権無視の調整をしている。今、退院調整スタッフが在宅医療の現場を見学する試みが始まっているが、早急に必須化するべきだ。もし次の行き先が病院であるならば良質な療養病床に紹介すべきだ。MSWの仕事は病院内ではなく、地域にあるのではないか。当クリニックには地域連携部があり2名のMSW、1名の保健師を含む数名のスタッフがいる。病院から地域へという今後の流れを考えると、在宅療養支援診療所にも地域連携スタッフが必須の時代だと感じる。もし病院の連携スタッフが見学に来たら喜んで在宅現場を案内するのだが、未だ皆無である。
そもそも退院支援は入院時から始めるべきである。いや、入院前から始めるべきと言われているのだが患者さんの人権を考えれば当然のことだろう。しかし現実は、院内連携に手間取り、それどころではないという退院支援スタッフの嘆きも聞こえてくる。地域包括ケアシステムの構築を本気で考えるのであれば、退院支援スタッフの教育からやらないと画餅になる。さらに退院支援に在宅側のスタッフが関わることができればなおいい。以上、愚痴でも夢でもなく、現実的な提案として書かせて頂いた。
最近の急性期病院では退院調整や退院支援が盛んである。入院後10日もすると入院患者さんは次の療養の場の決定を迫られる。在宅で診ていた独居の高齢者が入院した場合、二度と家に帰って来ないことがよくある。退院調整スタッフが、「独居なので在宅復帰は無理」と勝手に判断して遠くの施設などに紹介している。認知症があるだけで次の行き先は精神病院であったりもする。入院で寝たきりをつくり認知症を悪化させておきながら、営業に来た施設に紹介する連携室を見るたびに、「いったい誰のための退院調整?」と思ってしまうのは私だけか。
「終末期医療の意思決定支援」という言葉があるが、その前に「療養の場の意思決定支援」はどうなっているのだろうか。本当に本人の意思が反映されているのだろうか。筆者の知る限り、本人の希望とは無関係に、調整の専門家(と称する人たち)が勝手に仕切っている場合が多い。特に末期がんの患者さんの場合は、さらにひどい退院調整を見ることが少なくない。すなわち、退院調整や退院前カンファレンスに2週間もかかるのだ。余命1ケ月の患者さんの退院調整に2週間もかけていたら帰れないのは当たり前だ。案の定、「状態が悪くて帰せません」と連絡が来た1週間後には、「病院で亡くなりました」という連絡が入ることが多い。だから地域連携室から末期がんの依頼があっても「どうせ帰ってこないだろう」となる。実際、そのとうりになることが多いのだが。もし自宅での最期を望む家族が相談に駆け込んで来た場合は、「脱出」という言葉を使ってアドバイスをするしか術がない。実際、すぐに「脱出」に成功した人だけが、自宅での平穏死が叶っているというのもヘンな話だ。
そもそも急性期病院の退院調整スタッフは、在宅医療を知らないし、見たこともないし、見たくもなさそうだ。もちろん「平穏死」も知らない。それどころか独居の看取りの難易度が一番低いことも知らなければ、独居の認知症でも最期まで在宅療養が可能であることも知らない。在宅現場をまったく知らない退院調整スタッフが人権無視の調整をしている。今、退院調整スタッフが在宅医療の現場を見学する試みが始まっているが、早急に必須化するべきだ。もし次の行き先が病院であるならば良質な療養病床に紹介すべきだ。MSWの仕事は病院内ではなく、地域にあるのではないか。当クリニックには地域連携部があり2名のMSW、1名の保健師を含む数名のスタッフがいる。病院から地域へという今後の流れを考えると、在宅療養支援診療所にも地域連携スタッフが必須の時代だと感じる。もし病院の連携スタッフが見学に来たら喜んで在宅現場を案内するのだが、未だ皆無である。
そもそも退院支援は入院時から始めるべきである。いや、入院前から始めるべきと言われているのだが患者さんの人権を考えれば当然のことだろう。しかし現実は、院内連携に手間取り、それどころではないという退院支援スタッフの嘆きも聞こえてくる。地域包括ケアシステムの構築を本気で考えるのであれば、退院支援スタッフの教育からやらないと画餅になる。さらに退院支援に在宅側のスタッフが関わることができればなおいい。以上、愚痴でも夢でもなく、現実的な提案として書かせて頂いた。
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この記事へのコメント
今日もおつかれさまでした
Posted by 尾崎 友宏 at 2015年07月22日 04:00 | 返信
…ですよねー
私も よく 退院調整会議に行きます
在宅医を決めない場合が 多く 何かあれば 病院受診するといったものです
何かあれば〜?
何かあれば〜?って なんですか?って 伺いたいです
その何かが ご家族には わからない…
状態悪化すれば 入院ということですよね
最期まで おうちで過ごしましょうって ほんとに 選ばれし者ですね
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年07月22日 11:28 | 返信
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