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薬を過信しない

2015年07月27日(月)

産経新聞の連載、平成養生訓第8話は、薬について書いた。
江戸時代にも薬をやたら出す医者がいたそうだが、益軒は
養生を大切にして薬に頼らない生活を説いている。→こちら
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産経新聞平成養生訓第8話(最終回)  医者と薬を過信しない
                   歳とるほど薬減らして養生で!
 
 歳をとるほど病気の数が増えます。かかる医者の数も増え、もらう薬の数も増えます。気がつけば10種類以上の薬を飲んでいる人が時々おられます。しかし5種類以上の薬を飲むと、転倒リスクが高まることが分っています。また思わぬ相互作用が生じることもあり、多剤投与は百害あって一利なしです。しかしなぜそこまで薬が増えるのでしょうか?それはあちこちの医者にかかるからです。そして残念なことに今は、医療=薬、になっています。老化による病気は根本的には治らず、上手く付き合うことのほうが大切なのは誰でも分かるはず。後期高齢者においては「治す医療」から「支える医療」への転換が謳われていますが、いい医者にかかれば治してくれるはずだ、と90歳を超えても信じて医者巡りを繰りかえす方もおられます。実は、貝原益軒が生きた300年前にも、現在と同じことが起きていたようです。

 江戸時代には今のような医師免許制度がなく、誰でも医者の看板をあげられました。生計のために医者を名乗る人が多かったことが記録に残っています。白杉悦雄氏の「庸医(藪医者のこと)―江戸時代の民間医師―」には、当時のにわか医者や藪医者の生態が描かれています。益軒は流行っている医者が良医とは限らないとしました。藪医者のでたらめな処方がたまたま当たり流行り医者になることがあるからです。益軒はそんな評判に惑わされず、良医を選ぶことこそが養生の知恵であると説きました。良医とは、一切の病気にみだりに薬を出さない医者のこと。実は江戸時代にも、薬害や副作用が相当あったようです。益軒は、医者や薬を過信してはいけないと説き、自然治癒力を増す養生法の研究を続けました。

 益軒は自分自身でできる養生法をたくさん紹介しました。ゆるやかな呼吸が気を養うことからを行い、丹田に気を集めた「丹田呼吸法」をして、その気を全身に巡らせること。丹田呼吸法は養生の原点で、バランスのとれた食事やほろ酔いの酒、そして睡眠法や自分できるあんま方法までも紹介しています。

 私は学生時代に「薬を出すだけの医者は医者とは言えない。もし自分が医者になったら薬を出さない医者になるぞ」という文章をあるところに書きました。あれから30数年、果たして初心どうりにはいかない現実に悩む日々です。患者さんと少し話をするだけで薬を出してハイ終わり、と自分自身が一番イヤだったはずの医者に甘んじています。開業当時待合室に「当院では薬は3種類以上出しません!」という大きな張り紙をしていたのに、いつのまにか無くなったままに。しかし開業20周年を機に少しは益軒の思想を学び直そうと彼の本を読み直しているところです。さて平成養生訓シリーズ8話を通じて、自分自身の養生法を振り返り少しでも実行され、少しでも薬が減れば本望です。

 私ごとですが今週末に「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)という本が出ます。今、がん治療で悩んでいるすべての人に是非読んで欲しい本です。暑い夏、熱中症に気をつけて元気でお過ごしください。(本シリーズ終了)
 
 
キーワード 丹田呼吸法
丹田とはおヘソの少し下でここで大きな呼吸をすることにより、自律神経系はリラックスし、疲れて機能低下している場合は適度の緊張を取り戻させてて調和が回復する。自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫系のなかで自分でコントロールできるのは、呼吸だけである。

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この記事へのコメント

 長尾ブログの神髄に触れ、鳥肌が立つ思いに見舞われることが度々ある昨今です。
ブログ更新が安定の面持ちを呈していても、見慣れないハンドルネームのコメント欄を拝見
しますと、去年とか、一昨年とかのブログに相対してのコメント投稿でいらしたりして、
おそらくは病気を患う当事者でいらしたり、時にはDr.と推察される方のコメントであったり
しますと、長年、気に掛けていらした思いが、何かに触発されて投稿のタイミングを得るのか、
深く核心を突くその内容に重みを感じます。

Posted by もも at 2015年07月27日 10:16 | 返信

「その症状 … もしかして 薬のせい?ー」の本を 再々度 読み始めた

不思議なものです
読み返すと 最初に読んだ時と 2回目 読んだ時と また 読み始めた時と 感じ方が違うんです
その時々で 関わる利用者さまが変わり…未熟ながら 少しづつ経験を重ね
いつも いつも 壁にぶちあたって 悩み
クリミア戦争での ナイチンゲールだったら どうしてたんだろうと 自分に問いながら
一番は、利用者さま 患者さまの笑顔だ…
後のことは 関係ないやと 突っ走り
大手病院から避難を浴びてんのかどうかわかりませんが
後からヒラにヒラに謝りに行き〜(笑)

結果的には 利用者さまやご家族が 安心できたから ホントによかったじゃん( ´ ▽ ` )ノとスタッフみんなで元気になって…

こんなことの繰り返し…

一人を大切にできんもんが いい看護ができるわけないじゃ〜ん

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年07月28日 11:33 | 返信

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