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ステージⅣ=末期、ではない

2015年09月13日(日)

がんがステージⅣと言われて落ち込んでいる人がいるが、早計かも。
ステージⅣでも完治するケースがあることを知っておいて欲しい。
そのあたりのことを8月29日の産経新聞に書かせて頂いた。→こちら
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産経新聞・がんの基礎知識シリーズ第二回  がんで死ぬ理由
                     ステージⅣ=末期がん、ではない
 
 ようやく朝夕が少し涼しくなりました。さて外来診療の合間に在宅医療に従事するようになって20年が経過しました。その間に800人を超える人を在宅で看取らせて頂きました。そのうち、がんで亡くなった方が約6割強です。当院の場合、末期がんで在宅療養を始めた方の9割以上は最期まで在宅で過ごされています。やはり我が家はよほど居心地がいいのでしょうか。一方、がん以外の病気で在宅で診ている方のなかには、急変して入院をしたり、介護疲れから施設に入所されるので、在宅看取りの割合はがんの約半分で約4割程度になります。たとえば認知症の場合、療養期間が長くなるので家族が根を上げることが少なくありません。だからデイサービスやショートステイや施設の活用が鍵です。

 研修医時代、末期がんが続々と搬送されてくる野戦病院でコマねずみのように働きながら、ひとつの疑問を抱えていました。「なぜ人は末期がんになると死ぬのか?」「もしかしたら末期がんのまま長く過ごす人もいるのではないか」など想像していました。しかし末期がんの人はどんなに医療を施しても全員まもなく旅立たれて、悔しい思いをしました。

 そもそも末期がんとは何でしょうか?どんな状態なのでしょうか?末期がんとは、がんが、あちこちの臓器に転移してモリモリと増殖するとともに全身が徐々に衰弱してくる状態を指します。誤解してはいけないのは、アチコチに転移巣があるだけでは末期がんと言えないこと。たとえば乳がんが全身の骨に転移したままホルモン療法で10年近く、元気に仕事をしていた女性がいました。彼女は骨シンチを撮ると全身にがんの転移だらけでした。しかし10年近く転移巣はそのままで大きくならなかったのです。がん病巣はあちこちに散らばりそれなりの大きさになっても、ある時点から休眠モードに入ったのでしょう。だから彼女は10年近くも生きられた。しかしある日から高熱が続きました。冬眠していたはずの全身のがんが何故か一斉蜂起したのです。彼女はみるみる衰弱して、在宅医療に移行して2ケ月後に穏やかに旅立たれました。10年間の冬眠期間がありながら、たった2ケ月間の増殖期間を経て最期を迎えました。

 がん細胞から体を弱らせる毒素のようなものが出るので全身が衰弱していきます。がん細胞の数が増えるほどその量も増えて、筋肉は衰え、食事量は落ち、全身の機能が低下します。そんな状態を末期がんと言います。余命でいえば、医者が余命1~2ケ月だと判断する段階です。

 ステージⅣという言葉をよく聞きます。Ⅴは無いので、Ⅳとは原発巣から離れた臓器に転移がある状態です。しかしステージⅣ=末期がん、ではありません。ステージⅣから生還する人、つまりがんが完治する人は少なからずいます。特に大腸がんでは、肝臓や肺や脳にも転移していても完治する人もいます。大腸がんだけでなく、ステージⅣのスキルス胃がん(腹膜播種あり)でも、手術と抗がん剤で4年間生きている人もいるのです。もっと詳しく知りたい方は、近著「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)をお読みください。お陰さまで発売2週間で3刷りになりました。
 
 
キーワード スキルス胃がん
がん細胞が胃粘膜の下を這うように進むタイプの胃がん。比較的若い女性に多い。胃の壁ががんで収縮して固くなったように見える。胃がんの中でもやや特殊とされ早期発見が困難で予後は不良とされる。
 
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胆管がんの川島なお美さん、頑張れ。
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この記事へのコメント

うちの利用者のお話です

今年の6月に…
末期がんで余命8ヶ月っていわれて…
先月末に急変し 在宅医が決まってなかったので 某病院へ救急搬送して…
症状が落ち着き 今度は 在宅医をつけての退院調整中でした
今日 奥様より「昨夜 亡くなりました 本当にお世話になりました 急なことで よくわからないんです…」
余命8ヶ月って なに?

…かと思えば
96歳のおばあちゃま 大腸がん
ストマ交換をご自分でやってたんですが 体調が悪くなり 訪問看護に入っていた
でも 復活して 自分で ストマ交換できるからと訪問看護を打ち切り
お元気に過ごすこと 1年…突然 寝たきり状態になったところで 再度 訪問看護に入り 数日で 旅立ちました
お腹の腫瘍も大きくなってきたように思えたけど 老衰かしら?とも思える

ほんとに 人の命なんて わからないです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年09月13日 11:47 | 返信

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