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近くに分かってくれる人がいれば・・・

2015年10月16日(金)

「きらめきプラス」の連載は、読者からの質問に回答する形である。
最新号は「近くに分かってくれる人がいれば・・・」という質問に回答。
ついつい、つどい場さくらちゃんのことを書いてしまった。→こちら

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質問は54歳の女性からのご質問
・・・・・・
今まで実家で独り暮らししていた母(83歳)ですが、要介護2になり、
独り身で仕事をしている私(54歳・女性)としては正直自信はないのですが、
同居して母の介護をしようと考えています。
今、母と自分の為にも介護について勉強しているのですが、
その中で一つ思ったことがあります。
もしかしたら間違った考えかもしれませんが、
子育ては、近所のお母さんが集まって一緒に愚痴を言い合ったり、
一緒に面倒みたりしているのに、介護はどんなにつらくても
その家族のみが背負っていかなければならず、孤独で閉鎖的な感じがします。
近所で介護している方々と助け合ったりすることはできないのでしょうか?
なんだか変な質問で申し訳ありませんが、近くに分かってくれる人がいれば、
気持ち的にも助けられるような気がするのですが。
 

@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 
 たしかに・・・。仰せのとうりですね。
 
介護と子育てはどこか似ていますね。いや、相似形かも。老いた親を子供が介護することは、神が与えたご恩返しのチャンスなのかもしれません。生まれたばかりの赤子は、自分では何もできず24時間介助のもと成長していきます。そして、その60年後に介助される側とする側が見事に入れ替わるとは、なんという因果なのでしょうか。不思議でしょうがない。まるで映画フイルムの逆回し。しかし親の介護を子育ての逆回しと思える人はそう多くはありません。「親の介護が大変で」という言葉は、60年前に母親の「子育てが大変で」という呟きの逆回しなのかもしれませんね。
 
赤子は幼児に成長すると、保育園や幼稚園に預けられます。これは60年後には、デイサービスやショートステイに相当する気がします。では、お母さんが集まる会であるPTAに相当するものが、60年後にあるのか?と聞かれたら、あまり無いのでは?と答えるしかありません。ですから、ご質問はきわめてまっとうな疑問です。在宅医療や在宅介護が、国を挙げて推し進められていますが、それを支える社会基盤は、子育ての基盤と比較するとあまりにも脆弱である、と言わざるをえません。
 
国は、2000年に介護保険制度を造りました。しかし最大の間違いは、営利企業の参入を無条件に許したことだと思う一人です。果たして15年後、朝夕には街中をワゴン車が走り回るのはいいとしても、街の景色から介護老人が消え去りました。介護が、株式会社の金儲けの道具になり下がりました。株主のための介護が幅をきかせています。そんな中、NPO法人つどい場さくらちゃんの丸尾多重子さんは、平成27年8月16日、神戸新聞のオピニオンに「ビジネス化された介護保険」(長尾和宏オフシャルページからPDFが見られます)という文章を書かれていますが、まったくそのとおりだと思います。
 
丸尾氏は、介護する人を癒したいと、12年前にNPO法人を立ち上げて、認知症当事者と介護者がいつでも遊びに来られる「つどい場」を造りました。そこで提供されるのは、美味しいご飯と笑顔。地域のみならず全国からさまざまな立場の人が集い、本音の会話が交わされています。泣きに来る介護者も少なくないとのこと。これは介護保険事業ではありません。食事代500円の実費だけでの赤字運営で頑張っておられる姿は多くのメデイアで紹介されました。「つどい場」の機能は、「見守り隊」「学び隊」「お出かけ隊」など。なかでも要介護5の人達と、北海道、九州へ2泊3日で旅行する姿は2015年5月、TBSテレビ「報道特集」でも紹介されました。今年はなんと台湾まで旅行が計画されているそうです。要介護5だからこそ飛行機に乗って移動、手づかみででも食べるという介護哲学を実践されています。丸尾氏の活動に触発された人たちが、全国各地で「つどい場」造りを始めています。まさに「つどい場現象」が、日本の在宅介護の大きなヒントになることでしょう。
 
ですからPTAに相当するもののひとつが、「つどい場」かもしれません、なんて書くと、おそらく丸尾さんに怒られるでしょう。というのもPTAと「つどい場」の違いは、PTAは学校が定めたピラミッド型の組織であるのに対し、「つどい場」は自然発生的で様々な立場の人が「まじくる」場であることです。「まじくる」とは、ごちゃまぜになる、という意味の丸尾氏の造語。要は、とってもゆるやかで自由な場なのです。だから介護者は思い切り泣けて、ストレスを発散でき、明日からの介護に向き合えるというのです。介護が終わったメンバーは、有償ボランテイアとして介護保険制度の合間を埋めています。
 
介護保険制度があるから在宅療養は大丈夫、なんて思っていたら大間違いです。あくまで介護の一部を担ってくれるだけであり、ある程度は家族介護を前提としているのが現実です。一方、おひとりさまであれば24時間定期巡回随時対応型訪問看護・介護という制度があり、私は独居の高齢者でも最期まで在宅で診ています。しかしこれはまだまだ例外と考え、在宅療養は家族介護を前提としていると思っていたほうがいいでしょう。ですから勘のいい貴方は、なんとなく「本当に、大丈夫かなあ」と感じたのではないでしょうか。
 
ご質問への回答としては、まず貴方が住む地域に「つどい場」のようなNPO法人や介護仲間が集う場があるのか無いのかを、調べることです。こうした情報は、介護保険制度下の事業を表とするならば、まさに裏情報。評判のいいケアマネ、認知症の在宅診療に熱心な医師に、個人的に尋ねてみてください。人間が住むこの世は、どこに行ってもヘンな人がいます。このヘンとは、親切なといういい意味で、これからの医療介護のキーワード。もし見つからなければ、民生委員さんにも聞いてみてください。役所に行っても、そのような裏情報はありません。
 
宮崎県の「かあさんの家」に代表されるように全国各地に「つどい場」のように介護ビジネスとは対極に位置される生活支援の場が増えています。愛媛県の「あんき」のように昔の宅老所の延長にある居場所もあります。介護を福祉ではなく、ビジネスと捉えるならば、本来の介護から離れたものになります。そして金儲けのためには「管理」する方向に行きます。
 
そもそも、老人はいつの時代からか「管理」される存在になったのでしょうか。現在では介護保険のお世話になることは「管理されること」を甘受すること。この世に「管理」がある限り、必ず「管理する側」と「管理される側」に分れます。するとそこには必ず上下関係が生まれ、必然的にできる「上から目線」は、ジワジワと別の問題を生み出します。つまり、認知症の人を上から目線状態に晒したらどうなるか?不安、徘徊、怒り、暴言など、いわゆる周辺症状と呼ばれる症状が出ます。それを見た管理する側は、さらに管理を強化します。その結果は、身体拘束や抑制や鎮静です。「管理」した結果の症状に対してさらに管理を強化することは、なにひとつ当事者を利することはありません。しかしその理不尽さに気がついている“管理者”や“プロの介護職”は、まだまだ多くない。ビズネス化さられた介護とはそんなものだと、割り切っていたほうが落胆しなくて済むかも。
 
その点、在宅療養の良さは管理されないことですが、貴方はそちらを選ぼうとしています。平穏死という観点からも在宅療養がもっとも有利です。管理されない自由は、様々なリスクも内包しますが、もしつどい場のような仲間がいれば、最初に述べた、「逆まわし」を楽しめる境地になるのかもしれません。逃げずに介護を楽しんでください。でも決して無理をしないことも大切。長期戦になるので、デイサービスやショートステイを上手に使うことが鍵になります。ですから相性がいいケアマネ選びには、こだわってください。

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