このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

抗認知症薬の開始時期

2015年10月31日(土)

抗認知症薬の開始時期に関するデータのメタ解析が発表された。
早期に投与を開始しても予後の差は無いという結果だった。
新オレンジプランに織り込んで欲しいエビデンスである。

2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

以下、ケアネットの記事から紹介させて頂く。

アルツハイマー病への薬物治療、
開始時期による予後の差なし
提供元:ケアネット

 世界中で何百万人もの高齢者がアルツハイマー病(AD)で苦しんでいる。治療薬にはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンがあるが、その臨床効果は限られており、早期に薬物療法を開始することが長期的に良好な予後につながるかどうかも不明である。そこで、中国・香港中文大学のKelvin K.F. Tsoi氏らは、AD患者に対する早期治療の有効性について、前向き無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、約6ヵ月早くAD治療薬の投与を開始しても投与開始が遅れた場合と比較して、認知機能、身体機能、行動問題および臨床症状に有意差は認められなかった。この結果について著者らは、「追跡期間が2年未満の早期AD患者の割合が比較的高かったためと考えられる」と指摘したうえで、「長期に追跡した場合の有効性について、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月18日号の掲載報告。


 研究グループは、OVIDデータベースを用いて2000年から2010年の間に発表された前向き無作為化比較試験を検索し、ADと診断された患者を早期投与開始群と投与開始遅延群(約6ヵ月間はプラセボを投与)に無作為化した試験を適格とした。主要評価項目は、認知機能(Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale:ADAS-cog)、身体機能(Alzheimer's Disease Cooperative Study Activities of Daily Living Inventory:ADCS-ADL)、問題行動(Neuropsychiatric Inventory:NPI)、および全般的な臨床症状(Clinician's Interview-Based Impression of Change plus Caregiver Input:CIBIC plus)、副次評価項目はあらゆる有害事象とした。

 主な結果は以下のとおり。

・10件の無作為化試験がメタ解析に組み込まれた(計3,092例、平均年齢75.8歳)。
・主要評価項目に関して、早期投与開始群が投与開始遅延群と比較して、有意な効果が認められた項目はなかった。
 認知機能;ADAS-cogの平均差(MD)=-0.49、95%信頼区間(CI):-1.67~0.69
 身体機能;ADCS-ADLのMD=0.47、95% CI:-1.44~2.39
 行動問題;NPIのMD=-0.26、95% CI:-2.70~2.18
 臨床症状;CIBIC plusのMD=0.02、95% CI:-0.23~0.27
・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬で、最も頻度の高い有害事象は悪心であった。
・メマンチンではプラセボと比べ、発現頻度の高い副作用はなかった。
・両薬とも、早期投与開始群と投与開始遅延群の有害事象は同等であった。


2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

MCI〜早期アルツハイマーにアリセプトを使用した時の経験です。
アルツハイマー初期の短期記憶障害には、アリセプトはよく聞きました。みんな病識があるケースでしたので、不安からくる抑うつ症状も取れ、明るくなった事をよく覚えています。飲ませ始めは、3mgを2〜3日飲ませただけで、改善効果を実感できました。
その後、短期記憶障害の存在を、お互いに意識障害しなくなりました。ただ半年〜1年ほどで著しい短期記憶障害がある事が分かり、驚いた覚えがあります。この時本人は、短期記憶障害の自覚はなくなっていました。明るい表情で、過去の記憶をあたかも今あった事として、堂々と話している姿を診て、アリセプトの効果の限界を感じました。

Posted by 小関洋 at 2015年11月02日 04:27 | 返信

早期発見による現存の早期の抗認知症投薬が多くの場合、治療的効果が実感できないというのは誰しも感じるであろうことであると思います。しかも少々物忘れがあっても多くはMCIか年齢相応なのだから早期投薬の適応にはならない。「物忘れ外来」というのは抗認知症薬のスーパー、製薬会社の代理店さんなのかな?と感じる今日この頃です。早期に開始されて不自然にアセチルコリンをいじられて、イライラしたり、怒りぽくなったり、かえって調子が悪くなる人の方が多い気がします。こういう有害事象の実態調査をして、不必要な抗が認知症薬の消費をやめさせるべきでしょうね。
認知症というのは生活が自立できなくなり、人との関連性が保てない状態であって、決して物忘れ=認知症=薬ではないという当たり前の事を知ってほしいですね。

Posted by マッドネス at 2015年11月02日 06:54 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ