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腹部エコーのすすめ
2015年11月25日(水)
産経新聞・がんの基礎知識シリーズ第13話 簡便で無害
腹部エコーでみつかるがん
前々回に膵臓がんの早期発見に腹部エコーが有用という話を書いたら「CTやMRIをなぜ最初からしないのか?」という質問を頂きました。しかしCT検査は常に放射線被ばくという問題があります。またMRIは、長い検査時間や費用や設備の点で検診に使うことは難しい現状です。一方、腹部エコーは簡便で無害で比較的安価で、とても有用な検査だと思います。今日は、腹部エコーだけで無症状の人にどれくらいのがんが発見できるのかをお伝えいたします。
腹部エコー検査で一番発見できるがんは、肝臓がんです。阪神間は全国的にみても、肝臓がん多発地帯です。それはB型、C型肝炎多発地帯という意味です。B型、C型慢性肝炎の方は、定期的に腹部エコーで肝臓をよく見ておく必要があります。現在、B型肝炎もC型肝炎もとてもいいお薬が健康保険の適応になりましたので、かかりつけ医を通じて肝炎拠点病院でアドバイスを受ける必要があります。アルコール性慢性肝炎やウイルス性肝炎の方は、常に肝臓がんの発生を念頭においた腹部エコー検査を忘れないでください。
次に既に書いた膵臓がんですが、それに加えてその近くの臓器である胆嚢がんや胆管がんも早期発見できます。以上、3つの臓器をまとめて消化器のなかでも「肝胆膵」と呼びます。肝胆膵領域も消化器の中では、腹部エコーが有用な臓器です。一方、胃がんや大腸がんには、やはり内視鏡検査しかありません。気がすすまない検査かもしれませんが、やるべき時にはやって下さい。稀に、腹部エコーで大きな大腸がんや胃がんが発見される場合があります。蛇足ですが、急性虫垂炎(盲腸)や大腸憩室炎や感染性胃腸炎などの腸の炎症の病気も腹部エコーでよく分かることがあります。
さらに、腹部エコーは腎臓がんや尿管がんや膀胱がんなど泌尿器科系のがんの早期発見にも有効です。尿が貯まっていたら膀胱粘膜は驚くほど綺麗に見えます。男性の場合は前立腺がん発見の契機になる場合もあります。女性の場合は卵巣がんや子宮がんが偶然見つかることもあります。どちらもがんが結構な大きさになってもあまり自覚症状が無いことがあり、腹部エコーで偶然発見、というケースが時々あります。もちろんがん病変が疑われたらCTやMRIなどの検査を行います。お腹の中には、以上のがん以外にもいろんながんができます。お腹の中のリンパ節が腫れる悪性リンパ腫や後腹膜腫瘍などが見つかることもあります。
腹部エコーに対して、心臓エコーというものがあります。プロ―ベという超音波が出る先端の形状が違うだけで基本原理は同じです。しかし肺がんには胸部レントゲンやCTでエコーの出番はありません。一方、心臓エコーは主に心臓弁膜症などを検査するものですが、ごく稀に心臓にできる腫瘍が発見されたこともあります。また体表にできるがんである乳がんにもマンモグラフィーに劣らぬ威力を発揮しています。こうして考えると腹部エコーは様々ながんの発見に有用な検査です。機会があれば是非、何度でも受けて下さい。簡便で無害なので、決して損は無いとても優れた検査法だと思います。
キーワード 腹部エコー検査
医師や検査技師が超音波が出るプロ―ベを体表にあてて体内を観察する非侵襲的検査法。
体表にゼリーを塗って行う。検査時間は概ね10分~20分程度。腹部は原則絶食で行うが食後でも可能。保険点数は530点(1割負担なら530円)
腹部エコーでみつかるがん
前々回に膵臓がんの早期発見に腹部エコーが有用という話を書いたら「CTやMRIをなぜ最初からしないのか?」という質問を頂きました。しかしCT検査は常に放射線被ばくという問題があります。またMRIは、長い検査時間や費用や設備の点で検診に使うことは難しい現状です。一方、腹部エコーは簡便で無害で比較的安価で、とても有用な検査だと思います。今日は、腹部エコーだけで無症状の人にどれくらいのがんが発見できるのかをお伝えいたします。
腹部エコー検査で一番発見できるがんは、肝臓がんです。阪神間は全国的にみても、肝臓がん多発地帯です。それはB型、C型肝炎多発地帯という意味です。B型、C型慢性肝炎の方は、定期的に腹部エコーで肝臓をよく見ておく必要があります。現在、B型肝炎もC型肝炎もとてもいいお薬が健康保険の適応になりましたので、かかりつけ医を通じて肝炎拠点病院でアドバイスを受ける必要があります。アルコール性慢性肝炎やウイルス性肝炎の方は、常に肝臓がんの発生を念頭においた腹部エコー検査を忘れないでください。
次に既に書いた膵臓がんですが、それに加えてその近くの臓器である胆嚢がんや胆管がんも早期発見できます。以上、3つの臓器をまとめて消化器のなかでも「肝胆膵」と呼びます。肝胆膵領域も消化器の中では、腹部エコーが有用な臓器です。一方、胃がんや大腸がんには、やはり内視鏡検査しかありません。気がすすまない検査かもしれませんが、やるべき時にはやって下さい。稀に、腹部エコーで大きな大腸がんや胃がんが発見される場合があります。蛇足ですが、急性虫垂炎(盲腸)や大腸憩室炎や感染性胃腸炎などの腸の炎症の病気も腹部エコーでよく分かることがあります。
さらに、腹部エコーは腎臓がんや尿管がんや膀胱がんなど泌尿器科系のがんの早期発見にも有効です。尿が貯まっていたら膀胱粘膜は驚くほど綺麗に見えます。男性の場合は前立腺がん発見の契機になる場合もあります。女性の場合は卵巣がんや子宮がんが偶然見つかることもあります。どちらもがんが結構な大きさになってもあまり自覚症状が無いことがあり、腹部エコーで偶然発見、というケースが時々あります。もちろんがん病変が疑われたらCTやMRIなどの検査を行います。お腹の中には、以上のがん以外にもいろんながんができます。お腹の中のリンパ節が腫れる悪性リンパ腫や後腹膜腫瘍などが見つかることもあります。
腹部エコーに対して、心臓エコーというものがあります。プロ―ベという超音波が出る先端の形状が違うだけで基本原理は同じです。しかし肺がんには胸部レントゲンやCTでエコーの出番はありません。一方、心臓エコーは主に心臓弁膜症などを検査するものですが、ごく稀に心臓にできる腫瘍が発見されたこともあります。また体表にできるがんである乳がんにもマンモグラフィーに劣らぬ威力を発揮しています。こうして考えると腹部エコーは様々ながんの発見に有用な検査です。機会があれば是非、何度でも受けて下さい。簡便で無害なので、決して損は無いとても優れた検査法だと思います。
キーワード 腹部エコー検査
医師や検査技師が超音波が出るプロ―ベを体表にあてて体内を観察する非侵襲的検査法。
体表にゼリーを塗って行う。検査時間は概ね10分~20分程度。腹部は原則絶食で行うが食後でも可能。保険点数は530点(1割負担なら530円)
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