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糖原病Ⅶ型・垂井病

2016年01月11日(月)

一昨日は出身医局である大阪大学第二内科の同窓会と新年会であった。
私の恩師である垂井清一郎先生のおそらく最終講義を感動して拝聴した。
垂井先生は糖原病Ⅶ型・垂井病の発見者で世界的に名前が知られている。
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たぶん、100回以上、垂井病の話を聴いてきたと思う。
先日、同じく糖原病のポンぺ病の患者さんを診る機会があったが驚かなかった。

20数年ぶりに恩師の直々の声で話を聞くと昔を思い出す。
垂井先生は、なんと88歳になられたという。

日野原先生に比べたら16歳年下ではあるといえ、時は流れたと改めて感じた。
垂井先生は、垂井病発見のいきさつから、話された。

100m走ると足が痛くなるという2人の兄弟が発端だった。
その2人を紹介してきた開業医にもとても感謝されていた。

臨床医学は1例でも疑問を持つことが大切。
これが阪大第二内科の共通の土台である。

その1例を「そんな例外もある」で見過ごすのか、
「それはづしてだろう?」と疑問を持ち掘り下げるのかは雲泥の差がある。

私ごとで恐縮だが、僕は珍しい病態を発見することが好きである。
何人もの医師が見逃してきた病気を刑事のように追いかけるのは楽しい。

特にホルモン関係の病態では、開業後も世界初という例も見つけてきた。
日本初、世界初、ということが大好き。

そんな自分の性格ももしかしたら、知らぬ間に第二内科で養われたのかなあ
と思いまがら、大先生方や若手の先生の講演を聞いていた。

翻って、現在の抗認知症薬の薬害に関しては、増量規定から外れた人は
「エビデンスから外れた例外」とみなされて、無かったものにされてきた。

ドネペジルで怒りっぽくなる人を見て、「それは薬が効いている証拠」で終わらせようと
する医者なぞは、単なる製薬企業の営業マンであり、医者ではないし専門家でもない。

「どうしてなのか」「どうすればいいのか」という方向に進むのが正しい臨床家の態度だ。
河野和彦先生は、コウノメソッドでまさしくそれを示されたわけで、これが医者の態度だ。

来週、1月17日(日)、抗認知症薬の本の出版記念講演会が都内である。   →こちら
また、2月7日(日)の認知症セミナーでも薬について詳しく市民にお伝えする。 →こちら

今、自分がやろうとしていることは第二内科の歴史と伝統から見て間違っていないと思った。

垂井内科で勉強をさせて頂き、偉大な医師達を身近に見て育ったことに改めて感謝した。

そんな垂井先生から、3年前に丁重なお手紙を頂いた。
「プライマリケアの医学書全集」の編纂の依頼だった。

なんで、一番アホな私のところに?・・・
これは私だけでなく、同業者であればみんな同じことを想うだろう。

しかしこれを天命と受け止めさせて頂き、現在、全10巻の医学書全集を
完成させるべく編集を重ねてきたが、6巻まで出来てゴールまでもう少し。

「スーパー総合医叢書全10巻」(中山書店)


32年前の垂井先生は、半径2m以内には近づけない強烈なオーラを放っていた。
そして今でも、少し小さくなったとはいえ、威厳と慈悲のオーラをたたえておられた。




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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

糖原病Ⅶ型・垂井病 ・・・・・・ を読んで


今回のブログの中で、垂井先生から指名を受けて、
長尾先生が“スーパー総合医:超高齢化社会を支える
地域の開業医のためのまったく新しいシリーズ” の
総編集を担当されていることを知り、認識を新たに
しています。


垂井先生がいつ頃このシリーズの編纂を決意された
のか? 分かりませんが、“超高齢化を見据えた、地域
の開業医のための医療全巻:スーパー総合医” なんて
長尾先生のためにあるような全集と思います。


垂井先生の “けいがん〔慧眼〕” は、見事としか言え
ませんね。


長尾先生が、在宅医・訪問診療医だから、必然的に
医療全般に通じている“総合医”とご自分を評して
いるのを聞いて、広く浅く全てのことに通じている
・・・・・・・・と勝手に想像していましたが、医療全般を
広く深く知っておられることを知って、畏敬の念を
感じています。

そのようなお医者さんが町医者さんをされている
尼崎って、幸運なまちですね。

医療に通じていて、介護、更に多職種連携にも通
じたスーパードクターが、神戸にも居てくれると
心強いのですが ・・・・・・・。


その気になって探して見れば、長尾先生までは行
かなくても、神戸にもいらっしゃるかもしれません。
将来の自分のため、しっかりと探してみたいと思い
ます。

Posted by 小林 文夫 at 2016年01月12日 01:35 | 返信

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