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レジリエント・ヘルスケア

2016年01月11日(月)

阪大第二内科の同窓会では大阪大学病院中央クオリテイマネジメント部の
中島和江先生による「レジリエント・ヘルスケア」という講演も拝聴した。
この「レジリエント」や「レジリエンンス」という言葉は流行語になる予感がする。
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中島和江先生は日本、いや世界の医療安全(リスクマネジメント)の第一人者である。
医局の後輩で昔は教えたこともあったが今はひたすら頭を下げて教えてもらう立場。

彼女の近著「レジエント・ヘルスケア」(翻訳本)は、実に読み易い名著である。
一般の人には関係が無い分野であるが、医療職には必読の教養であると思う。


レジリエントやレジリエンスとは、「柔軟性」や「復元力」のこと。
あるいは「臨機応変」、といったほうが分かり易いかもしれない。

NHKは、「折れない心」や「逆境力」として紹介していたから→こちら
結構、広い概念ともl言える。→  こちら

医療は複雑系であり、事故も複雑系の中で起きる。
事故の原因を考えた時、従来の直線形モデルで考えていても解決には繋がらない。

以前、このブログで、「成功と失敗は同価」と紹介したが、まずは
この言葉の意味が理解できかどうかから中島先生の講義は始まる。

興味のある医療者は、是非とも上記の本をちゃんと読んで欲しい。
とても分かり易いし、かつ目からウロコであると思う。

昨年10月から開始された医療事故調は上手く行っていない。
なぜなら「レジリエンス」という概念を取り入れていないからだ。

医療安全はすべての医療、そして近年では介護の土台である。
介護の人材不足が叫ばれるが、根底には介護安全の管理システムが無いこともある。


医療事故調を意義あるものにすることは日本の医療を100歩前進させることである。
そのためには、中島和江先生が事故調のリーダーになることが一番の近道だと思う。


とても大切な領域なので、一般の方にはレジリエンスという言葉だけでも知って欲しい。


レジリエンスとは、”しなやかさ”とも言えるだろう。
私も、レジリエントな人間になりたい。

これを今年の抱負としよう。







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この記事へのコメント

レジリエント・ヘルスケア ・・・・・・ を読んで


レジリエントやレジリエンスと言う言葉、今回の
ブログで初めて知りました。


パーソンセンタードケア・ユマニチュード・バリデ
ーション・フレイルの次は、“レジリエント/レジ
リエンス”??? 

日本語はとても繊細で優れた言葉と誇りを持って
いて、何故日本人はすぐに横文字を有難たがって
使うのだろうか? と一瞬違和感を感じました。


私が現役時代、仕事の上でいろいろとストレスも
あり、その時は “打たれ強い!” とか “心の耐性”
とか “心の復元力” が大事、などと言っていたの
がこの “レジリエント/レジリエンス” という
言葉に重なってくるのかな? などと思いながら
ブログを読まさせて戴きました。


何度も “レジリエント/レジリエンス” と反芻して
行く内に、 “心の耐性” とか “復元力” という言葉
を使うと、考えが論理的に過ぎて堅苦しくなり、
今回紹介戴いた “レジリエント/レジリエンス” と
いうことばを使う方がソフトで良いのかも知れない
と考えるに到りました。


長尾先生が本ブログで言われている『レジリエンスと
は “しなやかさ” とも言えるだろう。私も、レジリエ
ントな人間になりたい!』 と仰っている理由がだんだ
んと分ってきて、最後は私も “レジリエント” な人間に
ならないといけないのでは?! と思うに到りました。


“レジリエント” な人間が増えたら、より良い社会に
なってゆくことが期待出来るように思います。

Posted by 小林 文夫 at 2016年01月12日 08:56 | 返信

長尾先生が「おもしろい!おもしろい!」と仰るから、取り寄せてみましたけど、難しいです。
resilientの意味は、「弾力性」ですか?
ひとりの患者さんの治療方法なのか、それとも学会の発表の仕方なのか、それとも国家レベルの医療の在り方なのか、物事の考え方なのか?
不思議な本ですね。

Posted by 匿名 at 2016年01月15日 11:35 | 返信

「しなやか」という単語を耳にすると、不思議と「山口百恵」さんを思い浮かべてしまう。
" しなやかに歌って♪ " と軽やかに歌唱する百恵さんは、ホントに多様な曲を変化(ヘンゲ)する
ように歌い熟す方でいらして、80年代の歌謡曲全盛の時代に至っては、音符を読み歌い上げる
"岩崎宏美"と対比されて、歌詞を歌い上げる"山口百恵" であるとプロの評論家が解説していました。
思い起こせば、歌謡曲も全盛な80年代、他のジャンルであっても人材に事欠かない豊かな時代で
あったのかも知れません。
その時は当たり前な空気の中で、どうという意識もなく過ぎてしまいますが、時代が過ぎてみると、
「あの頃は、いい時代であった。」と、平穏に過ごすことができた時代を懐かしむのだナ..と..
思いました。
付け加えますと、「しなやか=折れない 」は同義語、と捉えることに違和感は感じません。

Posted by もも at 2016年01月15日 08:19 | 返信

「来た!見た!勝った」とは。ジュリアス.シーザーのガリア戦記ですけど、老齢の鍼灸師の発表も「見た、治療した、治った!」と言う発表でした。それに対して、大学を出た二世、三世の鍼灸師が「三た主義は止めよう」と言いだしました。
でも、resilient health care の理論では、先ず治った症例から検討しよう!と言うスローガンなのですから、昔の鍼灸師のやり方で良かったんだなあと実感しました。
しかし、大規模な調査をする時は、治った症例ばかりではないと思います。失敗例と成功例が、どちらが多いかは問わずに発表できたら、何故成功したのか、何故失敗したのか、少しずつ真理に近づくと思います。
私が、聞いた鍼灸の症例報告では大阪鍼灸専門学校の坂本豊次先生の「頚髄症の症例と、頸椎椎間板ヘルニアの症例」でした。阪本先生の場合は、結果から申し上げますと、頚髄症鍼灸治療で、治癒したと言って良い結果でしたが、頸椎椎間板ヘルニアは、残念乍ら、鍼灸治療では良い結果が出ず、病院で手術して治癒したと言う結果でした。
頚髄症は、比較的可逆的な症例が多く、頸椎椎間板ヘルニアは、悪い状態が長引くと手術でしか治癒の希望が無い事もあるそうです。
resilient healthcareの本を斜めに読んで、そういう事を、思い出しました。

Posted by 大谷佳子 at 2016年01月19日 11:17 | 返信

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