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ばあちゃん、介護施設を間違えたら突き落とされるで!

2016年02月16日(火)

川崎市の老人ホームで3人の入所者を転落死させた男が逮捕された。
救急救命士の資格も持つ真面目そうな31歳の介護職員の顔や姿や
インタビューを、移動中の車のTVで観ながら、いろんなことを考えた。
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亡くなられた人とご遺族には心からご冥福をお祈り申し上げる。
社長がコメントしていたように「あってはならない事件」だとも思う。→こちら


以下、私の頭に浮かんだひとりごと。


1 これは氷山の一角ではないのか。

  施設における虐待例の増加が報道されているがそのうちのひとつ。
  大なり小なり、入居者への攻撃的な介護は存在するし知っている。


2 しかし、介護職員だけを責めるのは間違っている。

  TV番組のなかである大臣経験者はこうコメントしていた。
  「介護は人の命を預かる職業だからあってはならないこと。
   採用時に適性検査などを徹底すべきだ」という内容だった。

   聞きながら「この人、分かっていないなあ」と思った。

  あるいは、「介護職の賃金を上げないとこんな事件が起きる」とも。
  
  これも、聞きながら「それは本質ではないのだけどなあ」と思った。


3 要は、介護の世界がそのそのような体質なのが問題の本質。

  介護保険制度を盾に高齢者を金儲けに利用する体質が問題なのではないか。

  あるいは、介護の楽しさややり甲斐を創出しない土壌が本質ではないのか。
  犯人の心の中には、相当に鬱積したものが貯まりに貯まっていたのだろう。



4 だから、「国立介護学院での週1の研修」の義務づけを提案している。→こちら
   
  これは冗談ではなく、真剣な提案なので、できるだけ多くの人に読んで欲しい。

  つまり、介護職員の再教育である。
  介護の技術と楽しさを教えるのだ。

  これをさせない介護事業者は罰されるべき。
  もし私が為政者なら、絶対にこれをやる!

  タイにいても、かかってきたのは施設職員からの電話ばかりだった。

  真夜中でも「微熱があります」とか「嘔吐したが食べさせてもいいか」など
  介護に関する初歩的な質問ばかり。

  私の命は、、不勉強な介護職員に毎夜、削られている。
  だから残念だが、もうそろそろ、やめどきが近づいている。


5 いずれにせよ、介護施設への過信はやめたほうがいい。

  ベストセラーになった(現在9刷り)、丸尾多重子さんとの共著、
  「ばあちゃん、かいご施設を間違えたらもっとボケるで!」を読んで欲しい。

  でも・・・・

  もっとボケる、どころか
  突き落とされる、まで来てしまった。

  しかし、まだ間に合うはずだ。

  2025年問題や、2032年の多死社会のピークまでまだ10年以上ある。
  今すぐにとりかかるべき課題が山積している。



6  でもそんなことを知らない(勉強しない)家族は、「お金で親の幸せが買えるはず」
   と無邪気に信じるというか、完全に勘違いしている。

   早期診断、早期アリセプト、早期入所に早期精神病院コースが
   最高の親孝行であると信じて疑わない50代、60代が沢山いる。


  そんな人に向けた本が、
  「家族よ、ボケと闘うな!」だ。(現在、5刷り)

  実は、一昨日、、バンコクで講演したタイトルもまさにこの本の題名だった。
  もし「まだ読んでいない」、という人がいるなら読んで勉強しておいて欲しい。



7  総理が掲げる、「特養を増やして介護離職ゼロ」政策は完全に間違っている。
   
   特養を増やそうが、そこで働くスタッフがいない、集まらない。
   現場を知らない机上の空論とはまさにこのこと。

   介護職が離職しない魅力ある介護職場の創出を謳わないと。
   見ている方向が完全に間違っている、と思うのは私だけかな。


8 ついでに言うなら「新・オレンジプラン」も、かなり間違っている。

  たとえば、前半の「早期発見・早期治療」という目標と後半の
  「住み慣れた地域で最期まで」という目標は論理的に矛盾していると思う。

  だから「抗認知症薬の適量処方を実現する会」を結成して活動しているが
  政府と製薬会社に首を掴まれている大手マスコミは、絶対に報じない。

  「認知症と診断されて少し暴れたら精神病院に入れておけばいい」と、
  考えている医師が沢山いる。


9 これは蛇足だが、、犯人は昨年、窃盗で逮捕されて職場を辞めている。
  もしもこの犯人の親が警察官や検察関係者だったなら・・・・

  これは、みなさんもさすがに信じられないことだろうが、
  親(警察や検察)の圧力で、子供の犯罪をもみ消すことはいとも簡単にできる。
  
  日本の警察や検察は、事件をもみ消したり、デッチ上げることは朝飯前だ。
  何度も繰り返し書いているが警察や検察は、もうどうしようもないところまで来ている。

  警察は泥棒のはじまり。

  実際に警察や検察の犠牲になった人なら、この言葉の意味が分るだろう。
  決して、冗談ではない。私の身の回りで起きているまさに現実だ。

  私は今回の報道を観ながら「ああ、今日の報道でこの事件を揉み消すことは
  できなくなって、良かったー」と思った。意外かもしれないが、これが本音だ。


10 介護職員だけが悪いのではない。そんな制度を作った人にこそ責任がある。

   現行の認知症政策には、あまりにも間違いが多すぎる。
   偉い人ばかりでやると必ずこんなことになる。

   介護保険制度改革(そんなものは無いが、もしやるのであれば、と言う話)
   現場を知っているおばちゃん3人組を入れて徹底的に揉むべきだと思う。


   その、怖いものを恐れない、怖いおばちゃん3人組とは
   丸尾さん、鳥海さん、そして愛媛の中矢さんだ。


今回の事件は、単なる変質者の事件で終わらせるのではなく、
そのような職員を生んだ背景や土台を徹底的に検証して欲しい。


それが亡くなられた方がたへの最大の供養であろう。

以上、時差ボケおじんのひとりごと。


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無理かなあ・・
  












 
  
  

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この記事へのコメント

遠方まで
おつかれさまでございました。

Posted by 尾崎 友宏 at 2016年02月17日 12:24 | 返信

今日のNEWSで、川崎市内の元介護職員逮捕の映像を見ました。
その人を見た印象を云々するのは、はばかられますが、介護職員の待遇とか賃金とか教育とかの
次元では括れないものが漂い、澱んでいるのだと思います。
昔、介護の学びの場で、尊敬できる教育者=師 と出会えた事は、今の自分にとって財産です。
その師の言葉を借りますが、介護保険法が設立して間もなくの頃、資格を持つ現役の介護職が
相談に訪れて、その会話の中で「我々、介護従事者は弱者である!」と問答になったそうです。
「恵まれた貴方がたには、我々弱者の気持ちは分からないでしょう!」と介護職のセリフです。
分かるような気がしました。
当時は介護職を目指して従事するというよりは、本来の職を離職に追い込まれて、就職活動するも
行く先は「介護職」といった縮図が、当然としてあったからです。
後に時代が変わって、専門大学を出た若手が活躍しているのも目にしています。
若手が醸す、みなぎる力も素晴らしいと思いました。
ですが、やはり始まりの「体質」というのは、如何ともし難いものがあるのではないでしょうか。
某自動車メーカーが経営を刷新するために、異色の経営者を海外から招き入れて、赤字から黒字に
転じたのと同じように、介護界体質を一新するための『ヘッド』が必要とされているのでは
ないでしょうか。付け焼刃ではない抜本的対策=大なた が振るわれなければいけない...のでは
ないでしょうか。

Posted by もも at 2016年02月17日 12:31 | 返信

長尾先生、おかえりなさい。
川崎事件、おっしゃるように氷山の一角です。介護現場の人間ではありませんが、
介護保険が施行されてから「ビジネス化」する介護や福祉を外から見てきました。
どんな仕事でも働く側の「本人の資質」の問題も確かにあるのですが、介護業界に
限っては経営者のレベルの問題が非常に大きいです。「介護を食い物にする」の表現が
ぴったりの経営者がまったく少なくありません。よく名の知れた大手企業でも然り。
そして、国のどんどん間違った方向に進む2025年対策にもやきもきしています!
まだハコモノ主義なのか?そして介護職員対策にその場限りの○○省のいつもの
エクスキューズ。利権関連団体を増やしていくだけ…
先生がブログに書かれている10のポイント、全くその通りです。
私も社会の片隅で(^_^;)、ひるまず小さい声を上げ続けたいと思っています!

Posted by 匿名 at 2016年02月17日 07:12 | 返信

この事件…

なんか もう 考えただけで…
気持ち悪くなるくらい 腹が立ちます

長年 生きてきて 最期 突き落とされるはないでしょ!!
この介護職員さん 救命の資格もあったと報道されていた…

救命って…
何がやりたかったんでしょうか

行政や経営者も悪い…と 一理 あるかもしれないけど
だからと言って 方法を間違っちゃいけない

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年02月17日 09:30 | 返信

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