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10代から始める認知症予防

2016年04月02日(土)

今週の産経新聞の連載は、「10代から始める認知症予防」で書いた。→こちら
軽度認知障害(MCI)は、生活習慣の改善で正常に戻ることも書いた。
自分で「私、認知症かな?」と言って来られる方の多くは、MCIである。
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産経新聞認知症の基礎知識シリーズ第15回   10代から始める
                      MCI(軽度認知障害)の予防

 
 認知症は年単位という長い時間をかけてゆっくりと進行します。ですから「先月から認知症になってね」なんてことはあり得ません。そんな場合は別の病気のはずです。では何歳くらいから認知症が始まっているでしょうか。少し前までは40歳代からと考えられていました。しかし最近の研究では人によっては20代から始まっているそうです。SPECTという特殊なCTで調べると脳内にアルツハイマー型認知症に特徴的なアミロイドβやタウ蛋白と呼ばれる「ゴミ」が貯まっているかどうか簡単に分かります。いくら若くても貯まる人には「ゴミ」は貯まります。メタボのなかでもとりわけ糖尿病の人は脳に「ゴミ」が貯まり易いので、将来の認知症を予防するという観点からも生活習慣の早急な見直しをお願いしています。

 さて、脳の中に徐々に「ゴミ」が貯まっていても正常と認知症の間にある状態をMCI(Mild Cognitive impairment)と呼びます。平たく言えば「認知症予備軍」です。現在、日本には認知症の人が460万人いてMCIの人が400万人いると推計されています。現在、65歳以上の人の4人に1人が認知症ないし認知症予備軍と言われていますがこのMCIの人も含んだ統計です。MCIとは、記憶、決定、理由づけ、実行など認知機能のうちのひとつに問題が生じているものの日常生活に支障が無い状態のことです。MCIには5つの定義があります。1、記憶障害の訴えが本人または家族から認められている 2、日常生活動作は正常 3、全般的認知機能は正常 4、年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する 5、認知症ではない、です。

 「私、認知症かしら?」という訴えで来院される方の中にはこのMCIの人が多くおられます。MCIを放置すると認知機能の低下が進み、5年後に約50%の人が認知症に進むと言われています。「放置すれば」と書きましたが、では何をすればMCI→認知症というコースから逃れることができるのでしょうか。以前に述べた、考えながら運動する“コグニサイズ”が認知症への進行を予防する一法です。国立長寿医療センターの研究では、MCIと診断された人が“コグニサイズ”でMCIから正常に回復していました。SPECTによる画像解析でも脳に貯まった「ゴミ」が見事に消えていました。一方、国立循環器病センターの研究ではシロスタゾールという薬でMCIから認知症への進行を阻止できることが分りました。私は、“コグニサイズ”などの運動やシロスタゾールなどの薬剤に加えて糖尿病の改善と歯を大切にすること、そしてなにより禁煙が鍵であると考えています。

 実はMCIのそのまた手前の段階(Preclinical Alzheimer`s diseaseといいます)があります。MCIは多少なりとも症状がありますが、全く無症状ですが画像上脳に「ゴミ」が貯まっている状態のことです。こう考えていくと認知症はなんと10代から始まっているのです。認知症はなんとなく高齢者の病気だと思いがちですが決してそうではなく、認知症の予防は実は学生時代から始めないといけないのです。大認知症時代を想定するならば、学校教育のなかに「健康」という必須科目を加えるべきだ、と主張する所以です。
 
 
キーワード  MCI
認知症の前段階である軽度認知障害( MCI)は放置すれば約半数が認知症になるため、早期発見や予防が啓発されている。MCIのチェックリストはインターネット上で公開されている。

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この記事へのコメント

「認知症は10代から始まっている」..そうかも知れない、と思える気がしました。
数十年前に "ゆとり教育" とは名ばかり、お題目だけで終わった施策。
その頃から感じた「なんか変」な違和感を覚える教育現場でしたから。小学生であっても
かなりのストレス社会であり、窮屈な学校生活を過す苦労を思うと、発散できる場もなく
脳にストレス=ゴミが溜まっていく、が リアルに感じました。

Posted by もも at 2016年04月02日 07:47 | 返信

私は、子供の時から、あまり頭の良い方ではありませんでした。理由は、多分一人っ子だったので、兄弟で、もまれる事が無かったからではないかと思っています。
父も5人兄弟の次男でしたし、母も5人兄弟の次女でしたから、ずいぶんもまれて育ったのでしょう。
それに加えて、最近母が亡くなってから、一挙に記憶力が減退しました。
理学療法士のお勉強をしたいなあと思っていましたけど、ちょっと自信がありません。
しかし、横浜の認知症研究会に参加しますと、神経病理学の知識の無さを痛感します。
私の持っている本は、鍼灸で、弟子入りした米山義先生に教えて貰った「文光堂出版、神経局在診断」くらいですからね。未だに「錐体路系と錐体外路系の違いを図示せよ」と言うテストは0点です。
芸能界のタレントの名前も忘れて、思い出せません。
このまま認知症になっていくのかなあ。癌で死ぬのは良いけど、認知症で死ぬと分かったら、「人生の止め時」を考えます。

Posted by 大谷佳子 at 2016年04月03日 02:02 | 返信

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