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その大いびき、睡眠時無呼吸症候群?
2016年05月04日(水)
産経新聞・睡眠シリーズ第4話 異常な眠気
その大いびき、睡眠時無呼吸症候群?
朝起きた時に「充分寝たはずなのに眠った感じがしない」と感じている人はいませんか。そして日中も眠くてしょうがない人も。もしその人のお腹がポコっと出ていて、メタボのようならその人は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。夜中に大きないびきをかいていないか家族に聞いてみてください。いびきとは狭い気道を空気が出入りする時に生じる音。喉の筋肉が緩んで舌が奥に落ち込んで気道が圧迫されて出る音。しばし息が止まっても死ぬことはありません。しばらくすると脳が酸素欠乏を感知して再び呼吸をしはじめます。その様子はプールに潜ってしばらく呼吸を止めていた人が再び水面に浮かび出た時の呼吸と似ています。大きないびき→しばしの呼吸停止→激しい呼吸の再開→再びの大いびき、というサイクルを一晩中繰り返しているのが、SASという病気です。一晩中、首を絞められているのと同じようなもので深い眠りに入ることができないので寝た気がしないのです。息が止まらなくても単に大いびきだけでも睡眠中の呼吸効率は悪くなります。
SASには軽症から重症まで様々な程度があります。SASの程度は終夜睡眠ポリグラフ(PSG)という検査で調べます。睡眠外来がある病院では1泊入院での検査になりますが、自宅でも簡易型のPSG装置を装着して眠るだけでもだいたい分かります。PSG検査で1時間あたり無呼吸や低呼吸が30回以上ある人は(簡易型PSG検査なら40回以上)重症SASと診断され、CPAPという機械(保険適応)を装着して寝る必要があります。するとスッキリした目覚めに変わります。
大きないびきをかく人は日本に2000万人います。そのうちCPAPの適応になるSAS患者さんは64万人いると推定されています。しかし実際にCPAPを装着している人は15万人ほどで、約50万人の人は重症SASであるのに治療を受けないまま日々の生活を営んでいます。そのなかにはプロの運転手も含まれるでしょう。居眠り運転が原因のバスや鉄道の事故報道を見るたびに、「もしかしたらSAS患者さんでは」と想像しています。仕事で運転をする職場へのSAS検診の導入が急がれています。しかしSASかどうかは問診と視診でだいたい分かります。問診のポイントは昼間の眠気と就寝中のいびきです。私は産業医としても活動していますが信号待ちの間でも眠くなる運転者にはPSG検査を勧めています。また見た目で、あごの骨が小さければ睡眠中に舌が落ち込み易くSASを疑います。SASはメタボと同じで40~70歳の男性に多い病気です。
日中もいつも眠たいという人はSASかもしれません。放置せずにかかりつけ医に相談してください。SASを放置すると脳卒中や心筋梗塞、突然死の可能性が高まります。軽症の人は歯医者さんでマウスピースを作成します。SASかどうかはあごの骨とメタボ腹を見ればだいたい分かります。メタボの人は歩行と食事で是非とも腹囲を減らして自力でSASを克服してください。熊本地震の避難者の中にも相当数のSASの方がおられることでしょう。しかし避難所でCPAPという機械がちゃんと使えているのかどうかが心配です。被災地のみなさまが少しでも安眠できることを祈っています。
キーワード CPAP
持続陽圧呼吸法、Continuous Positive Airway Pressureの略。エアチューブと鼻マスクを介し適切な圧力を加えた空気を鼻から気道へ送り込むことで睡眠効率を上げる医療機器。
その大いびき、睡眠時無呼吸症候群?
朝起きた時に「充分寝たはずなのに眠った感じがしない」と感じている人はいませんか。そして日中も眠くてしょうがない人も。もしその人のお腹がポコっと出ていて、メタボのようならその人は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。夜中に大きないびきをかいていないか家族に聞いてみてください。いびきとは狭い気道を空気が出入りする時に生じる音。喉の筋肉が緩んで舌が奥に落ち込んで気道が圧迫されて出る音。しばし息が止まっても死ぬことはありません。しばらくすると脳が酸素欠乏を感知して再び呼吸をしはじめます。その様子はプールに潜ってしばらく呼吸を止めていた人が再び水面に浮かび出た時の呼吸と似ています。大きないびき→しばしの呼吸停止→激しい呼吸の再開→再びの大いびき、というサイクルを一晩中繰り返しているのが、SASという病気です。一晩中、首を絞められているのと同じようなもので深い眠りに入ることができないので寝た気がしないのです。息が止まらなくても単に大いびきだけでも睡眠中の呼吸効率は悪くなります。
SASには軽症から重症まで様々な程度があります。SASの程度は終夜睡眠ポリグラフ(PSG)という検査で調べます。睡眠外来がある病院では1泊入院での検査になりますが、自宅でも簡易型のPSG装置を装着して眠るだけでもだいたい分かります。PSG検査で1時間あたり無呼吸や低呼吸が30回以上ある人は(簡易型PSG検査なら40回以上)重症SASと診断され、CPAPという機械(保険適応)を装着して寝る必要があります。するとスッキリした目覚めに変わります。
大きないびきをかく人は日本に2000万人います。そのうちCPAPの適応になるSAS患者さんは64万人いると推定されています。しかし実際にCPAPを装着している人は15万人ほどで、約50万人の人は重症SASであるのに治療を受けないまま日々の生活を営んでいます。そのなかにはプロの運転手も含まれるでしょう。居眠り運転が原因のバスや鉄道の事故報道を見るたびに、「もしかしたらSAS患者さんでは」と想像しています。仕事で運転をする職場へのSAS検診の導入が急がれています。しかしSASかどうかは問診と視診でだいたい分かります。問診のポイントは昼間の眠気と就寝中のいびきです。私は産業医としても活動していますが信号待ちの間でも眠くなる運転者にはPSG検査を勧めています。また見た目で、あごの骨が小さければ睡眠中に舌が落ち込み易くSASを疑います。SASはメタボと同じで40~70歳の男性に多い病気です。
日中もいつも眠たいという人はSASかもしれません。放置せずにかかりつけ医に相談してください。SASを放置すると脳卒中や心筋梗塞、突然死の可能性が高まります。軽症の人は歯医者さんでマウスピースを作成します。SASかどうかはあごの骨とメタボ腹を見ればだいたい分かります。メタボの人は歩行と食事で是非とも腹囲を減らして自力でSASを克服してください。熊本地震の避難者の中にも相当数のSASの方がおられることでしょう。しかし避難所でCPAPという機械がちゃんと使えているのかどうかが心配です。被災地のみなさまが少しでも安眠できることを祈っています。
キーワード CPAP
持続陽圧呼吸法、Continuous Positive Airway Pressureの略。エアチューブと鼻マスクを介し適切な圧力を加えた空気を鼻から気道へ送り込むことで睡眠効率を上げる医療機器。
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この記事へのコメント
その大いびき、睡眠時無呼吸症候群 ? ・・・・・・・ を読んで
今、5月4日【水】の午前2時50分、外は春の嵐で強い
風がゴーゴーと唸りを上げて怖いくらいです。
堅固な建物の中で、守られているというのに ・・・・・・
今回の地震で避難を余儀なくされている熊本の方々のこと
に思いを馳せています。
雨の被害はなかったのだろうか? 強い風が吹いたら、
テントはどうなってしまうのだろうか? ・・・・・ と
長尾先生は今回のブログで、“睡眠時無呼吸症候群”の患者
さんのことを心配され、そして睡眠の改善装置である“CPAP”
がきちんと使えて、良い睡眠がとれているだろうか? と心配
されています。 とても大事な視点と思います。
それと並行して ・・・・・、たまたま昨夜のTVでも大きく取り上げ
て注意喚起をしていました、“口腔ケア”のことも、本ブログで
再度取り上げて、警鐘を鳴らして欲しいと思っています。
誤嚥性肺炎は食物の誤嚥で発生するのではなく、口腔内の手入れ
が行き届かず、口腔内に雑菌が繁殖することで発症する可能性が
高くなることを、改めて情報発信して戴きたいと思っています。
CPAP装置と違って、その気になれば歯を磨くこと、うがいをす
ること、出来れば口腔内ケアの液薬でうがいをすることで、せっ
かく震災を乗り越えて保った命を、誤嚥性肺炎で失うような、震災
関連死から逃れることが出来ると思っています。
“睡眠時無呼吸症候群”を心配される人が5人に一人の割合でい
らっしゃるとのことですが、口腔内ケアの状態が心配される人は、
ほぼ全員が関係することと思います。
長尾先生の、2015年4月19日【日】の本ブログ“誤嚥性肺炎は
夜作られる”〔http://blog.drnagao.com/2015/04/post-4462.html〕
・・・・・ は、私にとって衝撃的な内容でした。
改めて今回、もう一度、今度は避難生活を送っておられる、九州
地区や東北地区の人にあてて、注意喚起をして戴ければ有り難い
と思っています。 よろしくお願いいたします。
Posted by 小林 文夫 at 2016年05月04日 02:51 | 返信
鼻づまりはこの上なく辛いです。 なにしろ、命がかかってるからです。
こうしたことは普通の人にはさっぱり実感がもてないものです。
鼻づまりはいびきを引き起こします。 それは明らかです。
誰もその辛さはわかりません。 そうでない人は不自由なく息してるからです。
Posted by 花粉症 at 2016年07月18日 06:13 | 返信
私も花粉症で、少しアトピー性皮膚炎と、喘息のケがあります。
でも梅雨が終わって、カーッと暑くなると、花粉症がすっかり治る筈なんです。
嗅覚が、少し鈍麻になって来たので、「アルツハイマーになったのかな」と心配です。
花粉症の鼻炎で嗅覚鈍麻になったら、耳鼻咽喉科で、ステロイドの入った薬を貰って、点鼻して治して置かなくてはと思っているんですけど...。
鼻炎がひどい時は、副鼻腔炎の時もあるそうですよ。
Posted by 匿名 at 2016年07月19日 07:38 | 返信
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