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"集中減算"という愚・取引される患者たち

2016年05月10日(火)

もうひとつのケアマネ事業所にも「集中減算」の通知が届いた。
西宮市と尼崎市とも法人内連携にはペナルテイが課せられた。
「集中減算」とは患者さんを交換、売買せよ、という命令である。
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"集中減算"とはケアマネ事業所が「同一法人内の患者が8割を超えた」
ときに、「ケアマネ報酬の2割をカットする」、という処置である。

ただでさえ赤字のケアマネ事業所が、さらに大赤字に陥る。
法人内連携にNOを掲げることが、お役所の正義らしい。


集中減算で処分された事業所が選ぶ道は以下のふたつ。

1) 同じく集中減算を受けたケアマネ事業所と、患者さんを「交換」する。

2) 座して死を待つ。


おそらくほとんとの事業所は、1)の道を選ぶだろう。

「いろいろ事情がありまして・・・」と言い訳をしながら、他の事業所のケアマネの
受け持ち患者(利用者)さんとを、入れ替えて集中減算されないレベルまで落とす。

この交換により、収益が大幅にアップするので、
実質、患者売買に等しいが、なんでそんなことを強いられるのか理解できない。

何の問題もなく上手くいっている患者さんに無理を言うのか、言わないのかだ。

つまり
・事業所の利益を優先するのか
・患者さんの利益を優先するのか
という究極の二者択一を迫られている。


私もこの政策は完全に筋違いであることを医療タイムスにも書いたし (→ こちら
この「集中減算は間違っている」とう新聞報道を見て安心していたが、甘かった。


「集中減算」のダブルパンチを浴びてダウン寸前。

でも私は、2)を選択した。
やけくそである。


どう考えても上手くいっている患者さんを「売買」する政策が理解できないからだ。
まあ、もうどうにでもなれ!

どうしてこんな逆、逆といく施策ばかり出てくるのだろう?
どうして役所は、意味の無いどころか有害なことにエネルギーを注ぐのだろう。

正直言って、医療政策は「筋違い」ばかりで、なんだか世紀末のように感じる。
現場の事情とまったく乖離している。

元を辿れば、介護保険制度そもものに、
いくつかの欠陥があるのに、放置されたままである。

・営利企業ウエルカムで、モラルハザードを担保する仕組みが無い。
・訪問看護の大半を介護保険制度下に入れた
・ケアマネは公平中立というが、大半が株式会社である・・・


とっても不思議なのは
ケアマネ協会はなぜ怒らないのか。
あるいは、売買された患者さんの家族はなぜ声を上げないのか
あるいは、制度を作る政治家はなぜおかしいと言わないのか

もうどうでもいいのだろう。

でも、ケアマネは疲弊しモチベーションは落ちている。

まあ、世紀末なので「なんでもあり」、なのかもしれないが、
この期に及んでこんな理不尽な政策は改めたほうがいいと思う。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

医療タイムス3月号  “集中減算”という方向違い     長尾和宏
 
 ケアマネジメント、すなわち居宅介護支援事業を行っている医療法人は少なくないだろう。医療法人がケアマネさんを雇ってケアマネジメントを行う目的とは、言うまでもなく医療と介護のスムースな連携を行うためだ。しかし昨年9月から同一法人内への事業所へのサービス提供が8割を超える居宅介護支援事業所は、ケアマネジメント報酬の2割相当(200単位)を減じるという罰則規定が実施されている。俗に内マネ(法人内のケアマネ)を使わすに、外マネ(法人外のケアマネ)を使えということだ。これは病院看護に喩えるならば「病棟の看護師の2割以上は開業医の看護師を出張させて使え」ということに相当する。“集中減算”と呼ばれるこの規則は、本来、悪徳介護事業所が同一法人内にホームヘルパーサービスなどを集中させることに圧力をかける目的で生まれたのであろう。しかし現在、同一法人内の訪問看護や訪問リハビリにまで拡大されている。いうまでもなく訪問看護や訪問リハビリは医療職である。介護界の性悪説が医療界が提供する在宅サービスにまで飛び火した。

 そもそも、ケアマネが同一法人内の訪問看護や訪問リハビリを依頼することが「悪」なのであろうか。介護認定が無い患者さんの訪問看護や訪問リハビリは医療保険制度下で提供されている。介護認定があっても末期がんや神経難病の患者さんへの訪問看護は医療保険下で提供されている。こうした場合、同一法人内での連携は当然である。しかしケアマネを介した途端に“集中減算”という集中砲火に悩まされている医療法人系の居宅介護支援事業所が続出している。ただでさえ赤字ベースのケアマネッジメント部門が2割も減算されるとさらに壊滅状態に陥る。市町村行政は「集中する正当な理由」を求めているが、そもそも「正当な理由」とは何だろう。「スムースな連携」が集中の理由なのだが、それでは行政に「正当」と認められないというから不思議な話である。

 “集中減算”への対処法は2つしかない。外マネに変更するか、2割減算に甘んじるかだ。現在、多くのケアマネ事業所が“集中減算”というイジメへの対応に迫られ行政との交渉に奔走している。私はそんなエネルギーはまったくの無駄であり、その分を患者さんのために使って欲しい。つまり“集中減算”が医療と介護の連携を阻害している現実を今回、問題提起したい。これはどう考えても方向違いの政策ではないか。なぜ真面目に医療と介護の連携に尽力しているケアマネをこんな政策で振り回すのだろうか。その制度こそが無駄、と思われることが多すぎやしないか。そうした無駄は単に無駄であるだけでなく、ケアマネのモチベーションや活力を奪っている。地域包括ケア時代における医療と介護の連携促進という方向性と完全に矛盾していると思う。

 今回と同様の「方向違い」は実は他にたくさんあると思う。解決法は2つある。根治療法と対症療法だ。根治療法のひとつは、介護保険事業所も医療機関同様に相当のモラルハザードを設けることだ。あるいはすべての訪問看護をケアマネ管理下から医療保険下に戻すことも一法である。対症療法としては、一刻も早く現場の意見を広く聞き今回指摘した“集中減算”を廃止することである。そのためには、中央行政と医療・介護現場との忌憚ない情報交換の場が不可欠だと思う。
 











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この記事へのコメント

先生おはようございます。
この件は、今後見直しが検討されるようです。
4月22日の介護保険部会で、会計検査院が「居宅介護支援事業所における
特定事業所集中減算が公正中立を推進する合理的な施策ではない」と
指摘し、3月に国会に報告書を提出しているとのこと。
「一部の事業所では減算が適用されないように集中割合の調整を行う
など、公正中立を推進する合理的な施策と言えず、むしろ弊害を
生じさせる要因となっている」と強調。
<シルバー産業新聞5/10日号より>

先生が仰るように、利用者交換など現場ではおかしな現象が多々発生
しているようです。いったい日本はいつから大人のモラルがなくなって
きたのでしょう…。
厚労省の様々な観点から検討した対策とも思えず、関係者によるインモラル
な行動とか、なんだか安易で幼稚な国になってしまったと感じます。

「…見直しも検討」という表現なので、確実性はわかりませんが、
あきらかに異常なこの状態を放っておくのはいけないと思います。
早急に改善してほしいですね。利用者第一主義を貫いてほしいです。

Posted by 匿名 at 2016年05月11日 07:25 | 返信

確かに、「シルバー産業新聞」を検索して、最近のトピックスの欄に「集中減算の見直し」の項目がありますね。
厚生省って、いい加減ですね。
ケアマネジャー協議会は、あくまで「ケアマネジャーはこうあるべきです」と言う理想論を拝聴するところで、実際に、業務についている方達は、市役所の主催する「現任講習」で、報酬改定についてお勉強するので、実際に業務には3ヶ月しか、就いていないので分かりません。
実際、その診療所のお医者さん達に、訪問診療して欲しくて、そこのケアマネジャーを頼んでいるのに、全く別の営業所のケアマネジャーに代わりなさいと患者さんが言われたら不安でしょうね。
済みませんけど、よくわかりません。
ケアマネジャーよりケアマネジャーを雇っている、他の療機関か、施設経営者と連絡したらどうですか?

Posted by 大谷佳子 at 2016年05月12日 12:10 | 返信

このお話…
全く 理解できないです

訪問看護側から言えば…
うち地域に限ってという条件を出しますが…(他地域の訪問看護事業所事情を把握しているわけではないので…)
それぞれの事業所に特長があります
また選択できるだけの訪問看護事業所があるわけではありません
当然 ケアマネジャさんは 利用者さまの立場に立って どの事業所にしようかと考えていらっしゃると信じたいです

そもそも この減算という制度…発想が実におかしいと訴えたいです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年05月14日 01:10 | 返信

平成10年の春、初めて大阪府介護支援専門員協会(準)のテキストを神戸の淳久書店で読んだ時は、感激しました。
大阪大学大学院の大国美智子教授が老人虐待防止法について書いていらっしゃったし、女性のベテラン介護福祉士や、ケアプランナーや、実践的な活動家が執筆していました。
いつの間にか、まるで自治会組織と同じように、行政の下受けみたいになってしまいました。
介護支援専門員協議会の会則には除名項目もあります。本当は、法律に触れるような犯罪を犯したり、新聞やマスコミに書かれるような社会的に不名誉な事件を起こした時等を想定されます。
私は(社)鍼灸師会を除名されたのですけど、理由は私が平成元年に鍼灸認定師の資格を取ったことを知った支部長が,自分も認定鍼灸師になりたいと申し出て、東京の講習を受けたけど、レポートが出せなかったので、私を「反組織だから除名してくれ」と訴えたのです。他にも整形外科医の弟が「C型肝炎は鍼灸では感染しない(執筆者大谷)と書いた文章をでっち上げたので〈大谷名義で嘘義の文章を発行したら訴えます)と言う内容証明書を送りつけたのを根に持って訴えたので、私は除名されました。
兵庫県介護支援専門員協会は、内科のお医者さんが会長だったりしたので、まさか鍼灸師会のようなメチャクチャな除名は無いと思いますけど、あんまり内容や実行して良いデモンストレーションがどのくらいか分からない行動は、腰が引けてしまいます。
長尾先生の仰っていることは結局「長尾先生を慕って来る患者さんは大事にしたいから、守りたい」と言う当然のお気持ちだと分かりました。
でも「座して死を待つしかない」なんて仰るとなんだか東大安田講堂に立てこもった全共闘みたいで、「遅れて来たおっさんの全共闘」みたいだと思ってしまいました。
長尾先生はお医者さんだから言いたいことが言えるのですね。
ケアマネジャーはお医者さんみたいな権力は有りませんから、一時的ではありますけど「耐えるところまでは耐えてみよう」と言う感じになるんじゃないでしょうか。
孫氏の兵法には「小国は大国に逆らってはいけない」と言う格言があります。「長い者には巻かれろ」と言う意味と似ていますけど、ローマ帝国でもアメリカ帝国でも盛んな時には頭を下げて、最盛期が終わるころ反撃せよと言う意味だと思います。ローマ帝国は現在は小さなイタリア半島になって、野蛮なバルバロイと言われたフランス、ゲルマン民族と蔑まれたドイツがユーロ圏の中の第一等国ですからね。

Posted by 大谷佳子 at 2016年05月14日 02:30 | 返信

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