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ケアマネ選び

2016年06月17日(金)

産経新聞・親の介護シリーズ第二回は、「ケアマネ選び」について書いた。→こちら
介護保険制度は独特だし、ケアマネ制度も独特である。
上手にケアマネを選び、上手に介護保険を利用することは、意外に難しい。
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産経新聞・親の介護シリーズ第二回  ケアマネ選び
                 介護保険を上手に利用する
                 
 40~50歳代の聴衆が中心のある講演会で質問してみました。「みなさんは介護保険料を払っていますか?」。答えの大半は「よく分からない」でした。健康保険料と一緒に天引きされているので分かりにくいかもしれませんが、40歳以上の人は毎月5000円程度の介護保険料を払っているはずです。健康保険は保健証一枚を持ってさえいれば全国どこの病院にもかかれますが、介護保険は介護保険証を持っていてもすぐに使えません。まずは要介護認定を受ける必要があるのです。介護が必要だと思ったらまず市役所などの窓口で介護認定の申請をしてください。その際に「主治医は誰?」と聞かれますから、病院の先生ないしかかりつけ医の名前を告げてください。

 介護認定作業は以下の2つの資料を総合して判断されます。ひとつは役所の認定調査員の調査結果。もうひとつは主治医が書く意見書です。日常生活の項目は主治医といっても把握できていない内容があるので、家族に予診表のような黄色い表紙の紙に困っていることを具体的に書き込んで頂ければ助かります。この2つの資料を突き合わせながら、介護認定審査会で介護度を決定していきます。私も10年ほど審査会の委員を拝命していますが毎月役所に出向き、5人の委員と討議しながら1回につき約50人分の介護度を判定しています。なぜ2つの資料で決めるのかといえば調査員の項目は機械的なコンピューター入力です。一方、主治医意見書はアナログ的なので機械的判断では漏れるかもしれない事情をも汲み取るために突き合わせを行うのです。

 認定結果は要支援1から要介護5まで7段階に区分され、介護費用の上限が決まります。もし要介護5と判定されたなら月に約36万円分の介護サービスを受けることができます。これはあくまで上限なので1円も利用しなくてもいいし、逆に36万円を超える分は保険が効かないので自費で払っても構いません。要介護認定とはあくまで上限枠を決める作業。65歳以上の人は病名にかかわらず介護が必要と判断されたら誰でも申請できます。一方、40歳~64歳の人は末期がんや神経難病などの特定疾病の人しか申請ができません。ただし末期がんの人は、主治医がその旨を意見書に書けば、認定調査員が大至急来てくれて、認定結果も早く出ることになっています。

 さて実際に介護サービスを受けるにはケアマネさんにケアプランを作成してもらうことになります。医者と同じでケアマネも患者さん側が自由に選べます。万一相性が悪ければ変更可能です。また私が診ている在宅患者さんの中には長年、要介護5の親のケアプランを自分で作っている子供さんもいます。ケアマネさんは介護施設や医療機関等に所属している人が大半で、独立型のケアマネはほんのわずか。もしケアマネ選びに迷ったら近所の介護家族の口コミやかかりつけ医に相談するのも一法でしょう。ケアマネが在宅療養がうまくいくかどうかのカギを握っています。しかし介護保険は馴染みがない上に複雑なので制度をよく知らないという人がほとんどです。もし親の介護が近いと思ったら、子供世代は介護保険の仕組みをよく勉強しておきましょう。
 
 
キーワード 特定疾病
40~64歳は二号保険者と呼ばれ、厚労省が定める末期がんや神経難病や脳血管疾患などの16の疾病のみが要介護認定の対象となる。ちなみに交通事故の後遺症などは対象外。
 
 

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この記事へのコメント

ブログ後半
>また私が診ている在宅患者さんの中には長年、要介護5の親のケアプランを自分で作っている子供さんもいます。
親族に時間的余裕が有るのでしたら、要介護5という最高の介護度を、納得のいくプランを遂行すべく
勉強し、施設やサービス内容を調べて、介護サービスを受けるのは魅力有るナ、と思います。
介護事務も煩雑らしいですが、やってみる価値がありそうだと思います。

Posted by もも at 2016年06月17日 08:27 | 返信

今日は 市での医療と介護の連携を考える研修会に参加してきました

参加させていただき シックリいかない内容ばかりで 悲しくなってきました
これから ドンドン在宅へ 在宅へ…という流れが勢いを増すなか
こんなんでいいんでしょうかねと感じてしまいます

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年06月17日 10:18 | 返信

先日、日本介護支援専門員協会副会長の、中林弘明氏のお話を伺いました。
その中で、ケアマネジャーが、介護保険の事務手続きに追われて、勉強もできないし、利用者さんのアセスメントや、モニタリングに時間をかけて対応する気力も失われかねないとの不満が出ているとお伺いしました。
医療保険に中ではお医者さんや、看護師さんが、事務報告書に追われることなく、医療事務専門の人がいらっしゃるようですけど、ケアマネジャーは、事務手続きを自分でする事で、お給料がやっと出ている始末で、介護保険事務専門の人を雇うと、ケアマネジャー本来のケアプラン作成や利用者に対する対応へのお給料は、ほとんど無いそうです。
お医者さんの診断能力に対する保険点数が無いのと同じかもしれません。
ケアマネジャーの専門職集団は、お年寄り相手の専門職なので、大人しい人達が多いみたいです。
外部からの批判ばかり多く、事務手続き仕事に追われて、あんまり魅力のない職みたいです。

Posted by 匿名 at 2016年06月18日 07:54 | 返信

私のコメントで誤解があってはいけないと思いました。
日本介護支援専門員協会副会長は、決して介護支援専門員の不満を煽るようなことは、仰いませんでした。
そうではなくて、「事務的な仕事が多くて大変でしょうけれど、介護保険事務を、専門の事務職に頼むと、その分ケアマネジャーの給料は減るので、事務的な仕事は介護支援専門員が、しなければいけませんね」と仰っていた様に記憶しています。
この話題は、厚労省と介護支援専門員協会の幹部の話し合いの場で、出たように記憶しています。
私は、「介護支援専門員が何に苦労して、悩んでいるのか」を推測してコメントしました。
曖昧なコメントで申し訳ありませんでした。

Posted by 匿名 at 2016年06月18日 07:23 | 返信

相談できないケアマネさま…
暴走しまくるケアマネさま…


どうしたらいいんでしょうか〜
付き合うしかないんでしょうか〜

利用者さま…患者さまのことを親身になって考えてくださるケアマネさんもたくさんいます
でも
最悪のケアマネさまに出会ってしまったら
最悪です

これも運命なんでしょうか…

残念!!(昔 お笑いで なんちゃら侍っていらっしゃいましたね…)

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年08月10日 09:54 | 返信

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