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ミカルデイスもクレストールも悪い薬とは思わない

2016年08月10日(水)

週刊現代を読んで、ミカルデイスやクレストールを飲んでいる人が
とっても不安になってやめる相談に来られる人が毎日、何人かいる。
私はミカルデイスもクレストールもいい薬だと思い使っているのだが。
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週刊現代は、薬の特集を9週連続でやっている。
ミカルデイスやクレストールなどの薬の実名が続々出るのが特徴だ。

これで週刊現代は売上を伸ばしている。
真偽はともかく、売り上げを伸ばすのが週刊誌の宿命なので大成功だ。

先週、芦屋のラポルテでの講演会の冒頭に週刊現代を読んでいるかどうか聞いた。
100人中、読んでいると手をあげた人は2人だったので、購読率は2%となる。

実際、週刊現代の発行部数は50万部だそうなので、日本の人口の2%に相当する。
よく売れているといっても、高々2%なのだが。

読んだ人の反応は2つに分かれるだろう。

・週刊誌の言うことなんて、と話半分にしておく
・活字=正しい情報、と判断して怖くて夜も眠れなくなる。

後者が相談に来られるのだが、人によって答えは違う。
・あなたには必要な薬なのでやめないほうがいいし、安全である
・あなたには、もう必要が無いので、この機会にやめておこうか

大半が前者であるが、一部には後者となる人もいる。
要は、その人、その病態によって、生活習慣病の薬の是非は異なり、単純化できない。

それでも、副作用記事を読んだ人の中にはパニック障害を起こす人もいて
情報に対する反応性でも個人差は、100倍以上あると感じる。

いずれにしても、血圧が100しかない人がミカルデイスを飲めば低血圧になる。
そんな人はこの機会に中止したほうがいい。

あるいは、20種類も飲んで、降圧剤だけでも数種類飲まれて相談に来る人もいる。
そんな人もこの機会に減薬や中止をすればいい。

クレストールも、服用してコレステロールが60の人は中止したほうがいい。
あるいは、無症状の閉経後の女性でコレステロール値が160なら不要である。

当院ではコレステロール値がただ高いからクレストールを投薬することはない。
頸動脈エコーで動脈硬化が軽度~中等度以上の人に処方を検討する。

もちろん生活習慣病は、歩行と食事で改善できるので、薬の処方はよほど
高度の人ないし、合併症や既往(心筋梗塞や脳梗塞)のある人に限られる。

繰り返して脅かされている「横紋筋融解症」については、30年間、一例も経験がない。
週刊誌はすべての薬にある副作用(リスク)だけを大げさに扱い、部数を伸ばしている。

脳梗塞の既往があり、再発リスクが高そうな若年の人には、安全な薬であることと
やめるリスクを説明するが、どうしても時間がかかる。

そんな時には、「知り合いのおじいちゃん先生はみなミカルデイスやクレストールを
飲んでいるので心配ないですよ!」と説明すると、とても説得力があることが分かった。


しかし、
「長尾先生が薬をやめるように書いているじゃない!」と言う患者さんもいる。

よく読んで欲しい。
いったい、どこにそんなことが書いてあるのか?

私は電話でコメントを述べただけで、見出しは週刊誌が勝手につけているだけ。
まるで私が煽っているように見えるのは、週刊誌に応えるものとしては覚悟の上だ。

今週の第9弾には、私がコメントしていないことまで私の名前で語られているので困ったものだ。
たとえば、膵臓癌の手術ではなく、「高齢者の膵臓癌の手術」と答えたのだが・・・・

あるいは、「逆流して胆管炎云々」のコメントに至っては、まったくそんなことを言っていないし
私自身そんなことも知らないので、勝手に書かれた記事であると言える。→こちら

あるいは、「抗認知症薬」を「アリセプト」と置きかえられている。
「アリセプトは使うなら適量で使うべし」なのだが、全否定のような内容になっている。→こちら

第8弾までは、メールでのコメントチェックが反映されていたが、今週号の第9弾にいたっては、
コメントが勝手に変えられていたり、前述の私も知らないことが書いてあり、心外である。

自分がコメントを出した週刊誌の記事に、自分自身も振り回されているのだが、全国の
お医者さんはハタハタ迷惑な記事だと思うし、毎号、複雑な想いで記事を眺めている。

週刊現代さんは、売るためにこの特集をやっていることだけは、読者は知っておきたい。
お化け屋敷ではないが、わざと怖がらせられるのが好きな人が読む分にはいいだろう。



内容の真偽については、おおむね、半分本当で、半分誇張、といったところか。
第9弾の一部を除いて、私自身が発しているコメントに関しては責任を持っている。

医者仲間からは、当然、週刊誌に対応すること自体を責められる。
しかし多剤投与や残薬問題、あるいは薬物療法に依存しすぎている医療界には異議がある。

だから各方面から様々な矢が飛んでくることは覚悟の上で、企画に協力してきた。
また現代さんには、もう少し良識を持った内容に改善するよう毎回お願いしている。


今週は、週刊ポストさんにも延命治療の特集で載っている。→こちら
こちらは有益な特集であるし、次号にも載るだろう。

今後、週刊誌の取材には、「コメントは一言一句変えないこと」を条件に応じることにする。
悲しいかな、正しい情報を発信できるのは自分の本か週刊誌しか無いのが実情である。

というわけで、ミカルデイスもクレストールも必要な人には必要な薬であり、
安全性に大きな問題は無いと思うので日々処方していることを、ここに書いておきたい。

週刊誌に申し上げたいのは、
ただ人の不安を煽るだけでは先が知れている、ということだ。







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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

記事を読みながらミカルディスを飲んでいるところです。やれやれ。 ホッ。

Posted by 社会福祉士河本健二 at 2016年08月11日 08:42 | 返信

どうなんだろう..?? という気はしてしまいます。
一般人の意識調査を読む位の気持ちで、このMyコメを読んで頂きたいと思うのですが、
週刊誌には、お金を払う(購入する)という気持ちが希薄な者としては、長尾先生が
出版元に条件を付けて、真面目に執筆しようとも、媒体として半信半疑な位置付けを
持つ側からすれば、「長尾先生が書いておられるから正義」と捉えるよりは、週刊誌に
載る軽さ、の方が印象として勝ってしまいませんか?
売らんかな、という意識の上での原稿・記事だと思われてしまう位置付けの方が定着して
いるかも知れません。

Posted by もも at 2016年08月11日 10:15 | 返信

いつも興味深く拝見しています。

ところで、
「クレストールも、服用してコレステロールが60の人は中止したほうがいい。あるいは、無症状の閉経後の女性でコレステロール値が160な ら不要」とありましたが、
ここでコレステロールと記されているのはLDLコレステロールのことでしょうか?
また、あるいは 以下の記述も 服用して のことでしょうか?

Posted by 高齢初心者 at 2016年08月12日 09:01 | 返信

3年前、突然、膝の裏の筋肉が痛くなって、整形外科や内科で鎮痛と抗炎症剤を貰って飲んでいたが、一時は、杖を突いて歩いていた。近所の主婦から「颯爽を歩いていたのにどうした?」とかレジ係にもバカにされた。それが貰っていた高脂血症の薬を止めてから、みるみる膝の状態が良くなった。
コレステロールも怖いので、メバロチンも、時々おまじない代わりに飲んでいる。
高齢女性で、高脂血症の薬を飲んで、原因不明の膝痛のある人は、暫く高脂血症の薬を休んでみると、膝痛が良くなる人がいます。
メバロチンを完全に、止めるのはよくないのでしょうけど、血液検査をしながら、適宜服用してはどうかと思いました。個人的な感想でしかありません。

Posted by 匿名 at 2016年08月17日 05:22 | 返信

長尾先生の昔のブログを拝読しますと、どなたか他のお医者さんの講義で「高脂血症の薬は、肝臓からコレスレロールを取り込まないようにする薬なので、一時的にはコレステロール値が下がるが、そうなると、今度は、腸からコレステロールを取り込むので、あんまり効果がない」と言う内容の講義だったと書いていらっしゃいます。
そんな事実もあるのですね。

Posted by 匿名 at 2016年08月17日 05:29 | 返信

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