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オープンダイアローグの可能性

2016年08月20日(土)

久々に向谷地生良先生の講演会とグループワークに参加した。
北海道の浦河で精神障害者のベテルの家を主宰している医師。
オープンダイアローグ、そして良質な対話の可能性を再確認した。
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「第5回オープンダイアローグ自主勉強会in練馬」には
おそらく100数十人もの人が集まっていた。

向谷地先生の人気の高さが分かる。
カリスマの言葉にみなさん耳を澄ました。

思っていることをそのまま話し合える関係性。
幻聴お妄想もなんのその、ワイワイガヤガヤ。

「言葉」というものが持つ可能性を実感した。
精神障害者が地域で生きていくためには、オープンダイアローグの場が必要だ。

ベテルでは、統合失調の人と精神科医が一緒にバーベキューをしてワイワイガヤガヤ。
この様子を欧米の精神科医が観て「あり得ない!」と言ったという。

私はこの話を聞きながら、日本人の根底に「和」という精神があるからかな、と思った。
ユマニチュードやパーソンセンタードなんて本来は「「和」なのだから当たり前なのだが。

ベテルもオープンダイアローグも、私に言わせれば「和」そのもの。
それは精神障害者にとどまらず、医療・介護、そして社会活動すべてに共通する概念。


患者さんと医療者は、それぞれの役割を演じている。
診察室に入れば、、患者らしく振る舞わなければいけない。

医者も医者らしく振る舞わなければいけない。
”患者もどき”と”医者もどき”がまるで儀式のごとく対話する場が、「診察室」だ。

しかしオープンダイアローグの場は、そんな場ではない。
素直に自分のことを話せる場が、べテル以外にも必要だ。

もしかしたら丸尾さんの「つどい場」もそうした場なのかな。
そんな気もする。

あと、当事者研究の現状も知ることができた。
そして当然、限界もある。

個人的には「当事者研究」という日本語が少し気になる。

まず、「当事者」ってなんだ?
みんな当事者なんだけど。

対等な関係性と言いながら、「当事者」と区分することに違和感がある。
「私は当事者ですが・・・」という言葉を聞き始める時の感覚は何だろう。

それを「研究」という上から目線言葉を組み合わせることにも違和感がある。
誰が誰を「研究」するのか?

とはいえ、当事者研究という手法で救われた精神障害者は多いだろう。
精神病院から地域へ、というスローガンを後押ししてきた方法であろう。

関西の人には10月9日(日)に大阪大学で
第13回当事者研究全国交流会」が開催される。


大会理念にはこうある。
集え万国の当事者たち。幻聴さん、爆発さん、ダダ漏れ、サトラレ、パピプペポ。
発達障害、アルコール依存症、摂食障害、吃音、その他もろもろ、
生き辛さをこじらせ気味のみなさま。弱さも苦労も生きづらさも
全部情報公開して当事者研究してみましょう・・・
いわば”弱さの万国博覧会”
精神医療の常識はやけどする。研究は爆発だ!


もちろん認知症ケアにも大いに関連する。
個人的には在宅医療関係者にお勧めだ。

まだまだ道半ばの日本の精神病院解体プロセス。
そのキーワードはオープンダイアローグであり、決して薬剤ではない。



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この記事へのコメント

「すごいな!こんな場所があるんだ。」というのが率直な感想です。
以前、長尾ブログ内で紹介して頂いた 高木俊介Dr.主宰のアクト にも驚きと感心、関心を
持ちましたし、印象的な事でした。オープンダイヤローグについて、検索しただけでも
魅力的な言葉がたくさん溢れています。人間力=カリスマ によって病も吹き飛ぶでしょうと
想像できます。
最近思うことですが、「まじくる」ことの素晴らしさと難しさ、についてを今までにも頭で
分かったつもりでいましたが、さらに思いの度数が一ランク増えました。そしてまた今回、
"本気のまじくり" を実践し成功していらっしゃるのを知ることになり、本当に長尾ブログは
勉強になります。心に温かみを増すための燃料タンクのようです。

Posted by もも at 2016年08月20日 07:24 | 返信

支えがあることにより、少しのハードルを越える事ができる。
周囲を信頼することができた時に、外への一歩を踏み出せるのかも知れないし、
出来ないかも知れない。行きつ戻りつを繰り返し、進む事ができるのかどうか、
という不確実と不安定。そんな彼ら彼女らと過ごす日々だけれど、最近になって
皆で出掛ける計画に盛り上がっています。主には外食の企画。「楽しい」と言って
くれた時の高揚した話しぶりには、こちらも楽しくなります。
最近、電車に乗って遊びに出掛けました。気力がキープされてくると自信に繋がる
ようです。
当事者研究全国交流会、関東版が企画された時にもお知らせ下さると助かります。
その頃までに「行きたい!」と言う人、言える人を育んでおきと思います。

Posted by もも at 2016年08月20日 11:04 | 返信

連投失礼します。
オープンダイアローグを解説する一文下記に。
・・・・・・・
● 応答されることが治癒につながる
オープンダイアローグとは、1980年代から西ラップランドにあるケロプダス病院でおこなわれて
いる家族療法の一種。そこでおこなわれるのは、まさに「開かれた対話」。輪になって座り、
あらゆる発言が許容され、傾聴され、応答されることで会話をつなげていく。
・・中略・・
加えて、ケロプダス病院は、「スタッフがやめない職場」だそうです。医師も看護師も、全員が同じ
トレーニングを受けてセラピストになるので、妙な上下関係がなく、職種の壁もなく、
スタッフひとりひとりの自立性が尊重されて、やりがいを感じられる職場なので、誰も
辞めたがらないんだとか。
・・・・・・・・
オープンダイアローグの場に限らず、これは理想の職場だと思います。「壁の無い人間関係・職場」
介護福祉の現場が、このようになって頂けたなら、働く人が楽しそうで幸せそうで
介護福祉の諸問題も解消してしまいそうな、解消するような気がします。

Posted by もも at 2016年08月20日 11:20 | 返信

いい
経験
されたんですね。
➖ 和 ➖
の こと、ですが、
安田 登さん
ズバリ
(^o^) 和 (^o^)
題名
の 文庫本
が、あります。
立ち位 ふるまい
呼吸法

舞台 役者

(^o^)
おぎようこ
おこらんど
すぎるなよあそび、あそび詩あそび土あそび

Posted by おこ at 2016年08月21日 03:35 | 返信

11:04文章の脱字を加筆
最下段:(正) 育んでおきたいと思います。(たい が抜けていました。)

ももからももへの返信 at 2016年08月21日 08:25 | 返信

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