このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

過量服薬の原因薬剤トップ10

2016年09月11日(日)

過量服薬の原因薬剤トップ10が発表された。
9割は私も普段使っている抗不安薬や睡眠薬である。
なるべく処方しないようにしているが、患者さん要求に根負けすることが多い。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

過量服薬の原因薬剤トップ10

佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス   16/09/07 読売新聞

2015年3月に掲載した記事「乱用処方薬トップ5発表」は、1年以上 経た っても数多くのアクセスを集めており、向精神薬問題への読者の関心の高さがうかがえる。そこで今回は、過量服薬で救急搬送された患者が使用していた薬剤のトップ10を紹介してみよう。乱用処方薬トップ5は、全てトップ10入りした。

調査を行ったのは、医療経済研究機構主任研究員の奥村泰之さんらのグループ。今年8月下旬、米科学雑誌「PLOS ONE」に論文が掲載された。06年9月から13年6月までの間に、東京医科歯科大学救命救急センターに自殺関連行動で入院した933人を対象とした。このうち、意図的な過量服薬を行い、過量服薬以外の自殺関連行動を伴わず、原因薬剤を特定できた676人を解析対象とし、原因薬剤と入院の経過などをまとめた。


9割は抗不安薬・睡眠薬

 解析対象者のうち、約86%にあたる581人は原因薬剤が抗不安薬・睡眠薬だった。依存性の高さが指摘される薬が上位を占めた。これまでも度々報じてきたが、過量服薬患者の救急対応のために、多忙を極める救急現場はますます混乱し、ICU(集中治療室)の空きがなくなることもある。その結果、他の急患を受けられない問題が深刻化している。

 

 この調査では、ICUを長く使用した患者の割合も集計した。このような患者は、過量服薬の影響で、 誤嚥性肺炎や横紋筋融解症、急性腎不全などを発症していた。解析対象者全体の誤嚥性肺炎発生率は10・7%。使用患者数が5番目に多いベゲタミンは、28・8%が誤嚥性肺炎を発症した。ベゲタミンは薬物乱用を招きやすく、大量に飲むと命の危険もある。そのため製造販売する塩野義製薬は、年内で供給を停止すると予告している。詳しくは今年6月30日掲載の記事「 『飲む拘束衣』販売中止へ 」をお読みいただきたい。

 

 使用患者数が2番目に多いエチゾラム(デパスなど)の問題も、以前から記事で指摘してきた。この度やっと、「麻薬及び向精神薬取締法」による向精神薬指定を受けることになった。この件は近く、改めて記事にする予定だ。

 

 過量服薬の原因は、ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬・抗不安薬の依存性の高さだけではない。自殺衝動のある患者に、大量の向精神薬を安易に処方する医師の問題でもある。精神保健指定医の資格不正取得問題が再燃、拡大し、精神科医の診療技術や倫理観、人権意識が厳しく問われている今、向精神薬処方のあり方も一から見直す必要がある。


医療経済研究機構主任研究員の奥村泰之さんらのグループの調査より

過量服薬の主な原因薬剤(カッコ内は代表的な商品名)
薬剤名 患者数(人) ICU4日以上使用率(%) 誤嚥性肺炎発生率(%)
全体 676 10.2 10.7


1 フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース) 178 10.1 15.7
2 エチゾラム(デパス) 121 8.3 10.7
3 ブロチゾラム(レンドルミン) 113 9.7 12.4
4 ゾルピデム(マイスリー) 105 8.6 11.4
5 クロルプロマジン・プロメタジン・フェノバルビタール合剤(ベゲタミン) 104 20.2 28.8
6 トリアゾラム(ハルシオン) 103 10.7 13.6
7 ブロマゼパム(レキソタン) 91 12.1 16.5
8 アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス) 89 7.9 10.1
9 バルプロ酸ナトリウム(デパケン) 82 7.3 8.5
10 ニトラゼパム(ベンザリン) 71 9.9 16.9

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

私の父は、ハルシオンの常用者でした。
平成2年でしたか、日本の株式が、大暴落してから不眠症になりました。
持っていた株は、大したことは無かったのですけど、太平洋戦争に負けた時と同じ様に、自分の信じていた事が、ガラガラと崩れたことに自信が無くなったのだと思います。
それに、ヘビースモーカーでした。上行結腸癌と耳下腺腫瘍を患って、MRSAで死んだ時は肺癌は無かったようです。後に、長尾先生のお友達の癌専門のお医者さんが喫煙は大腸がんの素だと仰っていました。
それから、NHKの今日の健康に、喫煙者は、睡眠障害があると書いて有りました。
現代の人間は、世界的大不況なので、老いも若きも皆、鬱病で眠れない人が多くなってきているのではないでしょうか。

Posted by 匿名 at 2016年09月11日 08:01 | 返信

薬自体が悪いのでしょうか?薬の使い方が悪いのでしょうか?そもそも良い薬って何?薬自体に心があったら何とコメントするのかなあ。「俺たち薬自体が悪者なのか」みたいな?

Posted by 匿名 at 2016年09月11日 10:33 | 返信

薬服用の登竜門は、マイスリーかも知れません。ミンザイ・ミンザイと軽く言って、一晩過ぎれば
どうということもない..という誤った感覚を持ってしまいがちな薬です。
過量服薬の原因・第4位とは驚きです。依存性、常習性に結びつき易いという結果の現れかも
知れません。ブログ文中にあります、「飲む拘束衣」の言葉にはゾクッとします。
薬とは自然とは異なる作用を身体に与えるものだと、当たり前でありながら、忘れられている。
術後の人や、内疾患での薬服用が避けられない方=必要ある方、も勿論いらっしゃるので、
大雑把には語り難いですが、「お薬」ではなく、「薬物」であると自覚しなければなりません。

Posted by もも at 2016年09月11日 11:35 | 返信

薬に対する不信感が強くなると、そのうちに全ての薬が悪者(物)になってしまいそうな。

Posted by 社会福祉士河本健二 at 2016年09月12日 06:48 | 返信

長尾Dr.関連のフォーラムに参加しますと、主催元や題材が異なりはしても、本質の主旨が一致
しているので、気に掛かる項目を自分の念頭に置いて、耳を澄まして、アンテナを伸ばしていれば
自ずと答えを得ることができます。フォーラムのタイトルだけを読むと、方向性が少し違うかも
知れないと印象を受けてしまう場合があるかも知れませんが、長尾節として発信したい主張が
ぶれていないので、聞きたいこと、知りたいことは必ず含まれていると思います。
その、ぶれない一貫性が素晴らしいと、いつも思っています。
薬に関しての問題点は、河野Dr.の講演を聞くのが、一番分かり易い近道だと思います。
市民の病院依存体質 → 薬依存 、そして安易な処方をしてしまう医師も世の中には居る、という
現実を多くの市民が知る必要性があるのだと思います。
薬の一番怖い点は、その作用もそうですが、薬の種類によっては、依存性を生じてしまうことが
最も厄介なのでは、ないでしょうか。

Posted by もも at 2016年09月13日 07:40 | 返信

薬剤

過信、は
恐い。
おぎようこ
おこらんど
墨あそび詩あそび土あそび

Posted by おこ at 2016年09月15日 01:53 | 返信

われはすべて毒あるもの、害あるものをたち、悪しき薬を用いることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。
…ナイチンゲール誓詞より


薬だけで なんとかしようっていう考え方は やめたほうがいいです
薬を全否定してるわけじゃないです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年09月22日 12:40 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ