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奇跡の看取り

2016年10月02日(日)

これから書くことは、自分でも信じられないこと。
長崎講演の内容と、帰阪後の私の看取りの話。
こんなことがある。よくある。
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あっと言う間に伊丹空港に着陸。
スマホをオンにして1分後に看護師からショートメール。

在宅患者さんが下顎呼吸でいまにも息が止まりそうだと。
タクシーを飛ばして30分後にそのその家に入っていった。

入る前から子供たちの大きな声が聞こえていた。
「おばあちゃーん、おばあちゃーん!!!」

私は、その患者さんの最期の一息をたしかに見た。
その直後には、最後の子供や孫たちも到着した。

みんなが泣き叫ぶ中の、お看取りとなった。

その患者さんは肝硬変の終末期だった。
なんと勤務医時代から25年も診てきた人だ。

良性疾患の終末期なので入退院を何度も繰り返してきた。
しかし「今が終末期。家で死ぬ」と自己決定して家に戻られた。

今日は、大好きな食事やお菓子も食べて、30分前まで話して
みんなに「ありがとう!」と言って、意識レベルが低下したとのこと。

そういえば、長崎で臓器不全症の終末期について話したばかり。
肝硬変でも在宅看取りなら、吐血や下血や酷い腹水もないことも。

そして孫たちに囲まれておばあちゃんが亡くなる漫画も見て頂いたが
その絵とまったく同じ光景に、その4時間後に直面していた・・・・

4人の孫たちは、大声で「おばあちゃーん!!」と叫び続ける。
4人とも大粒の涙が、これでもかと思うくらいこぼれ落ちている。

でも大人たちは落ち着いている。

孫たちは「なんで救急車を呼ばないの?家で死ぬの?」と聞いてきた。
父親は「それはね、病院でももう手が無いからおばあちゃんの意思で帰ってきた」と説明。

小学生でもちゃんと説明すれば分かるのだ。
子供たちは「分かった」と納得した。

「平穏死」そのもの。
子供たちもいつか理解するだろう。

それにしても・・・
長崎講演で話したとおりの、まるで絵に描いたような看取りのシーンだ。

『奇跡」と書いたのは、私が「最期の一息」を珍しく、たしかに見たこと。

まるで私が帰阪するのを待っていたかのように、最期の息をして逝った。
これも長崎講演で見てもらった映画「大病人」とまったく同じ光景だ。

実は、毎回私が出張から帰った瞬間から、いつも亡くなる人が続く。
帰り道に3人の看取りが続いたこともあった。

よく「長尾は講演ばかりして、働いてない!」と言われるが、全く違う。
当院は夜間のファーストコールは365日すべて長尾一人でやっている。

休日・夜間の看取りはすべて私。 私しかいない。
まさに24時間X365日、つまり全く休まずに働いている。

たぶん(間違いなく)、世界一働いている人間だ。
私は14歳からこんな調子で働いているので、間違いなく世界一だろう。

しかしなぜか私の私の帰りを待っていたかのように帰阪した時に亡くなる。
今日驚いたのは、亡くなる前に到着したこと。(ほんの数秒前だが、珍しい)

長崎では楽しいことばかりで、2時間半話してもなんの疲れも感じなかった。
そしてその後に、さっき講演したとおりの光景がまるで演劇のように起こった・・・


スミマセン。

大切な人が旅立たれたのに、不謹慎なことを書いている。
でも25年前から関わった人の旅立ちなので私も感無量だ。

こんな不思議なことが毎回のように続くと、
本当に不思議な気分になる。

一体、どうなっているのだろう。


PS)

長崎は、果たして・・・ 晴れだった。

あれだけ雨が続いていた長崎も、晴れ男が行くと晴れた。
なぜか講演に行く先は晴ればかりで、雨の記憶は無い。

しかし尼崎も晴れ。
しかしまた台風発生、とテレビが報じている。

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この記事へのコメント

おつかれさまです!
クリック2ヶ所しました。

Posted by 尾崎 at 2016年10月02日 03:20 | 返信

「最期の一息」ってあるんですね。それを見届けるという様子は、看取り中の看取りですね。
亡き患者さんも御家族も、本望でいらっしゃるでしょう。
長尾先生の満たされた感、いい仕事を終えた充実感が伝わります。

クリック数:昨晩 4000 超えを目にしました。前日までは2390位だったのが、一機に
跳ね上がるのを見ると、リアル・Now を感じます。1万の大台突破できると、いいですね。

Posted by もも at 2016年10月02日 08:38 | 返信

さっそく私が細々と書いているブログでも紹介させていただきました。
その際、先生のお写真(右上のもの)を使用させていただきました。
このブログを見てくださる人が増えると良いです。
Dr.長尾(先生)は、お写真そのものの陽気でパワフルで働き者の先生だと神戸フォーラムでお姿を拝見させていただいて実感いたしました。あんなにも珠玉の講演メンバーが神戸に集ったのは、先生の求心力そのものだった気がします。
勤務医時代からの患者さんのお看取り、患者の側も、人生を丸ごと受け持っていただいた、と感無量だったのではないでしょうか。
先生が、全国各地で講演をされることによって、一般人もですが、医療関係者や県・国の意識が先生のお考え寄り(スタンダード)になっていくことを期待していますし、そうなっていくと信じます。時間もかかるかと思いますが、現代の空海ともうわさされております、日本中をどうか晴れにしてください。

Posted by ゆま at 2016年10月02日 08:55 | 返信

お疲れ様でした。
私も若かりし病棟看護師時代、自分が夜勤の時によく患者さんが亡くなるので悩んでいたら、婦長さんが、「あなたに看取ってもらいたいから、あなたの夜勤を選んで逝くのよ。」と。そんな非科学的なと思っていましたが、今まで、看護師の私を支えてくれる一言になっています。先生に看取ってもらえてきっと喜んでおられるでしょうね。

Posted by ルナース at 2016年10月02日 09:38 | 返信

こんにちは。
久しぶりにこちらをのぞきました。
母はステージ4の膵がんで、北九州市の自宅で独り暮らし、在宅看護を受けていました。義妹が、日中看護師の仕事をしながら夜泊まり込んでくれていました。
母が眠っていることが増えたと聞き、様子をみようと娘の私が仕事を終えて飛行機で実家に着き、弟が車で単身赴任先から帰ってきてほどなくして急変、老人ホームにいる父を急遽呼び寄せて、家に着いてすぐ、息をするのをやめていました。
家族が揃う時を選んだかのような、最期でした。
大変献身的な訪問看護師さんと親 身になってくださるお医者様のお陰で、大好きな家で最期を迎えられた母の表情はとても穏やかで、眠っているようにしか見えませんでした。
お医者様にも看護師さんにも、本当に感謝の言葉しかありません。
自分の最期もそのようにありたいし、そうできる環境がどこでも揃っていればいいな、と思います。

Posted by ふじいろ at 2016年10月02日 06:03 | 返信

看取りって、普通に家族で行っていた日常生活の一部でしたね。今は、何か特別なものになってしまったような。

Posted by 社会福祉士河本健二 at 2016年10月02日 07:27 | 返信

こんばんは。
そんな事もあるんですね。
先生の事を待ってらっしゃったんですね。
間に合って良かったですね。
クリック連打しときます。

Posted by 匿名 at 2016年10月02日 11:13 | 返信

週刊ポスト:お別れパンフレット には、臨終のタイミングに状態が変化する様子が
書かれていました。数多の看取りを経験なさったからこそ、表現できる内容だと
思いました。死に行く、旅立ちの時を真摯に見つめてきた眼差しを感じます。
心境の中に尊厳を抱いているから、率直に伝えることができる。そう思うと、
やはり、Dr.長尾は稀有な存在であることには間違いないです。
身内や大切な人を亡くした経験や心境は、年数を経ても変わることはありません。
臆面なく、素直に語ることができる機会や場は、そう多くは無いと思います。
「死を考えることは、生きることを考える に通じる。」
大切なことだと思っています。

Posted by もも at 2016年10月02日 11:54 | 返信

凄い! クリック数 5090 !

Posted by もも at 2016年10月02日 11:57 | 返信

最後の
ひと息

居合わせる、
幸せ、
やはり
(^o^) き、せ、き (^o^)
なんですね。

働き者
長尾dr.
だから、
こそ
、、、、
おぎようこ
おこらんど
墨あそび詩あそび土あそび

Posted by おこ at 2016年10月03日 05:14 | 返信

よく「長尾は講演ばかりして、働いてない!」と言われるが、>そんな事を言う人がいるんですか 驚きですね 無知も甚だし過ぎる。

Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2016年10月05日 05:13 | 返信

最期のひと息…
わたしも出逢います

人生の大事な大事な最期の時を
わたしに下さって 本当に感謝の想いでいっぱいになります

病院勤務時代は
お決まりの酸素投与があり
モニターで管理されていて
最期のひと息を感じることはできませんでした

在宅看取りでは
本当に映画のワンシーンのような場面に出逢えます

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年10月06日 10:42 | 返信

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