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日本の肺炎を巡る諸問題

2016年10月14日(金)

昨日は、ある大手メデイアが来られて「肺炎」の取材を受けていた。
高齢者の外来や在宅医療に従事していると毎日が「誤嚥性肺炎」対応。
2軒のご自宅を一緒に訪問していろいろお話を伺ったが改めて難しい問題だと思った。
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1軒は、肺炎で救急搬送と気管内挿管を6回繰り返した症例。
5回は2~3日後に呼吸器を離脱できて、1~2週間で退院して在宅復帰した。

しかし4回目からは、救急隊が家族からの搬送依頼を無視するようになり、
町内会の会長さんが救急隊に直訴して搬送が成功したということもあった。

病院の医師から私に「肺炎くらい自宅で治して。何度も搬送しないで」と言われた。

COPDがあるので、肺炎を起こしやすく、体動後に呼吸困難が強くパニックになる。
深夜や早朝に本人が「救急車!」と叫ぶので家族も私たちも従わざるを得ない。

認知症があるので、気管内挿管の記憶が無く意思決定支援は困難で
いつもパニック搬送になるが、5回は危機一髪のところで生き返った。

こうした”成功体験”だけは頭に残っているようで、すぐに救急車を要請される。
もちろん在宅で肺炎治療をしているのだが、こうした搬送例が時々あるのが現実だ。

「救急隊が救急搬送依頼を無視する」という話は、昨日はじめて聞いた。


2軒目は、50回以上も誤嚥性肺炎を繰り返している例。
20年もの付き合いがある患者さん。

外来通院時代は、肺炎での入院回数が20回を超えていた。
そこで在宅医療になって3年になるが、入院が2回に減った。(当院が入院を判断)

その2回とも、即、気管内挿管・人工呼吸器装着となったが、1例目同様に
幸運にも短期間で呼吸器を離脱できて、無事に在宅に復帰できている。

もちろん肺炎を起こすたびに毎回、入院しているわけではない。
在宅医療開始後は、10回は自宅で肺炎の治療に成功している。

2軒とも凄い症例だ。

5回も奇跡的な生還例。

あるいは、50回も肺炎を起こして
そして2回も奇跡的生還をしたなんて、たぶん無いだろう。

日本は医療レベルが高いので、都市部であればこのような例がある。

だから誤嚥性肺炎=救急搬送しない、なんて機械的な取り決めは通用しない。
さらにそんな人は、たいてい認知症があるので意思決定支援も難しい。

2軒とも家族は充分、在宅看取りに納得している。
しかし肝心の本人が「救急車を!」と叫ぶ場合は、誰も逆らうことができない。

肺炎治療は抗生剤。
在宅においても、点滴や経口剤で濃厚に治療できるが人工呼吸はできない。

あの世の手前から生還して、その後何年もの余生を楽しむことができる日本の医療。

だからこそ、肺炎治療の難しさがある。


高齢者の肺炎の9割以上は、誤嚥性肺炎だ。

全国で平穏死の講演をした後の医師からの質問は、たいてい誤嚥性肺炎に関するもの
病院の救急や呼吸器内科は、続々と搬送されてくる誤嚥性肺炎に悩んでいる。

というのも、治しても治しても、繰り返すのが誤嚥性肺炎だ。
どこが終末期なのか誰も分からないのが誤嚥性肺炎。

臓器不全症の終末期像であるとともに、
老衰や認知症での終末期像でもある。

2軒のインタビューだけでも、1時間番組ができるような濃厚な内容。
これだけで1冊の本が書けるくらい難しい問題を孕んでいる。

がん、認知症、が話題になってきた。
そして、老衰、が古くて新しい。

私は、「老い」と「やめどき」に取り組んでいる。

そしてどうやら、肺炎、を考える時代のように感じた。

PS)

寒くなってきた。
寒暖の差が激しい。

風邪の人も多い。
みなさん、厚着で出たほうがいいかも。

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この記事へのコメント

誤嚥
さけられないか?
誤嚥
防止
体操、
方法、
工夫は、ありませんか?

おぎようこ
おこらんど
墨あそび詩あそび土あそび

Posted by おこ at 2016年10月14日 01:53 | 返信

飲み込みが悪くなった時には、誤嚥するもの..と誰もが承知していれば
問題ないこと。寿命(?)よりも長生きした暁に、誤嚥性..云々..で..
って..。
苦しまない往生を、突き詰めればキリが無い。

今の職場に身を置きながら、社会一般の常識と感覚を見失わないように
心しながら過ごしていますが、各々の『エゴ』が本質を見失わせること
が、何かと道(方向性)を見誤らせる所以だと思っています。見えてきました。
その(社会の中の)エゴを成敗すべく奮闘しているDr.長尾 に見えます。
公明正大を追い求める苦労があるけれど、そう あらねば..
そうありたいと願う『純真』が、あると思います。
『エゴ』を見抜き、成敗(?)する労力は大変なものです。
そのエゴという正体は『欲』だからです。
欲求という力に対抗するには、一筋縄では敵いません。(◎_◎;)

Posted by もも at 2016年10月14日 08:38 | 返信

昔は " 日本脳炎 " とかを心配していた気がします。
蚊が媒体であったりして、少なからずの外的な不可抗力が
災いしていたりして..。
なのに、現在は人の体力が成す不可抗力を、人の技術によって
" どうにかして下さい " ...どうにかなる筈。みたいな..
それは欲でしょう。
あァ..均性を保つ機関を定めた方が..
機関、というよりは情緒を説く必要性かも。

Posted by もも at 2016年10月14日 11:08 | 返信

ほんとに難しいですね…

わたしも難しさを感じています
昨日、がんばって 病院脱出してきた末期がんの方です
おうちに帰ってきて…
残念ながら レベルが下がってきました
内服できる状態ではなくなっています

どう痛みや呼吸苦をコントロールしていくのか…
年末年始です
麻薬を扱っている薬局も少ないんです
内服を坐薬や貼り薬に変えるなら 今日しかない…と思っちゃった私は
在宅医にTELしたら
家族にTELを変わって欲しいと言われ、
「今から救急搬送しましょう…ICUになるかもしれませんが…」なんて言葉が聞こえてきます

ちょっと待ってください!
おうちでの最期を望んだんだよね…
昨日、退院して おうちに帰ってきて なぜ、また病院に送ろうとしているのかが理解できない自分がいて…
ご家族が病院に戻りたい…なんて言ってないのに
医師から救急搬送を勧められたら 病院に戻るという選択肢しかない…

だったら
在宅医を引き受けるな〜!と怒鳴りたい気分でした

…いろいろございましたが
おうちでの在宅看取りをしていく方向になりました

本当に…
難しいです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年12月30日 10:15 | 返信

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