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進化するピロリー除菌療法
2016年10月15日(土)
ピロリー菌除菌療法も年々進化している。
薬剤の進歩でいまや99.7%の確率で除菌できる時代になった。
昨夜は西宮市の中島クリニックの中島敏夫先生の講演を拝聴した。
薬剤の進歩でいまや99.7%の確率で除菌できる時代になった。
昨夜は西宮市の中島クリニックの中島敏夫先生の講演を拝聴した。
以下は私自身の勝手なメモです。
一般の方はスキップしてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
潰瘍が無い人がピロリー菌を除菌する目的とは、
ズバリ、胃がんの予防である。
40歳以下のピロリー菌保因者がもっとも良い対象になる。(内視鏡検査は必須)
では除菌することにどれくらいの意味があるのか。
実は、NNTという指標がある。
1人の患者を出さないために何人の患者を治療しなければいけないのかという指標。
この数字は小さいほど、その医療は効率がいい。
大腿骨骨折予防のヤメノビスフォス投与のNNTは、91。
91人治療すれば、1人の患者さんの骨折が減らせる。
脳梗塞や心筋梗塞を予防するための
低用量アスピリン投与のNNTは、30
では、胃がん予防のためのピロリー菌除菌のNNTは、
男性が15.3、で
女性は23.0、である
除菌後に胃がんの発生率は、3分の1に低下する。
胃がんのリスクを3分の2も減らせる予防医療は、そうは無い。
しかし再陽性化がある。
除菌1年後 1.2%
2年後には 1.5%
つまり100人除菌したとして、1~2人が再びピロリー陽性化する。
その機序として、残存菌の再増殖:新規感染=1:1
ちなみに南米は、10~15%と高いが、この差は衛生状態の差である。
さて、肝心の除菌成績について。
クラリス耐性が増えている関係上、年々、成功率が下がっていた。
ランサップでの一次除菌の成功率は7割
失敗者に対するランピオンによる二次除菌の成功率は9割だ。
つまり二次除菌までやるならば、97%の人が除菌できる。
(70%+ 30%x0.9=97%)
二次除菌中は禁酒が望ましい。
最近、タケキャブという新しいPPIが出たが
これは、除菌製剤としてもたいへん優秀である。
ボノサップボによる一次除菌成功率は、9割。
ボノピオンによる二次除菌の成功率も、9割以上。
従って99.7%の人が除菌可能になってきた。
(90%+ 10%X0.9= 99%)
C型肝炎ウイルスが95%の確率で排除できる時代になったが、
ピロリー菌は、99%以上の確率で除菌に成功する時代なのだ。
ちなみに
H2ブロッカーの登場がは、1982年。(ブラック博士はノーベル賞)
同年にピロリー菌が発見(ウォーレンとマーシャルはノーベル賞)
一方、PPI(オメプラ)の登場が、1991年。
そしてタケキャブが2015年に登場した。
PPIもいずれノーベル賞ではないか。
いずれにせよ、若い人でピロリー菌を飼っている人は除菌したほうがいい。
内視鏡で胃がんが無いことと、ピロリー菌がいることを確認してからの話だが。
では除菌療法のやめどきは?
中島先生は、75歳と答えられた。
私も同感であるが、70歳でもいいのかなという気もする。
もし80歳以上で除菌をするとしたらその目的は、胃がんの予防ではなく、
低用量アスピリンなどによる胃粘膜障害の予防、という話になる。
一般の方はスキップしてください。
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潰瘍が無い人がピロリー菌を除菌する目的とは、
ズバリ、胃がんの予防である。
40歳以下のピロリー菌保因者がもっとも良い対象になる。(内視鏡検査は必須)
では除菌することにどれくらいの意味があるのか。
実は、NNTという指標がある。
1人の患者を出さないために何人の患者を治療しなければいけないのかという指標。
この数字は小さいほど、その医療は効率がいい。
大腿骨骨折予防のヤメノビスフォス投与のNNTは、91。
91人治療すれば、1人の患者さんの骨折が減らせる。
脳梗塞や心筋梗塞を予防するための
低用量アスピリン投与のNNTは、30
では、胃がん予防のためのピロリー菌除菌のNNTは、
男性が15.3、で
女性は23.0、である
除菌後に胃がんの発生率は、3分の1に低下する。
胃がんのリスクを3分の2も減らせる予防医療は、そうは無い。
しかし再陽性化がある。
除菌1年後 1.2%
2年後には 1.5%
つまり100人除菌したとして、1~2人が再びピロリー陽性化する。
その機序として、残存菌の再増殖:新規感染=1:1
ちなみに南米は、10~15%と高いが、この差は衛生状態の差である。
さて、肝心の除菌成績について。
クラリス耐性が増えている関係上、年々、成功率が下がっていた。
ランサップでの一次除菌の成功率は7割
失敗者に対するランピオンによる二次除菌の成功率は9割だ。
つまり二次除菌までやるならば、97%の人が除菌できる。
(70%+ 30%x0.9=97%)
二次除菌中は禁酒が望ましい。
最近、タケキャブという新しいPPIが出たが
これは、除菌製剤としてもたいへん優秀である。
ボノサップボによる一次除菌成功率は、9割。
ボノピオンによる二次除菌の成功率も、9割以上。
従って99.7%の人が除菌可能になってきた。
(90%+ 10%X0.9= 99%)
C型肝炎ウイルスが95%の確率で排除できる時代になったが、
ピロリー菌は、99%以上の確率で除菌に成功する時代なのだ。
ちなみに
H2ブロッカーの登場がは、1982年。(ブラック博士はノーベル賞)
同年にピロリー菌が発見(ウォーレンとマーシャルはノーベル賞)
一方、PPI(オメプラ)の登場が、1991年。
そしてタケキャブが2015年に登場した。
PPIもいずれノーベル賞ではないか。
いずれにせよ、若い人でピロリー菌を飼っている人は除菌したほうがいい。
内視鏡で胃がんが無いことと、ピロリー菌がいることを確認してからの話だが。
では除菌療法のやめどきは?
中島先生は、75歳と答えられた。
私も同感であるが、70歳でもいいのかなという気もする。
もし80歳以上で除菌をするとしたらその目的は、胃がんの予防ではなく、
低用量アスピリンなどによる胃粘膜障害の予防、という話になる。
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この記事へのコメント
私の大好きな叔母はお医者さんに「ピロリ菌が死なない」と言われているそうです。
叔母は戦前、結核に罹って戦後に、抗生物質を大量に服薬したみたいです。そんな人はピロリ菌が死なないと、私のピロリ菌の検査をしてもらった医院の薬局で聞きました。この事は叔母には言えません。
そのような叔母のピロリ菌でも殲滅できるのでしたら、うれしいです。
Posted by 匿名 at 2016年10月15日 03:51 | 返信
こんばんは。
いつも思うんですが、名前はかわいいのに
ピロリ菌って怖いんですね。
不謹慎だと思いつつピロリ菌をおなかで飼うという表現を聞く度に
クスリと心の中で笑ってしまいます。
Posted by 匿名 at 2016年10月15日 04:06 | 返信
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