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変化する逆流性食道炎の病態と治療
2016年10月15日(土)
GERD(逆流性食道炎)研究も日進月歩である。
尼崎市内科医会の講演会には結構、沢山の先生が来られた。
兵庫医科大学準教授の大島忠之先生の講演を楽しく拝聴した。
尼崎市内科医会の講演会には結構、沢山の先生が来られた。
兵庫医科大学準教授の大島忠之先生の講演を楽しく拝聴した。
以下は私自身の勝手なメモです。
一般の方はスキップしてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
GERDは、ピロリーと違って命に関わる病態ではない。
従って、研究もあまり進んでいないようだが、実際は少しずつ変わっている。
現在、医学界には治療ガイドラインが350以上もあるそうだ。
定期的に改定されるが、医師がそれらを覚えるのは不可能。
【「pH4問題」について】
pH4とはペプシノーゲンがペプシンになるpH。
pH4ホールデイングタイムが従来言われてきたが正しいのか?
GERDにおいては関係ない。
pH6でもGERD症状が起きる人には起きる。
あるいは、胃内pH=5だけど、食道pH=3という病態があり得る。
すなわち、acid pocketの存在が指摘されはじめた。
食べた食事の塊は、立位においても胃の上のほうにある。
そこのpHが大切だ。
【GERDを慢性炎症として捉える】
GERDを慢性炎症として、そして胸やけや胸痛を
炎症性疼痛として捉えるという考えた方が出ている。
酸が出てからGERD症状が出るまでタイムラグがある。
痛みのメデイエーターとしてATPが放出されるが時間がかかる。
機能性胸やけには、PPIよりもSNRI(サインバルタ)の方が効く。
【FD機能性胃腸症のRome分類について】
2016年5月から、ⅢからⅣになった。
そして「逆流性知覚過敏症」という概念が加わった。
結局、「酸分泌」と「食道粘膜知覚過敏」という2つのパラメーターの
グラデイエーションで以下の病態が規定される。
GERD、NERD、逆流性知覚過敏、機能性胸やけ、の順となる。
【PPIの長期服用の副作用について】
1 高ガストリン血症によるカルチノイド発生は気にするほどではない。
タケキャブでもNABは残存するので、24時間完全に酸分泌を抑えているわけではない。
2 腸内細菌層の変化はまだ未解明
【GERD治療のやめどき】
これは私が質問した。
大島先生はGERD症状が無くなれば止めてもいい、と言われた。
私も同感。一生飲むのは意味が無い。
ただPPIの中止研究の結果が興味深かった。
、8週間投与のほうが4週間投与より、中止後の再発率が低かった。
これはおそらく、レガシー(遺産)効果であろう。
おそらく食道粘膜が酸暴露からの解放を記憶しているのではないか。
その意味では、40~60代のGERD治療におけるPPIは、オンデイマンドではなく
一定期間(年単位?)、維持療法を含めてしっかりやった方がいいのかと思った。
高齢になればGERDから誤嚥性肺炎になることもある。
しかし若い時にしかり治療した貯金が、後で効いてくる。
つまりGERD診療も
時空医療、先制医療の時代になるのだろう。
PS)
今日は午前中は、東京医大でユネスコの講演。→こちら
午後からは、山梨ホスピス協会で講演。→こちら
夕方は、新横浜での認知症講演会の主催者なので顔を出す。→こちら
東京、山梨、神奈川を周遊する一日である。
一般の方はスキップしてください。
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GERDは、ピロリーと違って命に関わる病態ではない。
従って、研究もあまり進んでいないようだが、実際は少しずつ変わっている。
現在、医学界には治療ガイドラインが350以上もあるそうだ。
定期的に改定されるが、医師がそれらを覚えるのは不可能。
【「pH4問題」について】
pH4とはペプシノーゲンがペプシンになるpH。
pH4ホールデイングタイムが従来言われてきたが正しいのか?
GERDにおいては関係ない。
pH6でもGERD症状が起きる人には起きる。
あるいは、胃内pH=5だけど、食道pH=3という病態があり得る。
すなわち、acid pocketの存在が指摘されはじめた。
食べた食事の塊は、立位においても胃の上のほうにある。
そこのpHが大切だ。
【GERDを慢性炎症として捉える】
GERDを慢性炎症として、そして胸やけや胸痛を
炎症性疼痛として捉えるという考えた方が出ている。
酸が出てからGERD症状が出るまでタイムラグがある。
痛みのメデイエーターとしてATPが放出されるが時間がかかる。
機能性胸やけには、PPIよりもSNRI(サインバルタ)の方が効く。
【FD機能性胃腸症のRome分類について】
2016年5月から、ⅢからⅣになった。
そして「逆流性知覚過敏症」という概念が加わった。
結局、「酸分泌」と「食道粘膜知覚過敏」という2つのパラメーターの
グラデイエーションで以下の病態が規定される。
GERD、NERD、逆流性知覚過敏、機能性胸やけ、の順となる。
【PPIの長期服用の副作用について】
1 高ガストリン血症によるカルチノイド発生は気にするほどではない。
タケキャブでもNABは残存するので、24時間完全に酸分泌を抑えているわけではない。
2 腸内細菌層の変化はまだ未解明
【GERD治療のやめどき】
これは私が質問した。
大島先生はGERD症状が無くなれば止めてもいい、と言われた。
私も同感。一生飲むのは意味が無い。
ただPPIの中止研究の結果が興味深かった。
、8週間投与のほうが4週間投与より、中止後の再発率が低かった。
これはおそらく、レガシー(遺産)効果であろう。
おそらく食道粘膜が酸暴露からの解放を記憶しているのではないか。
その意味では、40~60代のGERD治療におけるPPIは、オンデイマンドではなく
一定期間(年単位?)、維持療法を含めてしっかりやった方がいいのかと思った。
高齢になればGERDから誤嚥性肺炎になることもある。
しかし若い時にしかり治療した貯金が、後で効いてくる。
つまりGERD診療も
時空医療、先制医療の時代になるのだろう。
PS)
今日は午前中は、東京医大でユネスコの講演。→こちら
午後からは、山梨ホスピス協会で講演。→こちら
夕方は、新横浜での認知症講演会の主催者なので顔を出す。→こちら
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この記事へのコメント
消化器系医療トップクラスの実力者、Dr.長尾のメモは素人には理解不能ですが、
介護付きサ高住に居る89歳の父は、食道癌の放射線治療後、7年余り飲み続けた逆流性食道炎の薬を今年6月に止めて、とても元気になりました。3食ともほぼ完食しているようです。 ・・・100歳まで生きたらどうしよう!!! 我が家の預金も底を突いて施設費を払えなくなる・・・
とりあえずは、プロテカジン服用について「じゃ、やめてみましょう。」と、あっさり同意してくれた施設訪問医師に感謝です。
Posted by 匿名 at 2016年10月15日 02:23 | 返信
私の父は、結婚して子供が生まれた頃、貿易の仕事は上手く行かなくて、胃潰瘍になって、神戸の金沢病院で緊急に胃を2/3切ったそうです。
その為か、逆流性食道炎になっていたようです。
晩年は在宅医に「インフルエンザ」と言われて40℃の熱をだして、救急病院では誤嚥性肺炎と診断されて入院して10日後にMRSAと言われて苦しんで死にました。
誤嚥性肺炎としたら、少し上体を、起して就寝したらよかったかもしれません。
Posted by 匿名 at 2016年10月15日 04:01 | 返信
東京→山梨→新横浜 周遊(演)、お疲れ様でした。
移動慣れなんですね。移動距離と時間差が比例しない
西村京太郎小説のように、すぐそこ! みたいな感じです。
秋晴れな、いい天気で何よりでした。
Posted by もも at 2016年10月15日 10:31 | 返信
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