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古いけど優れた薬、メトホルミン

2016年10月20日(木)

産経新聞・糖尿病シリーズ第6回はメトホルミンについて書いた。→こちら
メトホルミンはかなり古い薬だが、実に優れた薬である。
若くて太っている糖尿病の人にはとても適している薬だ。
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産経新聞糖尿病シリーズ第6回   糖尿病薬の評価
                 古いけど優れた薬、メトホルミン
 
糖尿病の薬にはインスリンを含めて8系統もあります。しかも若年者の厳格な血糖コントロールのためには複数の系統の薬を組み合わせて使うことが稀ではなく高い専門性を要します。しかし糖尿病患者さんは多すぎるので、状態が落ち着けば病院の専門医から地域の開業医に日常の血糖管理を依頼することが増えています。「病院から見放された!」と落ち込む患者さんがおられますが決してそうではありません。もし病状が悪化すれば再び病院の専門医に紹介いたします。こうした病院と診療所の連携を“病診連携”と呼びます。

さて8系統ある薬のうちどの系統が最も優れているのでしょうか?それぞれに作用機序が異なるので判断は困難ですが世界的にはビグアナイド系、特にメトホルミン(商品名メトグルコなど)とされています。メトホルミンは1957年にフランスで発見されました。これは私が生まれる前なのでいかに古い薬かおわかりでしょう。1錠が10円程度と驚くくらい安い薬です。もし1割負担の高齢者なら1錠1円なので他系統の薬の価格と一ケタ以上違います。しかし安いから効果が小さいというわけではありません。安いけれど優秀な薬で世界中で最も使われている糖尿病薬です。

メトホルミンの最大の特徴は低血糖を起こしにくいこと。比較的若い肥満の糖尿病の人に適しています。加えてメトホルミンには抗加齢(アンチエイジング)作用が認められ、長寿薬としても有名です。さらにがん予防効果も確認されています。メトホルミンの主な作用部位は肝臓なので特に肝臓がんの発症抑制効果が確認されています。さらにメトホルミンは小腸でも効くことが分かってきました。その結果、最近最も処方されているDPP4阻害薬と関係が深いGLP―1というホルモンの働きを高めます。さらに胆汁酸の再吸収を阻害して便中への胆汁酸の排出を促すという作用もあります。そのために下痢という副作用が出ることがあります。しかしこうした機序で最近話題の腸内細菌層を良い方向に導くという研究知見もあります。さらには先日ノーベル賞を受賞された大隅良典教授が発見した「オートファジー」の機能を高めることも分かり、実に多様な作用機序を持ちます。

アメリカ内分泌学会は8系統ある糖尿用治療薬を定期的にランク付けしていますが、2013年も2016年もメトホルミンが第一を獲得しています。ちなみに最近“痩せる糖尿病薬”と話題になっているSGLT2阻害薬は、2013年は5位でしたが、2016年には2位と赤丸急上昇しています。SGLT2阻害薬は単に血糖を下げるだけでなく心血管系疾患の死亡率を下げることも分かってきました。しかし“脱水”や“尿路感染”という副作用があるため高齢者にはお勧めできません。

製薬会社から見ればメトホルミンは薬価が安すぎてまったく儲からないのでいまさら広告費も研究費も出ないようなお薬です。しかし比較的若年者の肥満の糖尿病患者さんには一番に処方する薬ですから製造中止にならないかいつも心配です。薬価の高い新薬ラッシュの中、このような地味だけど堅実な薬もあることを知っておいてください。しかし食事と運動療法が最優先です。
 
 
キーワード DDP4阻害薬
糖尿病治療薬のなかでSGLT阻害薬に続いて2番目に新しい系統。インスリンの分泌を強める作用がある消化管ホルモンを分解する酵素を阻害してインスリンの働きを強めることで血糖値を改善させる。
 
 

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(^-^) こっちが、もっと、いい。(^-^)

と、
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(^-^) 儲かるくすり (^-^)

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Posted by おこ at 2016年10月20日 09:52 | 返信

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