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人工補助心臓の"やめどき"

2016年11月26日(土)

米子コンベンションセンターで開催されている日本人工臓器学会の中の
DT研究会で、全国の心臓移植の先生方に人工補助心臓のやめどきに
ついて特別講演をさせて頂き、パネルデスカッションにも登壇していた。
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昨夜は高砂市医師会での講演のあと神戸で、人工膝関節手術後の
スポーツはどこまで可能かという興味深い講演を拝聴していた。

岡山からから出雲に向かう最終電車はなんだか中島みゆきの世界。
よく見ると日本一の心臓外科医がおられて、挨拶したがその後寝られた。

その先生は、今朝一番の挨拶を済ましてまた仕事に帰られた。
わずか10分の学会のために、電車に8時間くらい揺られて米子に来たのだ。

心臓外科とはそんな世界。
打ち合わせで話した50歳代の心臓外科医は週に6日病院に泊まっているという。

今日は、東大、東京医科歯科大、阪大、九大の心臓外科の教授たちと
ともに登壇して、とても有意義な3時間を過ごした。

人工補助心臓の”やめどき””に日本を代表する先生方は悩んでおられた。
私はできる限りの意見を述べたが、みなさんとても熱心に聞いて頂いた。

わが人生に、心臓外科の権威たちと一緒に演台に立つ日があるなんて想像だに
していなかったが、同じ土俵で同じ空気を吸いながら議論できるのが学会である。

「そんなに困るんやったら、抱え込まんと、みんな在宅医に丸投げしたらいいやん。
私たちはそんな患者さんのマネジメントはムッチャ得意ですから」と言うと会場はシーンと。

終了後、大会長の先生から「そんな方法があるなんて考えたことは無かった」と。

心臓外科医は、いったんつけた補助心臓をどうやって死ぬまで動かそうかと考える。
私たちは、人生の最終段階にあるひとがたまたま人工補助振動をつけているだけと考える。

心臓外科医は、うまくすればまた寿命を延ばせるのでまだ終末期ではない、と考える。
私は、人工補助心臓をつけて本人が「もうやめて」ということ自体が終末期だと考える。

予想したとおり、心臓外科医たちと私の視点は、なにを議論してもほぼ真反対だった。
だからこそ、米子までわざわざ足を運んだ甲斐があると思った。

来週は、透析医会で透析の「やめどき」について講演をする。
がん、認知症だけでなく、心不全や腎不全の終末期議論も意味がある。

11月の怒涛の講演ラッシュも残すところ、あと3本になった。
気を抜かずに頑張ろう。







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この記事へのコメント

おつかれさまでございます。

Posted by 尾崎 友宏 at 2016年11月26日 01:55 | 返信

人工心臓の止め時等と言う重要なテーマで、お医者さんが米子に集結とは、大変ですね。「神無月」みたいですね。せめて広島、岡山、山口であれば、山陽新幹線がありますけどね。
やっぱり田中の角さんの構想「日本列島改造論」で山陰新幹線も必要なのかしら。
新大阪から横浜まで往復するだけで、腰痛が出ました。横浜駅でお弁当を購入したら、新幹線に乗り遅れました。半泣きになっていたら、車掌さんが、臨時に開いているグリーン車の座席を用意してくれました。国鉄もJRになってサービス満点です。びっくりしました。

Posted by 匿名 at 2016年11月26日 05:48 | 返信

それはJRというよりも、浜っ子、の心意気でしょう。

匿名から匿名への返信 at 2016年11月26日 07:50 | 返信

なるほど..。
なんとなく、解ってきました。
今までもに、分かっていたこともありますが。
要求に応える仕事を順当に(結果を残す)ように
こなしていくうちに、もっと、もっと、と任務が
増えていっておられるように、お見受けします。
医療のプロ:医療の真髄を追及するDr. に向けて
誰のための? なんのための? と問いを投げかけて
おられる、という事でしょうか。
『神の手』と称して有名に活躍なさるDr.が、
いらっしゃいますから、そこを求めて邁進なさる
お医者さんが、たくさんいらっしゃるとは思いますが、
少しのニーズに特化する人材よりも、個人の探求心とは
別個に、現実の医療にも目を向けて下さい、と現実社会を
示して行脚される、そういった御講演でしょうか。
ピンキリ、という単語がありますが、ピンを知る方が施す
人情ある医療は、信頼の礎になると、歓迎される医療と
思います。

Posted by もも at 2016年11月26日 08:12 | 返信

対象がピンポイントの専門職ほど、
自分の専門性に酔う、というか浸る傾向が強いです。
そこだけしか、見ない、というより見えなくなる。
人間である患者を診ずに、というより「見て」さえいない。
心臓だけが見えてる医者、
は、私は要らないな。

Posted by 匿名 at 2016年11月27日 01:47 | 返信

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