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いつのまにか骨折
2016年12月06日(火)
産経新聞・歩行シリーズ第4話 いつのまにか骨折
脊椎ストレッチウオーキングで予防
みなさんは時々、体重は測りますよね。でも身長はあまり測らないはず。もし測る機会があれば是非測ってみてください。もし若い時の身長と2cm以上短くなっているならば、脊椎骨が圧迫骨折したか、しかけているのかもしれないからです。テレビでよく流れている「いつのまにか骨折」は難しい検査をしなくても身長の短縮で大体の見当がつきます。椎体骨とは頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個の計24個あります。それに仙椎5個、尾椎4個を合わせると33個ですが、仙椎と尾椎は癒合しています。さらに椎体骨の間には椎間板というクッションがありますが、これも加齢とともにすり減ります。
以前、脊椎ストレッチウオーキングという歩き方の指導を受けました。文字通り背筋を伸ばして歩くのですが、うんと伸ばすと1~2cm身長が伸びたような気がします。どうせ歩くのであれば椎体骨を伸ばすことに意識を集中して、やや大きな歩幅をとってみてください。そしてつま先ではなくかかとから着地するイメージをもち肘を意識して後ろに引いてみて下さい。すなわち胸を張り腰を少しくひねりながら歩くのです。歩くという動作は下半身のみならず、上半身や腕や肘を使う全身運動であることに気がつくはずです。いくら外見を飾ってみても年齢は歩き方に表れます。若者と老人の差は、歩行のシルエットで一目瞭然です。逆にもし歩き方が若いと年齢より若く見られます。機会があれば自分の歩く姿を大きな鏡でチェックしてみて下さい。私は診察室で患者さんに歩いてもらいます。歩き方や診察椅子への座り方を観察するだけで脳の状態までもが想像できるからです。脳の委縮が高度であったり脳の外側に血が貯まる慢性硬膜下血腫があると上手く歩けません。
高齢者はよく転倒して大腿骨頸部骨折をおこします。そのピークは80歳代後半ですが、この転倒が寝たきりのききっかけになることが実に多い。またひどい骨粗しょう症があれば転ばなくても折れることもあります。大腿骨頸部が骨折すれば、元々元気に歩いていた人であれば入院して手術をします。しかしすでに要介護状態にある人は手術とリハビリで半分は再び歩けるようになりますが、半分は元には戻りません。「手術は成功したけけれど寝たきりになりました」というパターンもたくさん見てきました。
多くの高齢者が嫌がる「胃ろう」ですが、元を辿ればあの転倒がきっかけだった、となります。だから在宅患者さんには、先に骨折の話をしています。その時、手術するのかしないのか、どこの病院に紹介してほしいのか、など多職種が集まるケア会議で予めシミュレーションしておきます。また転倒・打撲による肋骨骨折もよく経験します。これは骨粗しょう症とは関係ないと思われがちですが違います。肋骨骨折を一度おこすとその後2年間に2倍の確率で骨折を起こし易くなります。高齢者の骨折は連鎖し易いのです。
骨粗しょう症の診断に骨密度の測定は必須ではありません。むしろ身長短縮やこうした骨折の既往のほうが大切です。現在、ビスホスホネート製剤をはじめ様々な骨粗しょう症薬が臨床現場で使われています。しかし私は日々の歩行習慣による転倒予防が大切で、もし可能ならば脊椎ストレッチウオーキングでの予防を勧めています。
キーワード ビスホスホネート
破骨細胞の活動を阻害し骨の吸収を防ぐ骨粗鬆症に有効な薬剤として広く使われている。飲み薬や点滴や注射など、また毎日飲むものから週1回、月1回飲むもの(点滴や注射も)まで様々なタイプがある。
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この記事へのコメント
そうなんですか!!
私は若いころは156センチでしたが、最近はいつ測っても155センチです。
そういうわけでしたか。。。。
脊椎ストレッチウオーキング、頑張ります☆
持病で今後、ビスフォスフォネートのお世話になる可能性がありますが、
「顎骨壊死」とか怖そうなので、今から震えています。
歩いて予防できるなら、全力で予防に努めます☆
Posted by 匿名 at 2016年12月07日 10:14 | 返信
気がついたらいつのまにか高齢者の仲間入り。そんな風に歳をとっていくのかなあ。
Posted by 社会福祉士河本健二 at 2016年12月07日 11:32 | 返信
ビスホスホネートと言う薬の名前は、歯医者さんのところで張り紙がしてありました。
「ビスホスホネートを服用している方は、お申し出ください」
何でも大量に長期的に服用すると額骨壊死の原因になるらしいです。
ビタミンDなら良いと思います。
Posted by 匿名 at 2016年12月10日 06:51 | 返信
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