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橋田壽賀子さんが願う「安楽死」は叶うのか?

2016年12月16日(金)

橋田壽賀子さんが月刊文藝春秋12月号に「私は安楽死で逝きたい」と書かれ
ネット上でも話題になっている。→こちら
日本では安楽死は禁止されているので、スイスのデイグニタスに行くつもりだと。
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私は4年前にそのスイスのデイグニタスに行った。
責任者にちゃんと説明を聞いたので知っている。

第一に、デグニタスは日本人を受け入れていない。
私のところにも時々相談が舞い込むが、「相手は日本人お断り」、である。

なぜか?

日本は安楽死どころか、尊厳死さえグレーだから。(違法の可能性がある)
多くのマスコミも知識人も間違えているが、安楽死と尊厳死は異なるものである。

日本尊厳死協会は安楽死に反対している。
私は2年前、シカゴの世界大会のおいてそんな趣旨の講演をしたくらい。

もちろんそんなヘンな国は、先進国では日本だけ。
リビングウイルさえも法的に認められていない先進国中で唯一の国なのだ。

まあ多くの医者も市民もマスコミも知らないことだけど。

だから橋田さんがいくらお金を出して頭を下げて頼んでも、相手にされない。

10mも泳げない人が、「10km泳ぎたいわ」と言っているのと同じこと。


第二に、橋田さんは無邪気にこう述べられているが、
論理的に破綻している。

1)ボケたらデイグニタス行くつもりだ、
2)しかしデイグニタスはボケた人は受け入れていない
3)だから行く時期が問題である、と。        → こちら

その通りである。
だから、どうやっても、無理なのである。

日本には法律も無ければ、相手も門前払いだし、
ボケた時には、そんな判断もできないのだ。

だからずっと、罵声を浴びながら、まわりくどい議論をしている。
その背景に何があるのかも是非この機会に知ってほしい。


記事に沿って詳しく解説してみよう。→こちら
記事中にA,B,C・・・と記号を入れてみた。


A そう思う人は多い。オランダ等でも増えているし日本でも増えるだろう。

B そう、タイミングが難しい。たしかにボケてからでは行けない

  ボケたまま生きてもなにも怖くありません。
  そんな人は日本に何百万人もおられます。
  認知症に対する誤解・偏見もあるのでは。

  あといくら「周囲に言って」おいても難しいでしょう。
  せめてリビングウイル位は書いておきましょう。
  あの巨泉さんでも書かれていなかったので、無理もないかな。

C そのとおりです。
  リビングウイルさえまだ認められない後進国です。

D 尊厳死と安楽死は別物なので並列はおかしい。
  しかし7割の日本人が安楽死に賛成しているのは事実。
  繰り返すが、10mも泳げない人が、「10km泳ぎたいわ」と言っているのと同じ。

E ずっとやっていますよ。一生懸命に。人権派の人たちにヤジられながら。
  しかし日本医師会も日本弁護士会も全日本宗教連盟もみんな反対ですからね。

F 「在宅ホスピス」という選択肢もあることを教えてあげたい。
  橋田さんの自宅をホスピスにすることが私たちの日常だ。

G そう思うのであればやはりリビングウイルを書いて、貼っておかないと。
  そうしていないとお手伝いさんは、99.9%の確率で救急車を呼びます。
  そうなると100%、心臓マッサージ、気管内挿管と人工呼吸になります。

H 私もそう思います。消えるように、そして痛くないようにね。


橋田さんが無邪気にも貴重な問題提起をされたことは素晴らしいことだ。

しかしあまりにも無邪気すぎて言葉にならない。
もう少しいろんなことを知って欲しい。

たとえば、
「長尾和宏の死の授業」


大橋巨泉さんも橋田さん同様に「自宅で安楽死したい」と語っていたが
現実は、真反対の結果になった。

今、8割の日本人が橋田さんや巨泉さんと同じことを願いながらも
現実には、それが叶わないことを知ることから全てが始まる。

それは「平穏死・10の条件」の第一の条件である。

そしてさらに分かり易く、来週出る、「痛くない死に方」に書いたばかり。


もし機会があれば橋田さんに、医療の現状を教えて差し上げたい。
そして一緒にこの国の医療の歪みを治すことができれば、私も嬉しい。












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この記事へのコメント

みなさ〜ん!
ボケた家族の愛し方…の本を読んでくださ〜い
家族がいないなら 地域でもっと支えれるようにしたいですね

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年12月16日 07:13 | 返信

安楽死に7割賛成だそうですが、多分ほとんどの人が安楽死の実際を誤解していると思います。「安楽死とは何ですか」という設問があるとして、7割の正答率は出ないのではないでしょうか。「綺麗な老い」「綺麗な死に方」「綺麗な終末」それはそれでいいとは思いますが、よろよろしてても、一人で死んでも、いいんじゃないでしょうか。迷惑を少なくする様な努力は、日本人なら(日本人に限らず)多くの人がしますよね。「終活」という言葉で、「綺麗に死んでいきなさい」と何だか脅されているみたいです。人生、みんな多少はみっともないんじゃないですかね。私は、出来たら平穏な尊厳死で。死ぬとき一人でも構わないけれど、幽霊では、電話がかけられないのが悩みです。

Posted by 樫の木 at 2016年12月16日 06:22 | 返信

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