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どこへでも飛んでいく、Uber医師

2016年12月24日(土)

遠隔診療が政府で本格的に議論されている。
しかしハンガリーではすでにそれが日常らしい。
日本でUber医師のような遠隔診療が認められるのはいつだろうか。
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この原稿はハフィントン・ポストからの転載です。
http://www.huffingtonpost.jp/izumi-yoshida/uber-doctor_b_13445210.html
 
ハンガリー・Semmelweis大学医学部 在学中
吉田いづみ
 
2016年12月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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私は現在、医療系の研究室でインターンをしている。研究室には多くの医師や看護師が出入りする。体調が悪い時など、スマホで先生方に相談することもある。足腰が痛く、歩きづらい時や、生理痛がひどい時など、処置の仕方から薬局で買える薬の紹介など、メッセージ一つで済んでしまう。
  
そこで私が思ったのは、「医師と患者でも、このようにスマホ一つで診察、治療ができないのか」ということだ。
  
先日、先輩医師を訪ねて、福島県南相馬市にお邪魔した。南相馬市は福島第一原発から近く、今年の7月に避難区域が解除された地域もある。ちょっとした皮膚の炎症でも、病院で診てもらうため、何十分も車を走らせなければならないそうだ。大変な思いをして、病院に行っても、氷で冷やし、軟膏を塗れば済む症状だったりする。
  
私の祖母は長崎市内に住んでいて、街は坂だらけだ。祖母は腰が悪く、坂道を歩くことができない。病院に通えるのは、叔父の仕事が休みの日だけだ。そんな祖母は、家の中で転んだり、つまずいたりして、腰を痛めることがあるそうだ。大した痛みでないにしても、一人で病院に行くことができないため、救急車を呼ばざるをえない。病院で受ける処置は痛み止めの注射くらいだ。診察が終わり、家に帰るのも一苦労だ。叔父の仕事が終わるまで、病院で待っていなければならない。
  
南相馬の住民の方や祖母を見ていると、「電話一つで、スマホ一つで何とかなるのに、そんなに苦労するなんて」と、もどかしくなる。きっと誰しも、街中や自宅で具合が悪くなった、どこか怪我してしまったということがあるはずだ。救急車を呼ぶほどではないけど、念のために医師に相談し、薬を出してもらいたいと思ったことがあるだろう。
  
このような医療ニーズに応えるため、Uberのシステムを導入すればどうだろう。
  
Uberとは2009年にアメリカで設立された企業によって運営されている自動車配車アプリである。これはアメリカ人創設者2人がパリを旅行中、雨の中、大荷物でなかなかタクシーがつかまらず、2人で不満をもらしていた時にひらめいたアイディアから始まったそうだ。「スマホ一つで自分の場所に車を呼び、目的地まで送ってもらう」というシンプルだが、なかなか思いつかないアイディアだ。
  
私は普段は、ハンガリーの大学に通っているのだが、もちろんハンガリーでもUberは常識だ。友人たちと夜まで遊んだ際、帰宅する時に必ず使う。タクシーを使う感覚で利用している。ただ値段がタクシーよりとても安いため、お手軽だ 。日本に帰国し、このUberが使われていないことにとても驚いた。
  
ご存知の方も多いと思うが、Uberとは「安い値段でタクシーに乗りたいお客さん」と「時間があるのでアルバイトをしたい運転手」のマッチングシステムだ。具体的には、携帯電話でアプリをダウンロードして、クレジットカードを登録する。そして、利用したい時に、自分の現在地と行き先を入力する。すると、一番近くにいるドライバーの到着時間とおよその値段が表示され、ワンクリックでその車を呼ぶことができる。現在地まで迎えに来て、目的地まで送ってくれる。まさにタクシーと同じだ。
  
しかし、Uberはタクシー会社を通さないため、はるかに安い。交通状況などにもよるが、だいたい半分程度の料金で、私たち大学生でも躊躇なく利用できる。そして、行き先はもう登録してあるので、運転手と会話する必要はない。言葉の通じない海外でも簡単に使える。また、お会計は後ほどクレジットカードから引き落としなので車内でお金を払う必要もない。
  
他にも車の車種を選ぶことができたり、ドライバーの5段階評価やコメントも事前に確認し、選ぶことができる。
  
私の考えているUberの医師版というのは、スマホ一つで近くにいる医師の診察、または相談を受けることができるというシステムで、いわば「患者さんと医師のマッチングシステム」だ。
  
実際このUberの医師版が実現すれば、近くにいる医師や医療関係者がすぐに駆けつけ、診察や治療をすることができたり、多くのことが電話一本、スカイプ一回で解決してしまう。
 
例えば、電話で対処法をおしえて貰えれば、南相馬の高齢者が、わざわざ何十分も車を走らせる必要がなくなる。また、祖母の場合は近くの医師に注射を一本打ってもらうだけで時間もお金も節約できる。
  
ただ、これを実現させるには主に3つの大きな壁が立ちはだかる。
  
一つめは医師法20条だ。「医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し(省略)てはならない」と明記されている。
 
医師法での「診察」とは直接の対面診療のみを意味し、電話などでの遠隔診療は基本的に認められていない。医師法とは昭和23年にできたものだ。スマホはおろか、電話も普及していなかった。平成23年になって、遠隔診療のために注意書きが追加されたのだが、内容は「初診の患者、急性期の患者、対面診療のみで診療可能な患者には適用すべきでない」などの制限が多い。
  
そして二つめは診療場所だ。医師法で定められている、「医療提供施設」でなければ診察、治療はできないことになっている。しかし今、日本が推進している「在宅医療」のように自宅では診療可能なのに、一歩外に出ると診療は不可能だ。在宅医療も再診の方のみ診療可能だ。どうして、街中で診察してもらったらいけないのだろう。
  
最後は診療報酬だ。社会保険診療報酬が明確にされていない。遠隔診療の報酬面は、再診料+処方箋料、◯◯管理料など算定できません。例えば、風邪の場合は初診料+処方せん料で350点(3500円)にもかかわらず、遠隔診療の場合は、再診料の72点(720円)が算定されるだけだ。これでは、医師への報酬が十分とはいえない。 つまり同じ病気でも対面で行った方が報酬が高いため、あえて少ない報酬を選択する医師は少なくなるのだ。
  
ここまで話すと、患者は得するが医師には利益がないように思える。しかしそれは違う。
  
私は将来、医師として働く。結婚もしたいし、子供も欲しい。せっかく医師免許を取ったならば、専業主婦ではなく、仕事も続けたい。しかし、医師という仕事をしながら、私生活や子育てを充実させるのはとても難しそうだ。医学生の私も今から将来のライフバランスに不安を感じる。だが、Uberの医師版が実現したら、それぞれの医師が独立して働けるため、好きな時間に働くことができる。そうなれば、家庭とのバランスも難しくなくなるのだ。
  
こんな患者にも、医師にも優しい「Uberの医師版」という仕組みができることを切に願う。

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この記事へのコメント

国によっては、自由度が日本よりも格段に勝っている証でしょうか。
日本は何かにつけて法律に縛られているので、何かの事業を起こそうと思う時
には、まず法律を調べて学ばなくてはならないでしょう。
Uberとは日本でいう、いわゆる白タクであり、白タクは違法だと思います。
日本には「道路運送法」という法律があります。
この法律において、タクシー事業は「一般乗用旅客自動車運送事業」
とされており、国土交通大臣の許可が必要。

『どこへでも飛んでいく』ですが、地域で時折見かける『民間救急車』という
ステッカーが印字された自動車があります。詳細を調べてはいないのですが、
独居の高齢者が自治体を通して契約する『緊急通報システム』により、
知らせを受けた時に、馳せ参じて下さる方々でしょうか。
添乗しているのは医師ではないそうですが、「すぐ来る」という迅速さには
定評があります。お年寄りの方々からの口コミなので(役所に問い合わせた詳細
ではないので)その自動車=緊急通報車 なのかどうか真偽は判りません。
けれど、「誰かがすぐに来てくれる」という心強さは確かなようです。
その車両にスカイプが搭載されていれば、実現可能な事柄ではないでしょうか。

Posted by もも at 2016年12月24日 05:07 | 返信

訪問看護を利用する場合…
介護保険での訪問と医療保険のでの訪問の2パターンがああります

これは
利用者さま、患者さまが選べるのではなく 国が作った不思議なルールで振り分けられる仕組みなんです

介護保険が適用である利用者さまから緊急電話がかかり 訪問を依頼されても
「はい!うかがいます」とすぐに返事ができないんです
介護保険には 限度額があり
いろんなサービスをケアマネジャーさんがプランを立ててくださっていて
限度額を超えると自費になってしまうんです

だから
闇雲に訪問に伺うことはできません
利用者さまから
「来てくれないの〜?」と思われているかもしれません
誠実に対応して
訪問して何をするのかを瞬時に判断して決めていかなくてはいけない力が求められます

時には ご家族が看護師になっていただくこともあります
もちろん 医師やケアマネジャーさんにも繋げていきます

訪問看護でいう電話での緊急対応が
この遠隔診療にあたるのかもしれません

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年12月25日 08:28 | 返信

岩手~東京~パリ~イタリアの遠隔治療やりました。
患者はイタリア在住、夫人はパリ在住。病院は 東京有明がんセンターでした。
岩手の訪問介護ケアステーションで コーディネートして、ステージ4の
癌で手術をせず 3年経過して、東京で在宅看取りしました。
全員が対面することはなく ネットと電話でした。

カメラマンの患者は 終末期に写真集を出版しました。
この出版が、喪中案内でした。

Posted by kayabuki110 at 2016年12月26日 05:10 | 返信

湿疹の遠隔治療
①薬物治療での副作用が激しいという患者さんが、代替療法の治療を求めてきたので、代替医療の医師を紹介した。
②医師の処方に従い 代替医療の選択をネットで行う。
③1か月の治療後、再診して、医師と患者の 治療方針の確認
④医師と管理栄養士との 指示箋のネット確認
⑤患者さんと管理栄養士のネットでの 治療ガイド
https://www.facebook.com/events/368025496870170/

代替医療は保険適応外が多いので 管理栄養士はボランテイア活動になっています。

Posted by kayabuki110 at 2016年12月26日 07:53 | 返信

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