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終末期講演で全国を巡り感じたこと

2017年01月05日(木)

医療タイムス1月号には「終末期講演で全国を巡り感じたこと」で書いた。→こちら
日本の医療はかなりおかしなことになっていることを指摘させて頂いた。
2冊の新刊も病院の医療者に少しでも届いて欲しい。
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医療タイムス1月号  終末期講演で全国を巡り感じたこと  長尾和宏
 
 この5年間、診療の合間を縫って全国各地を駆け巡った。求められるまま48都道府県すべてを回り1000回以上の講演をさせて頂いた。単純計算で2日に1回のペースであるが1日に3都市で講演した日もあった。医療界・医学界だけでなく永田町の政治家や厚労省の方への講演もあった。講演テーマは「人生の最終段階の医療」を中心に「がん」「認知症」「地域包括ケア」などなど。我が人生で50歳を超えてからこんな役が回ってくるとは信じられないことだが、とてもいい経験をさせて頂いた。こんな町医者を呼んで頂いた皆様に感謝申し上げたい。今回、全国行脚を5年間続けていて感じることを書いてみたい。

 1点目は「人生の最終段階の医療」への関心が医療界も市民も急速に高まっていることだ。5年前はこのテーマでの病院内での講演はタブーであった。医療現場で「平穏死」なんて言葉はもってのほか。大学病院、がんセンター、日本医師会もトップから直接そのように注意されていたのがわずか5年前。しかし30冊の本を書きたくり多くの講演をするうちに世の中の空気が少しずつではあるが確実に変わり始めている。これは終末期医療をタブーにしてはいけない、と多くの人が肌感覚で気がついてきたらではないか。

 2点目は市町村医師会長と首長さんの両方ともが終末期医療に熱心な地方自治体が確実に増えてきていることだ。地域包括ケア推進のための必須条件である。実に熱心な医師会長さんと首長さんが全国各地におられる。介護界の人たちをもその気にさせるには、まずは医師会長さんと首長さんの熱意や本気度しかあり得ない。どちらが欠けてもダメである。しかし嬉しい“兆し”をはっきり感じることが増えてきた。

 3点目は、病院勤務の医師や看護師の意識の高まりだ。在宅医療界と病院医療界にはとてつもなく大きな壁があったのが5年前。アトランテイス大陸と日本くらいの文化の差に感じたが、現在はアフリカと日本くらいに縮まってきた。もちろんまだまだ課題が多いが、地域連携だけでなく死生観という視点でも両者はいい方向に向かいつつある。

 次に今後の課題を挙げてみたい。1点目は、終末期ガイドラインを出している各医学界がまだひとつにまとまれていないことだ。日本救急医学会と日本循環器病学会と日本集中医療学会の3学会が合同してガイドラインをまとめたことは画期的だった。続いて日本老年医学会と日本糖尿病学会が協働して「高齢者の糖尿病治療ガイドライン」を示したことも素晴らしい。今後、日本医学会などがそれらをどう統合し市民に啓発していくのかが大きな課題となろう。2点目は、今年は日本人工呼吸療法学会や日本人工臓器学会や埼玉透析医学会などからも呼んで頂いたが、「臓器不全症」の終末期医療の難しさである。特に人工補助心臓装着患者の終末期医療を巡るシンポジウムに参加させて頂いた時に、この問題の根深さを改めて感じとても勉強になった。今年はがんや認知症だけではなく、臓器不全症の終末期も腰を据えて論じる年になるのだろう。

 年末に拙書が2冊同時出版された。「薬のやめどき」と「痛くない死に方」(ブックマン社)。力を入れて書いたつもりだが、みなさまの忌憚ないご意見を是非ともお伺いしたい。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

全国各地に、自分の思い・信念を説いて巡るチャンスがあるなんて、どれ程
幸せなことでしょう。そうできるのは、どんな職種か? と一般的な該当を探して
考えてみても、そうは無いような気がします。人は誰でも、自分を知って欲しい
という承認欲求がありますが、世の中の仕事一筋人間の多くの方も、本音を
手繰り寄せれば、元はと言えば、自己主張・自己表現なのかなァと思います。
一般企業や現代の風潮では、残念ながら、自己主張は嫌われ易い要素になって
しまいました。各々が思いのたけを述べ合うことで、活性化する利点もあると
思うのですが、難しい時代になってしまったようです。
幼い頃に、3分間スピーチとかの必須があって、「自分を表現しよう!」とかを
推奨していた時代は、遠い過去なのでしょうか..。
成功者の長尾先生は、これからも忌憚なく自己主張し、世の中を浄化して下さい。
自分を表現することは、生きている証であり、「和」への登竜門であると思いますから。
それを良しとする、新しい時代でありますように!
世界中の人々が、一同に日本を訪れる時が、もうすぐです。
グローバルな日本人であるために。

Posted by もも at 2017年01月06日 07:50 | 返信

先生おつかれさまです、
先程先生の往診車の前走ってました。

がんばってください。

Posted by 尾崎 友宏 at 2017年01月06日 08:01 | 返信

ほんとに…
お疲れさまです

家族が選んだ「平穏死」…
この本のように
実際にも看取ってよかったという声が もっともっと 上がるといいですね

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2017年01月06日 11:50 | 返信

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