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高齢者の肺炎

2017年02月01日(水)

日々、高齢者の肺炎と対峙している。
入院加療するかどうかか迷うこともある。
また肺炎かと思いきや別の病気だったりする。
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産経新聞第4回は、高齢者の肺炎について書いた。→こちら

先日、肺炎かと思ったら、入院して調べたら
肺動脈血栓症(エコノミークラス症候群)だった。

在宅でよく診る高齢者肺炎は奥が深い。

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産経新聞・呼吸器シリーズ第3回  高齢者の肺炎
                肺炎球菌ワクチンで予防を
                    
インフルエンザが猛威を奮っています。介護施設や病院では集団感染も起きています。外出頻度が少ない在宅患者さんもデイサービスやショートステイでインフル感染する可能性があります。インフルと診断されたら5日間ないし咳が収まるまで自宅で安静にしてください。高齢者がインフルに感染するとそれに引き続いて肺炎になることがあります。

 肺炎は、がん、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第三位です。特に後期高齢者は気がつかないうちに肺炎を起こし易いことは常に意識しておくべきです。一般に肺炎を疑う症状とは38度以上の発熱、咳、痰ですが、これらは風邪やインフルととてもよく似ています。しかし高齢者の場合はこれらの典型的な症状がはっきり現れずに、「食欲がない」、「なんとなく元気が無いない」だけということがあります。だから風邪やインフルの後はご家族は注意深く観察をしてください。また高齢者の誤嚥性肺炎を診る機会も年々増えています。要介護状態が進みものを飲む込む力が弱まっている人は要注意です。ただし食べものの誤嚥よりも、夜間睡眠中に口腔内に貯まった唾液が徐々に気管内に入る「不顕性誤嚥」により引き起こされる肺炎の方が多いことを知っておいてください。だから寝る前の歯磨きや口腔ケアがとても大切です。

  肺炎は聴診所見、胸部レントゲン写真、血液検査(白血球数とCRPという炎症反応)などにより診断されます。しかし在宅現場では充分な検査ができないこともあります。一般の人でも分かりやすい指標として呼吸数や脈拍数も大切です。いつもより呼吸や脈が早くて顔色が悪ければ一番に肺炎を疑い医療や介護スタッフに連絡してください。酸素飽和度を測ることができるのであればこれも重症度の指標になります。

 肺炎の治療は病原体に適した抗菌剤を飲み薬ないし点滴という形で使います。軽症の場合は外来通院や在宅で、重症なら入院加療になることが多い。しかしこの季節はどこの病院も高齢の肺炎患者さんで混みあっています。誤嚥性肺炎は一旦治っても何度も繰り返すことが特徴です。ちなみに数年の間に何十回も誤嚥性肺炎を繰り返した在宅患者さんを経験しました。そのうち数回は救急車搬送となり短期間ですが気管内挿管と人工呼吸器を装着していました。しかし幸運なことにいずれも回復し在宅に復帰したケースです。しかし最期は本人も家族も病院の先生も「これ以上は治せないだろうから家で治療する」との意見で一致して、希望どおり自宅で旅立たれました。亡くなる1時間前まで食事を楽しんでの大往生。誤嚥が怖いからと、まだ充分食べられるのに食べささないのはあまりにもモッタイないことです。生きるとは食べること、と考えます。

 肺炎予防のために高齢者には肺炎球菌ワクチンの接種が推奨され、費用の助成を行っている自治体もあります。対象者は65歳以上で5年間有効です。65歳から5年毎の節目に自治体から公費助成の紙が届いた人は近くの医療機関で接種されることをお勧めします。
私は日ごろから肺炎になりにくい生活習慣を説いています。具体的には毎日30~60分歩く習慣、腹式呼吸、充分な睡眠、禁煙などです。65歳以上になれば肺炎予防を意識して下さい。
 
 
キーワード  肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌による肺炎を予防し重症化を防ぐ目的で65歳以上の人や持病がある人にはワクチンの接種が推奨されている。接種してから抗体(免疫)ができるまで約3週間かかる。

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この記事へのコメント

介護施設で生活している90歳の父は昨年の初夏と先週、誤嚥性肺炎(と私が勝手に言っている)による39度の発熱。食欲不振の後、急にいきなり高熱になるのだ!!! 
今回は飲み薬で2日ほどで熱が下がってケロリとまた完食し始めた。前回は点滴となったが途中で自分で抜いてしまって困った。
もう、いいや、と思っている。抗菌薬や解熱剤は飲むので、クスリで治らなければそのまま高熱にうなされていればいい、と思っている。身体を拘束してまで点滴しないつもりだ。
口腔ケアが大事なのは私はわかっているので、父は総入れ歯なのだが歯が無くても定期的に歯科往診を受けたほうが良い、と何度も話したが絶対拒否。口の中をいじられるのが絶対イヤな人なのだ。勝手にしろ、と思っている。
憎まれっ子世に憚る、である。

Posted by 匿名 at 2017年02月03日 01:27 | 返信

高齢者では、圧倒的に誤嚥による肺炎が多い様ですね。
誤嚥による肺炎は、通常のレントゲンでは、確認する事が多いのが特徴の様です。私が高齢者の診療に従事したのは、単科の精神病院ですから、レントゲンも自分で撮らなければ行けませんでした。
認知症の高齢者が主体でしたから、嚥下障害から誤嚥性肺炎になる事が多かったです。臨床的に、発熱・湿性咳嗽があり背中側で湿性ラ音を認める事から、肺炎と診断し確認の為、レントゲンを撮りました。でもレントゲンで肺炎を確認できたケースは、少なかったです。その当時は、何で映らないのか?と悩みました。
数年前に、ヘリカルCTがある病院で、その謎が解けました。周辺の特養などで発熱した高齢者を、受け入れて居たのですが、通常のレントゲンでは、肺炎となかなか確認できないのは同じでした。それで、CTで確認する事にしたのです。自分が受け持ちに成った老人ホーム等で発熱した高齢者9例を、レントゲンとCTを撮影して比較しました。
この連続した9例は、レントゲンでは多量に胸水が溜まった1例だけでした。しかし9例ともCTでは、全て肺炎である事が、確認できました。
誤嚥による肺炎の特徴は、
1、前例炎症性胸水を伴って居ました。
2、炎症は、下葉の広い範囲に背側の胸膜に沿って浸潤影が広がって居ました。下葉全体に広がって居ましたが、病変の暑さは薄く、厚くともせいぜい2〜3cm程度でした。一部浸潤影が厚く成って居る場合もありましたが、これを単純レントゲンでは全く確認できませんでした。単純で胸水が確認出来たケースでは、浸潤影が、かなり厚く広がって居ましたが、胸水に存在でマスクされた為か、この浸潤影が確認出来ませんでした。
3、この9例でも一部で認められましたが、他のケース(肺炎以外で入院して居るケース)で見ますと、誤嚥による肺内病変は、胸膜に接した部位の細い気管支の炎症が、主体だという事です。繰り返し誤嚥による炎症で、驚くべき変化を残すケースも少なくありません。この様な細気管支炎は、器質化しくさび状の無気肺を呈する事が、多いのです。胸膜に接してくさび状の無気肺像が多発して居るケースが珍しくありません。多くは下葉の背側の胸膜に接する病変のが多いですが、時に中葉にも見られます。臥床して居る夜間に誤嚥する事が多い為か、多くは下葉に接した領域にこの楔状の無気肺が集束する為、中・下葉間の胸膜が浮かび上がった様に見えて居ます。胸膜に接した領域の細気管支炎が、初発の病変であり、これが広がると炎症性胸水を伴うと考えられます。
この様な変化は、多くの医師に知られて居ない様です。放射線の医師は、器質化した肺炎像があると指摘する医師が増えて居ますが、誤嚥性肺炎と言う指摘をする医師に会った事はありません。
私は、高齢者の発熱の原因は、大部分が誤嚥性肺炎だと考えて居ます。

最近の若い医師は、知らないと思いますが、高齢の女性は、100%慢性尿路感染症を起こして居ます。尿検査で、尿路感染の有無を確認すると、一部の例外を除き、ほぼ100%尿沈渣で白血球を認めます。検査の直前1週間以内に、抗生剤を使用されて居ると、尿沈渣で白血球を認めなくなります。でも、抗生剤をやめて1〜2週間程度で、元の様に慢性尿路感染となってしまいます。慢性尿路感染で発熱を起こす事は、余りありません。出来高時代の老人病院では、毎月尿検査を行う事が多く、この当時高齢者を相手にして居た医師の多くは、知って居た事実です。

最近救急の現場に居る医師の多くは、この事実を知らない様です。胸部単純写真と尿検査で、発熱の原因を尿路感染と誤診する医師が、多い様です。

後長尾先生に質問なのですが、肺炎球菌による肺炎は、高齢者ではどの程度の頻度なのでしょうか?
私は、肺炎球菌による肺炎と確認出来た経験がほとんどありません。1例、インフルエンザに罹患し肺炎で亡くなったケースで、鉄錆様の痰を認めたケースを経験しました。肺炎球菌による肺炎と考えられるには、このケースくらいしか記憶にありません。
日本では、高齢者に肺炎球菌ワクチンを接種しても、余り意味はないと考えて居ます。
誤嚥性肺炎を、きちんと診断できない状況では、キチンとしたエビデンスを出す事は、出来ないと考えて居ますが、肺炎球菌の関与は、少ないと考えて居ます。

Posted by 小関 洋 at 2017年02月03日 02:55 | 返信

あのう、素人おばさんの独り言ですが、キチンとしたエビデンスがお好きなお医者様が多いですよね。
これまでのイケイケどんどんの日本の発展時代に、さんざん医療費使って膨大なデータを蓄積してあるわけですから、それを、それこそキチンと伝承して学習して、結果オーライの老人医療があっても良いのではないかと。

父が生活している介護施設の訪問診療医師は、(誤嚥性肺炎と私が勝手に言っている)発熱に対して、あえて病院へ運んで検査しろ、とかレントゲンを撮らないとイケナイ、とか言いません。
・・・たぶん、私と本人が入居時の最初の話し合いで『結果的に死期が早まっても構わないので本人が嫌がる「医療作業」はしてほしくない、苦痛は取り除いてほしい』と十分に話し合っているから、だろうと思います。

医者としては、キチンとしたエビデンスが欲しいのだろうと思います。
でもそれは、「誰のため」ですか?

先週、父が発熱した時、時期が時期なのでインフルエンザの検査はした、とのことでした。その他は、医師の判断で適切な抗菌薬と解熱剤で、父はケロリと回復しました。
私は、今の訪問診療医師は、名医だと、思っています。

「患者ファースト」で、行きませんか?

Posted by 匿名 at 2017年02月03日 03:44 | 返信

私の父は、死ぬまでタバコを止めなかったので、60歳で宝塚に引っ越した途端肺炎になりました。
それ以来、肺炎になることを恐れたいましたけれど、タバコは止めませんでした。
右室梗塞で心臓が半分死んでしまっても、タバコをやめませんでした。
主治医は、父を軽蔑していました。
上行結腸癌の手術をして、耳下腺腫瘍の手術をして、尻もち転倒をして、一年後の一月にインフルエンザと診断されて、入院したら肺炎と診断されて、10日後に、MRSAと診断されて、2月に88歳で死にました。
父の場合はタバコで肺炎になって、死んだと思います。
私も苦労したけれど、治療して下さった医療関係者にもご迷惑を掛けたと思います。
母は、肺炎球菌ワクチンを打って貰うことができました。
大動脈解離で91歳で死にました。

Posted by 匿名 at 2017年02月03日 10:07 | 返信

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