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COPDをもっと知ろう

2017年02月09日(木)

「最近、階段を昇る時、息切れするんですが・・」
「タバコをたくさん吸っていますね。たぶんCOPDでしょう」
「なんでっか、それ?」こんな会話が日々繰り返されている。
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これだけ多い(500万人)のにみんな知らない不思議な病気だ。

肺がんが合併することもあるが、COPDのため手術が難しいことも。

産経新聞の連載は、COPDについて書いた。→こちら


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産経新聞呼吸器シリーズ第4回   階段での息切れ
                COPDをもっと知ろう
 
 長引く咳をみたら一番に疑う病気は「咳ぜんそく」ですが、その前に必ず聞いておくべきことがあります。それは喫煙の有無と歴史です。もし風邪をひいたあとに咳が続くならば、タバコの影響です。長引く咳で何度も医療機関を受診される人がいますが医療費が本当にもったいないのでこの機会に是非とも禁煙を真剣に考えて欲しいものです。今回は長くタバコを吸った果てになる病気、COPD(慢性閉塞性肺疾患)についてお話しします。

鼻から酸素吸入をしている人を街中で見かけることがありますが、多くがこのCOPDの人です。駅の階段を上る時に息切れがする喫煙者は既にCOPDになっている確率が高いです。タバコを吸い続けると肺に炎症がおこり、咳や痰が出ます。タバコの煙には、ニコチンやタールに加えてPM2.5の粒子が含まれています。肺の炎症が繰り返されると、肺胞の壁が壊れて徐々に体内に酸素が取り込めなくなります。吸うタバコの本数と年数が多いほどCOPDを発症しやすくなります。ヘビースモーカーの約3割がCOPDと言われています。長年かけて徐々に進行するので、本人は「年のせいだろう」とあまり気にとめていない場合がよくあります。まだ高齢ではないのに気管支炎を繰り返す喫煙者はCOPDという病気について知っておくことで「後悔」しなくてすみます。私は町医者として在宅酸素療法を行っている患者さんをたくさん診てきましたが、ほとんどの人がタバコが健康に良いと勘違いながら病気に至るまで禁煙できなかった自分を「後悔」されています。

COPDの診断には呼吸器科などの専門の医療機関を受診してください。タバコ等に関する問診のあと肺機能検査を行います。スパイロメーターという器具で肺活量や1秒率を調べます。1秒率が70%未満の場合、COPDの可能性があります。ただし高齢や心臓病のため上手く息を吐き出せない場合もあるので、新しい検査法も開発されています。COPDの治療の基本は禁煙です。吸入気管支拡張薬や吸入ステロイド薬も使われますが、禁煙できなければ焼け石に水です。

帝京大学がCOPDの男性136人(平均72歳)を調査した結果、なんと8割に背骨の骨折が見つかったそうです。しかも55%には2ケ所以上あったという結果には私も驚きました。一般的に70歳代の背骨の骨折の発生率は、女性が3割、男性が1割未満ですが、それと比較してとても高い割合でした。しかも骨折が見つかった108人のうち骨粗しょう症の治療を受けていたにはわずか4人でした。「いつのまにか骨折」の予防として、歩行や食事療法や薬物療法が啓発されています。しかし特に喫煙率が高い男性の場合はCOPDにならないことが大切です。「え?タバコで骨折するなんて知らなかった!」という患者さんがほとんどですが、医者の間でさえまだ十分に意識されていないのがCOPDです。そしてCOPDを単に肺の病気だと考えるのではなく、骨や内臓や脳とも深く関連する全身病であることを知ってください。COPDは500万人もの患者さんがいるありふれた病気の割にはまだまだ認知度が低いです。COPDになると風邪や肺炎が長引くだけでなく、時には命に関わります。しかし禁煙で簡単に予防できるので、実にモッタイナイ病気なのです。
 

キーワード 1秒率
スパイロメーターという器具で肺活量と1秒間に吐き出せる行きの量(1秒量)を測定し、算出される値のこと。1秒率が70%未満になるとCOPDが疑われる。

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この記事へのコメント

私の父は死ぬまでタバコを止めませんでした。右室梗塞になって、右心房右心室が雑巾のようにボロボロになっても、吸っていました。階段を上るときに息切れがするというので、心臓か、慢性閉そく性肺疾患ではないかと思って、循環器科に連れて行きましたら、何回も検便をして「顕微鏡的血便と結果が出た」と言って同じ医療機関の胃腸外科で大腸がんの検査をしてもらいました。結果、上行結腸癌と診断され、市民病院で手術をしてもらいました。
長尾先生のお友達の大腸癌専門のお医者さんによると、タバコを吸っていると大腸がんになりやすいそうです。
でも後で、COPDではないかと循環器のお医者さんに聞いても「お父さんはタバコを止めないから、COPDの治療をしても仕方ないでしょう」と冷たく言われました。
まあ、そうには違いないですけど。
父は歩く時、上半身を右に傾けて歩いていました。寝ている時に時々大声で「うわー!」と喚いて、母と私は飛び起きました。「泥棒が入って来た夢を見た」と父は言っていました。
インフルエンザを拗らせて入院していた時「カーテンの地図が書いてある」とか、私に「お前の首に虫がいる」と言いました。私は首に水いぼがあるのでそう言ったのでしょう。
これらはタバコを飲み過ぎてレビー小体型認知症の初期だったのではないかと思っています。
「認知症」とは思えませんでした。日記を付けて忘れないように心がけていました。

Posted by 匿名 at 2017年02月10日 01:30 | 返信

在宅酸素療法の患者さんについて「ほとんどの人がタバコが健康に良いと勘違いながら病気に至るまで禁煙できなかった・・・」と書かれていますが、
もうずっと以前の話ですが、
タバコを吸っている人はアルツハイマー病にならない、とか
タバコをやめると呆ける、と言っている人がいました。
つまりは、タバコを吸う言い訳なのですが。

実は私も30年間ほど吸っていました。ウチは皆、所得税は少ないけどタバコ税をたくさん納めていましたが、父の脳梗塞を機会に全員でやめました。
長尾ブログの読者にも喫煙者がいるかもしれませんが、
タバコは早いうちに止めた方が正解です。
年をとるほどに、習慣を変えることが難しくなります。

酸素補給してもらいながらタバコ吸う老人なんて、みじめです。

Posted by 匿名 at 2017年02月10日 03:39 | 返信

そう言えば、「タバコを吸うと、パーキンソン病にならない」と言って、タバコを吸っている人がいました。
でもストレスで、突然死しました。
真面目一点張りの人が、パーキンソン病になると河野和彦先生が仰っていましたけれども。
最近「飲食店で全面的に禁煙にしてはどうか」と、お国(厚労省でしょうけど)が言い出して、「ヤレヤレー!」と、思ったのですけど、スナックのママは「うーん!」と困っているようです。
スーパーの店長も「腎臓がんなんです」と仰っていましてけど、タバコの吸い過ぎでも腎臓がんになるらしい。
お客さんも、禁煙に協力しなくちゃね。

Posted by 匿名 at 2017年02月10日 11:46 | 返信

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