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Solastoトップランナーたちの挑戦

2017年02月08日(水)

Solastoという病院雑誌の巻頭に私のインタビューが掲載された。→こちら
思った以上に大きな扱いだったので、驚くやら、恥ずかしいやら。
病院も含めた看取りの文化の構築が今回言いたかったことである。

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介護職や地域住民を巻き込み
患者の望む生活を最期まで支える「町医者」の理想形


こんなかっこいい見出しをつけて頂き、恐縮している。
しかし今の私の生き方をちゃんと記録してくれている。


最近、いろんな病院にいろんな用事で出向くことが多い。
テレビドラマのように廊下を白衣を揺らせて歩く若き医師がまぶしい。

と同時に、病院の職員が全員、大きな勘違いをしていることに唖然とする。

それは「自分の病院を中心に地域が回っている」と思っていること。
「患者さんを在宅に返してあげる」と完全に上から目線であること。

地域の中では、いくら大きな病院でも、one of them であることを自覚
しないと地域包括ケアは始まらないのだが、それを理解できる人は皆無。

20年診てきた患者さんをたった1週間診ただけで、もう開業医よりエライと
勘違いしている若い医療者たちの言葉を聞いていると30年前の自分と重なる。

「生活者としての人を診る医療」がどれだけ難しいことか、思い知らされる。
1~2時間の講義や、1~2週間の地域研修くらいでは焼け石に水だと思う。

自治医大ではないがすべての研修を地域で始めたほうが、いい医療者が育つ。
最近そんな想いで、やがて半分は崩れることになる病院という箱を見ている。


人は人を管理することが好きだ。
人の本能かもしれない。

相手の尊厳を奪いながらも、しかし病気を治す場所が病院である。
しかし最近は、治せないくせに、尊厳だけ奪っている医師が多い。

毎日、全国から悲痛な相談が舞い込む。

・病院から出してくれない
・無理やり胃ろうにさせられた
・食べられるのにな食べさせてくれない
・鼻から栄養を何年もされて、転院させてくれない
・そして、家に帰してくれない・・・・

そういえば、余命1日の人が在宅に帰ってきた。
ここまで痛めつけておいて、そして1週間後の外来予約を取っている。

もう死んでいるのに、外来や検査の予約が入り、
大量のお薬が処方されているビョウインって、いったい何???

少々過激なタイトルの本を出したくらいでは、ビョウインの体質は変わらない。


忙しい中をぬって、全国の知らない悩める家族の電話相談をやっている。
ちょっと聞くだけでも1時間はかかる地道な仕事だが、やりがいはある。

毎日、「拉致」とか「脱北」とか「ボッタクリバー」という喩えを使わないと
家族が理解できないようなこの国の医療ってなんなんだろう、とため息が出る。

これではあまりにも効率が悪いので、一生懸命に悪い頭で本を書いてきた。
恥ずかしいことに、私が思いつくことは、それくらいしかなかったのだ。


私の本は、ブックマン社さんだけで累計50万部突破だという。→こちら
いろんな出版社や外国での翻訳本を合わせたら100万部超か。

しかし本では伝わらない。
肝腎の人が読んでくれないからだ。

無力感に包まれながらも、釈迦の教えに従い「自分の目の前のことだけやればいい」、
先日亡くなられた渡辺さんの「置かれた場所で咲きなさい」が実践できれば充分だ。


PS)
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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

今日も、お疲れ様です。
この原稿を書かれた時期に、何か意気消沈する出来事が、またもや起こっていたのでしょうか。
切ない気持ちが表れています。嫌悪感が伝わります。
>人は人を管理することが好きだ。
>人の本能かもしれない。
この部分が諸悪の根源であると同感です。
他所を例えて語るのは憚られるので、身近かな例を挙げるとしますが、
障害者が集う場所で働く人の語りですが、「寄り添うという事が如何に難しいか」と
人に諭しておきながら、"人を管理=操作” しておきながら、実情は自己実現を果たすための
場所であり、自己満足に浸る場所。オマケに収入も得られるのですから、そりゃァ
「居心地良くて、癒されます」と心からのセリフでしょう。自分に酔ってしまうと、
周囲が見えなくなるものです。その酔い知れた状態のまま、何年も過ごす事ができたなら
「大いなる勘違い」が当たり前な事とまかり通ってしまうのです。ましてや、外部と遮断された
密室が確保でき得る環境ならば、曲がったレールに乗った車両はグルグル廻ってしまい、
真っ直ぐな道に戻る事ができないようです。
「人様のために」と公言して活動することの胡散臭さといったら...それは、もしかしたら
そう語る人自身のためなのかも知れません。
何かに没頭しながらも、その結果が時に誰かのためになる、誰かが救われる、それが人様から
時に感謝される場合もあるかも知れない。けれど、実情は「自分のためになっている」
「自分が学ぶ結果となった」と考えることができる人でなければ、結局は「してあげている」
という上から目線になっているということかも知れません。

Posted by もも at 2017年02月08日 09:32 | 返信

こんばんは。
素敵な表紙の本ですね。
先生のお写真も大きいですね!

Posted by 匿名 at 2017年02月08日 10:35 | 返信

写真見るたびに、だんだん髪の生え際が後退してるなァって・・・

Posted by 匿名 at 2017年02月09日 01:23 | 返信

病院から出て家に帰る、あるいは介護施設に入る、あるいは患者や家族の希望を実現できる病院に転院する、ことが、本人や家族にとって、なぜ難しいのか、
理由は、患者である本人は、引き続いて医療が必要だからですよね。
脱北後、引き続いて医療を引き受ける医者を、見つけることが困難。

たいていの医者は、〇〇病院とはトラブりたくない、円満退院でなければ引き受けない・・・

リヴィングウィルを尊重する医者リストが、日本尊厳死協会の会報に掲載されていますが、同様な医者のネットワークを作れないものでしょうか? 
患者(意思表示できない場合は家族)の希望に沿った医療行為を実行できる医者リストです。

Posted by 匿名 at 2017年02月09日 01:56 | 返信

人の支援は、利用者を中心にしたより良いチーム作り。この利用者をどんなメンバーでチームを作ればよいか、考えただけでもワクワクします。チームークよりも、「チームワクワク」。利用者も家族も、関係機関もみんなワクワク。それが本当のチーム作りであり、マネジメント。

Posted by 社会福祉士河本健二 at 2017年02月09日 09:08 | 返信

ブログ文中:黒の太字にあるように、福祉的な観点は「人」を巻きこみ、一般社会と遜色無く
馴染むことが前提にあって、それをサポートするために働くのが ○○職であったり、ワーカー
であったりと思うものです。長尾先生の活動のように、一般人や弱者が、その人らしくあるために
と、理念・信念を広く社会に発信し、声を上げ続けて下さることの意義の大きさ、意味に共感します。
障害を持つ方が集まり、所属する場所に従事する人の中には、それまでの社会経験に乏しい人が
割と居ます。表向きには、「障害者の社会参加を促進するために」とかの題目を掲げていたとしても
社会性が無いに等しいムラ社会の中にあっては、"それは井の中の蛙大海を知らず " であって、
その中で繰り広げられる人間模様は、お粗末な出来事が数多くあります。社会を知っている者であれば
「労務的に問題ありでしょう」と指摘したくなる、○○ハラスメントがまかり通るのです。
無知というのは恐ろしいもので、自分が見えない。違法であっても大手を振って、罵声すら浴びせて
しまう、そんな組織があるのです。それは、働く人に向けて、のみならず、間接的には当事者にも
影響を及ぼすことになり、けして穏やかな環境では無い、という内状です。
ムラ社会(組織)を好み、敢えてその道を推める輩も居るのです。それは投入された税金(経営)も
他者には見えないという、摩訶不思議な組織が時にあるものです。

Posted by もも at 2017年02月11日 12:18 | 返信

以前にも、福祉に関して思う点を考えた時に、
心理学者マズローの欲求5段階説についてを、書き込みしたことがありました。
・・・・・
マズローが提唱した人間の基本的欲求 [高次の欲求(上)から]
*自己実現の欲求 (Self-actualization)
*承認(尊重)の欲求 (Esteem)
*社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
*安全の欲求 (Safety needs)
*生理的欲求(Physiological needs)
・・・・・
この他にも「支配欲」も項目に入っても不思議ではないと、個人的に思うのです。
人が人を支配したいという欲求です。これは、この欲求を満たしたいと社会全体が
秩序なく実現を目指したならば、図らずもピラミッド型社会が生まれてしまいます。
成熟した企業であれば、(理想形ですが)コンプライアンスが遵守され、紳士・淑女的な
振る舞い行動を教育されて、内部的にも社会的にも、他者を尊重することができる社会人
が育まれていたものです。
マズローに関して、
[マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表した。]と
ありました。自己超越 (Self-transcendence) の段階である。
・・・・・
*自己超越
自己超越者 (Transcenders) の特徴は
1.「在ること」 (Being) の世界について、よく知っている
2.「在ること」 (Being) のレベルにおいて生きている
3.統合された意識を持つ
4.落ち着いていて、瞑想的な認知をする
5.深い洞察を得た経験が、今までにある
6.他者の不幸に罪悪感を抱く
7.創造的である
8.謙虚である
9.聡明である
10.多視点的な思考ができる
11.外見は普通である (Very normal on the outside)

マズローによると、このレベルに達している人は人口の2%ほどである。
・・・・・
人口の2%ですから、それこそ神ってる人と呼ばれるのかも知れませんが、
少なくとも、「自分が在ること」に専念する人が増えて欲しいものです。
その場で懸命に咲く人、業務に従事する人、を尊重なくして、
何が福祉の実現ぞ! と誰でも分かり切った話を、素直に理解できる管理者を
監督機関に養成して頂きたいものです。
それなりの適性検査でも義務付けてみては如何か。そうしたならば、
家庭不和が裏事情にあり、ここが居場所であると履き違えた管理者は存在できない
でしょう。「正月に家に居たくない。」と二年続けて豪語したその人は。

Posted by もも at 2017年02月11日 05:27 | 返信

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