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増加する肺がん
2017年03月03日(金)
産経新聞・呼吸器シリーズ第7話 増加する肺がん
喫煙が最大のリスク
日本人の死亡原因の1位はがんですが、そのなかでも肺がんが一番多く、年々増えています。肺がんの特徴は女性より男性に多い、喫煙者に多い、高齢者に多いことです。年間10万人が新たに肺がんと診断され、年間7万人が亡くなっています。男性は60歳以上に多くピークは75~79歳。一方、女性は50歳台から緩やかに増加。肺がんは周囲のリンパ節や血液の流れにのって脳や骨などに転移し易い性質です。タバコを吸う本数が多いほど、吸い始める年齢が若いほどそのリスクが高まり、喫煙が最大のリスクです。
肺がんには4つのタイプがあります。進行が早い小細胞がん、肺の奥にできやすい腺がん、肺の入り口の太い気管支にできやすい扁平上皮がん、肺の奥にできやすく進行の遅い大細胞がんの4タイプです。後の3者はまとめて非小細胞がんと呼ばれています。なかでも腺がんが最も多く、肺がんの6割を占めます。喫煙者に多い扁平上皮がんとは異なり、腺がんは非喫煙者や女性にも起こります。その原因として大気汚染や女性ホルモンの関与などが指摘されています。
肺がんを発見するにはまずは胸部レントゲン検査と喫煙者には痰にがん細胞が含まれているかどうかを調べる喀痰細胞診を行います。胸部CT検査については米国では国立がん研究所が喫煙者を対象にした調査で肺がんの死亡率が低下したことを報告しています。あくまでメリットと放射線被ばくによるデメリットを天秤にかけて考えるべきですが、肺がんの早期発見の観点からは特に喫煙者に対しては胸部CTが有効です。肺がんを疑えば気管支鏡検査を行って、がん細胞を採取して検査をすることで診断が確定します。
肺がんの治療には手術、抗がん剤、放射線治療がありますが、病期(進行度)、がんのタイプ、年齢、COPDなどの持病の有無や体力を考慮して行われます。手術はⅠ期とⅡ期が対象で、開胸手術と傷が小さい胸腔鏡手術があり、現在7割が後者で行われています。がんが進行して手術を行わない場合はⅢ期は抗がん剤や放射線治療、Ⅳ期は抗がん剤治療が検討されます。最近はがん遺伝子の異常を調べた上で薬の効果が期待できる場合に限ってがん細胞をピンポイント攻撃する分子標的薬が使われています。EGFR遺伝子変異に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬やALK融合遺伝子に対するALK阻害薬などが進行した非小細胞がんに使われています。しかし残念ながら一定期間抗がん剤がよく効いても、いつかは耐性を獲得して効かなくなる時が来ます。放射線療法はピンポイントで照射する定位放射線療法が普及しています。しかしいずれも根治療法ではなく延命目的です。
Ⅳ期の肺がん患者さんの中には外来通院から在宅医療に自然に移行する人がおられます。当然徐々にやせてきますが、過剰な点滴さえ行わなければ胸水や呼吸困難や痛みは、たくさんの点滴を行う場合よりずっと軽いです。外来から引き続き在宅で診ている肺がん患者さんの多くは最期まで酸素も吸引機も不要であった経験を日本肺がん学会で発表しました。一方、病院から自宅に帰ってこられるⅣ期の肺がん患者さんは大量の酸素吸入と高カロリー点滴が行われています。要は過剰な点滴の有無で、最期に枯れるか溺れるのかの運命が全く変わります。詳しくは近著「痛くない死に方」をご参照ください。
キーワード 肺がん
肺にできる4つのがんの総称で小細胞がんと非小細胞がんに大別される。早期の肺がんは無症状のことが多い。肺がんの5年生存率は全がんの平均より低く、がんの中で死亡者が最も多い。
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この記事へのコメント
そうですよね。たしかNHKの「ためしてガッテン」で、「女性ホルモン」が原因で肺癌になる女性がいると言っていました。近所の主婦で、ご主人も本人もたばこを吸わないのに肺癌になった奥さんがいます。
「テレビで女性ホルモンが原因で肺癌になるって言ってたよ」と言うと「なんで?私なんかとっくの昔に生理なんか無いお婆ちゃんやのに、女性ホルモンが原因で肺癌やなんてなる?」と怒ったように聞かれて「あれ!聞き間違いやったろうか?」と思いました。
女性ホルモンだけではなく、大気汚染や環境因子もあったのでしょう。
古い旧家の出の奥さんで、実家にも嫁ぎ先にも、今住んでる近所にも気を使い過ぎる奥さんです。
元気になって欲しいです。
Posted by 匿名 at 2017年03月03日 07:08 | 返信
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