このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

致死性不整脈

2017年04月22日(土)

不整脈の大半は放置していても、命に関わらない。
しかし致死性不整脈と呼ばれる不整脈は心室細動
を引き起こすのでAEDによる救命処置が必要だ。→こちら
 
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 


産経新聞・不整脈シリーズ第4回  致死性不整脈
                 心室細動とAEDによる救命処置
 
 先日、若きアイドルが一夜にして急死するというニュースがかけめぐりました。その死因に「致死性不正脈」とあったので「死に至る不整脈って何?」と質問してきた患者さんがおられました。致死性不整脈とはズバリその結果「心室細動」に至る不整脈のことです。心臓の上半分が震える心房細動は前回触れたようにアブレーション手術ないし抗凝固剤などで様子をみます。では心室細動とはどんな不整脈でしょうか。それは読んで字のごとく下半分の心室が細かく震えて心停止に至る最も危険な不正脈。心室細動が起きるとわずか数秒で意識が無くなり倒れます。たとえ命を取りとめても3分以上経過したなら脳に重篤な障害が起こり得ます。救命のためにはAED(自動体外式徐細動器)しかありません。

 心室細動は心臓に持病がある人に起こる可能性がある危険な不整脈です。心筋梗塞後や心筋症や重症心不全や心臓弁膜症がある人に起こり得ます。そうした心臓の持病があることを知らずにジョギングやマラソン大会に出場する人がいます。各地のマラソン大会では必ず心室細動から心停止に至る人がいてスポーツ医会の医師らがAEDで蘇生・救命しています。致死性不整脈は決して稀なものではありません。一般に心室細動は交感神経が活発になる午前9時前後に起こり易いといわれています。この時間帯は一日のスタートとして自律神経に負荷がかかり血圧が急上昇するタイミングでもあります。

 さて過去に心室細動を起こした人や精密検査でそれを起こす可能性があると判断された人には、電気刺激で拍動を正常に戻すICD(植え込み型徐細動器)を用いた治療を行います。左の鎖骨下にICDを植え込む手術に要する時間は2時間程度で約1週間の入院です。当院の患者さんでもスポーツ競技中に心室細動で失神して駆けつけた救急隊員によるAEDの蘇生処置のおかげで、後遺症無く日常生活に戻れた人がいます。その人はのちにICD埋め込み手術を受けてなお全国レベルで活躍されています。主治医としては心配でたまりませんが、ある日試合中に心室細動が起きてそれを感知したICDが作動したそうです。「どんな感じでしたか?」、「いやー、ドカンという感じでした」と。それ以来、その患者さんとの会話のなかではICDのことを「ドカン」と喩えています。最近では遠隔モニタリング機能が備わったICDも使われていて、医師がリアルタイムに心室細動の発生を知ることができる時代になってきました。

 さてICDという機械が埋め込まれていない人に突然、心室細動が起きたらどうすればいいのでしょうか。もはや意識が無いか朦朧としていたら直ちに119番して救急隊を要請するとともに、もし都市部ならば周囲の人に「AEDを探して!」と叫んでください。もし呼吸していないか、しゃくりあげるような不規則な呼吸であれば胸骨を圧迫して心臓マッサージを開始してください。1分間に100~120回のテンポで30回続けてください。そして鼻をつまんでマウスツーマウスで2回ほど息を吹き込んでください。そしてAEDが届いたら慌てずにまず電源を入れて音声ガイドに従い電極パッドを貼り、周囲の人が触れないようにボタンを押して下さい。救急隊が到着するまでの間の適切なAED処置で一命を取り留めた人が沢山います。
 
 
キーワード AED(自動体外式徐細動器)
突然倒れてAEDが使用されたケースが年々増加している。AED使用で後遺症無く回復した人は平成25年に201人いた。過去9年間では835人がAEDにより命が救われた。

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

心臓病は家系的な要因もあるのでしょうか。
義父と、その母が、心臓疾患のある方でした。だからと言って、服薬していた訳ではなく
自覚として心臓が悪いという位でしたので、実際の病名は何に当たるのかは分かりません。
けれど、晩年に不意な事態が訪れた時に、心臓が弱いという理由で、手術に踏み込む事が
できない支障がありました。
数十年前に近所に住むママ友の御主人が急死されました。ママが子どもの用事で出掛けたあとの
出来事でした。その朝には、御主人は体調不良を仰っていたようです。お仕事を休み、家で寝ていた
タイミング、そしてまた、奥様が少し外出なさった束の間のことであったようです。
何かの振動・不整脈によって急変してしまう、呆気ない事態には...中々困難が伴います。
近年、AED の機械が設置されているのを見掛けるようになりました。近所の新しい町内会館にも
設置されています。けれど、まだ講習を受けたことのない自分が咄嗟に、その扉を開く事が
できるのかどうかは、とても未知数です。

Posted by もも at 2017年04月22日 10:41 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ