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施設や訪問の看護師にも看取りの法律の啓発を

2017年04月29日(土)

「看取り搬送」と病院の救急医からの「霊安室往診依頼」があとを絶たない。
無用な救急搬送と検視、そして救急医への説明などにも無駄な時間がかかる。
そもそも施設の看護師や訪問看護師が救急車を要請するから、そうなるのだ。
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京都での国際学会の参加費は77000円もした。
交通費や懇親会費を含めると10万円近くかかる。

元を取ろうと朝一番からいろんな講演を一生懸命に聴いていた。
しかし何度も何度も在宅患者さんから携帯電話がかかってくる。

なかには大病院の救急医から、また「霊安室往診」の依頼があった。

その必要が無いことを説明するのに1時間以上を要して
一番聴きたい講演はまったく聴けずで、本当にガックリ。

救急部のトップの医師ですら医師法20条を知らないのだ。
その説明と質疑応答(電話での)で、1時間もかかった。

「金返せ!」と誰かに文句を言いたいところだが、
そんな下品なことは言えない。(だからこのブログで発散している)

昨日は救急医が警察に電話を入れる直前に私が介入できたので、まだ助かった。
もし警察が病院に来てしまっていたら、警察への説明にまた余計な時間がかかる。

せっかく勉強中なのに、くだならい電話で一番いいところがいつも邪魔される。
講演中にかかってくるよりはまだましだが。

そんな運の悪い私の人生・・・


そもそもなぜそんな事態になったのか。

それは施設で平穏死された人を診た看護師が救急隊を呼んだからだという。
救急隊ではなく、私に電話をすればいいだけなのだがその知識が無かった。

あれだけ再三再四説明しても看取りの法律を知らない看護師がおそらく99%で
医師もおそらく9割以上は知らないのだと思う。

私の啓発が足りない、と言われたら自業自得なのかもしれないが、
一町医者の力では到底無理なので、ほんとうは国がやるべきだと思うが。

開業医仲間からも「今警察が来ていて事情聴取されているけど助けて!」
というような電話がかかって来ては、また一から説明している。

外来通院中の患者さんでも、自宅で「朝起きたら死んでいた」なんてことはある。
だから在宅医療をまったくやっていない医師もこの問題に巻き込まれているのだ。


今日は祝日だけど、うちのスタッフは働いている。
私も昨日行けなかった患者さんを訪問していた。

そして、土曜の夜は夜は緊急往診がやたら多い。
今夜も5件の緊急往診をこなして今、帰宅した。

看取りになりそうな家族には「救急車ではなく、長尾の携帯ね!」
と念を押してきた。

「わかっていますよ、先生」と言ってくれた。

世間は今日からGWだが、私は仕事にまみれたまま。
それが本業なので仕方がない。

在宅患者さんに寄り添う、と国は簡単に言うけど本当にたいへんだ。
こんなブラックな仕事に取り組まない医師の方が正常なんだろうか。

私が異常、なのだと思う時がある。

看取りの法律。大切だよ。
看護師さん、介護師さん、そしてお医者さん。是非知っておいてくださいね。



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この記事へのコメント

>京都での国際学会の参加費は77000円
を、あっさりと読んだ時に、7,700円だと読み違えたので、
一万円に満たない金額なのに? そんなに怒る? と一瞬、腑に落ちない思いでした。
...が..。77,000円とは!!! 高いですねっ!!
長尾先生の怒り心頭が伝わりました。思わず、クスッと笑ってしまいましたが、
お金を持っている医師の学会という、ある種ボッタクリのようですね。
こういった非現実的な金銭感覚を、業界が改めなければ、庶民の心根に寄りそう
なんて芸当は難しいのでしょうねぇ。

Posted by もも at 2017年04月29日 10:11 | 返信

業界の裏事情とか、地域性とか、何かとしがらみもあって「看取り」に携わる
医師の御苦労も忍ばれますが、漠然とした私の勘ですが、
平穏死・看取りに取り組まれる医師は、日頃から、御自身のポリシーを
行政に事前アプローチしておく事が無難なように思います。
グレーゾーンな意味合いがあるのも止む無し、な平穏死・看取りですから、
瞬時に白か黒かグレーか、を誰かが判断することは難しく、全てを疑え、という
結果となってしまうのも、どこか致し方無いと思うこともあります。
日頃から健全な経営・診療・人間性、をアピールしておくことが、スムーズに
事を運ぶ一手段かな、とも思います。
(未熟なシロート考えかも知れませんが..)

Posted by もも at 2017年04月29日 10:28 | 返信

こんばんは。
昨日の金スマも監察医の上野先生がゲストで医療と法律の
お話でした。先生達医療現場もそうだと思いますが一つのニュースの
裏側には多くの専門職の方々の様々な努力が隠されているんですね。
GWもお勉強に往診にお疲れ様でした。

Posted by 匿名 at 2017年04月29日 10:40 | 返信

ほんと、

ごくろうさまです。

Posted by 尾崎 友宏 at 2017年04月29日 11:52 | 返信

私は、母が動かなくなっていて、頸動脈拍動が触れなくなっているので、いの一番に、母の在宅医の携帯〈母が聞いていた)の電話しました。学会に参加するので、その日は往診に行けないと2ヶ月前から聞いていたのに、その日に死んだのです。だれだって「家族が殺した!」と思うわね。
だから在宅医は「救急車を呼んで、一番近くの救急病院のお医者さんに診てもらって」と言われました。だから救急車を読んで、救急病院のお医者さんに診てもらいました。
救急車と救急病院のおかげで殺人者にされなかったのです。
私ってよほどウンが悪いのか、母に冷たくした虐待家族なんでろうね。
介護支援専門員の更新研修では「介護離職はいけません!」と言われるし、ロクな人間じゃないんだ。
親は施設のほり込むか、家族が外に出て働いている間に、ヘルパーさんを朝、昼、晩と来てもらうとか隣近所のヒマな人にボランティアで助けて貰うのが正しい親介護なんだそうだ。
今どきボランティアしてくれるヒマな近所の人なんているの?

Posted by 大谷佳子 at 2017年04月30日 04:05 | 返信

当地の病院が、飽和状態であるが為だと思うのですが、以前の救急隊員の対応を
思い出した時に、ただ単純に「搬送せねばならぬ。」という姿勢ではなかったことに
気が付きました。逼迫した状況の病院事情を、救急や行政が承知しているのだという
印象です。それこそが、医療と行政の連携であると思いました。
受け皿には溢れてしまう程の病人が居た時に、どのように取捨選択していくのかは、
文章や規則では纏めきれないものが生じているという、相互理解の元に、阿吽の呼吸が
為す..しいては信頼関係が基盤にあるからこその連携ではないかと思ったものです。
「ない袖は振れない」のです。その時に、市民である当事者や、その家族が、どのように
立ち振る舞い、判断していくのかは、地域性や個人の良心に左右されるのではないか? と
思ったものです。病院看取りを希望しようとも、治療を受けるべき優先順位の患者さんが
いらっしゃるのを自ずと理解できた時には、自宅で平穏死を受け入れる方が存在するのが
日本人魂ではないでしょうか。そして、落ち着いて、平穏死に厳粛に立ち会うことを
お互いの機関が理解し合うのではないでしょうか。
平穏死に見せかけた殺人? なんて、確率的に何パーセントになるのでしょうか。
余ほどの資産家は御注意召され。

Posted by もも at 2017年04月30日 08:39 | 返信

一人暮らしの私は、壁に、病状と、掛かってる病院と、手製の平穏死宣言を、大書して貼っておこう。
警察が来てしまい、孤独死とか言われてしまうんだろうけれど、遠くに住む兄弟にかかる迷惑は
いくらか減らせるかもしれませんね。私の住む町の長尾先生がまだ、見つけられません。生息数(失礼を)
が極端に少ない、希少価値医師なのですね。全国の、長尾先生、頑張って。でも、お身体もお大事に。
矛盾したお願いです。

Posted by 樫の木 at 2017年05月01日 10:25 | 返信

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