肺炎見落とし賠償命令 鹿児島の介護施設
2017年5月18日 (木)配信共同通信社
介護老人保健施設「沖永良部寿恵苑」(鹿児島県和泊町)で2012年に入所男性=当時(61)=が死亡したのは、肺炎を発症したのに適切な病院に転院させなかったためとして、兵庫県尼崎市に住む妻が2750万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は17日、施設側に1870万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は12年9月14日、発熱など肺炎を疑わせる症状を発症し、併設の病院で抗生物質の投与を受けたが、4日後に肺炎で死亡した。川崎聡子(かわさき・さとこ)裁判長は「発熱などの症状が出た時点で肺炎を疑い、エックス線など必要な検査をして適切な病院へ転院させるべきだった」と指摘し、施設側の過失を認めた。
施設と病院を運営する医療法人「慈心会」(和泊町)は「担当者がいないのでコメントできない」としている。
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61歳の入所者とのとのことなので、若年性認知症かアルコール性のものだったのか。
いずれにせよ、61歳で入所ということは、病気の進行が早く予後は良くない状態か。
発熱があったのの肺炎の診断が遅れたとのことだが、この思考に従うと
発熱=全例に胸部レントゲンと血液検査と胸部CT,をするしか施設を守る方法はない。
これは在宅患者さんにも、そして外来患者さんにも言えることだ。
4日後に死亡、とのことだがペギー葉山さんは2日で死亡している。
それは先週の夕刊フジの連載にも書いたばかり。→
こちら
家族には申し訳ないが、こんなこともあるのだ。
裁判官は医療現場、介護現場を知らな素人だ。
だからこのような判決が出続けるのだろう。
施設内で
・転倒したら賠償金
・肺炎死亡したら賠償金
こんな判決が続くが、介護施設が益々閉じ込め型の過剰医療を促進させる。
国はこの判例をどう見るのか誰か勇気のある人が見解を述べたほうがいい。
尼崎の人なので、もしかしたら知り合いか当院の患者さんだったかもしれない。
家族の気持ちは理解できるが、施設との信頼関係が構築されていなかったのか。
しかし人間、肺炎で死ぬ時はどうやっても死ぬ。
それどころか最近は誤嚥性肺炎は「治療しない」という選択肢もある時代なのだ。
裁判官には再考を強く求めたい事例だ。
施設側は和解しないで最高裁まで争って欲しい。
それは施設のためではなく、日本中の施設入所者の尊厳を守るためである。
そして萎縮しないで、「リスク承知で閉じこめない介護」を追求してほしい。
60年間、地域の人のために全力を尽くした施設のスタッフに尼崎からエールを送る。
この記事へのコメント
肺炎疑いの発熱には、解熱剤と抗生物質の投与、でいいんじゃないんですか?
3回程度投与、しても熱が下がらない場合は抗生剤の点滴に切り替える、あるいは熱が39度を超えていたら最初から抗生剤点滴の方が無難なのかも。
適切な病院へ転院させたら助かった?
適切な病院で適切な治療といっても、抗生剤の使い分け程度なのではないかと、思うのが素人考えであります。
私は老父が肺炎疑いでも施設に置いておきますし、本人もそれを希望しています。今のところは解熱剤と抗生物質で熱が下がって翌日ケロっとしています。
Posted by 匿名 at 2017年05月20日 12:43 | 返信
医療訴訟の話とは別ですが、高齢者が死亡した時の訴訟事について、
訴訟によって高齢者家族側家族が勝訴していく事案が増えていくことへの
懸念について、同感です。ゆくゆくは、当事者・家族側(市民)の首を
締めることになっていきかねないと、そう思います。
数か月前のNewsの記憶ですが、どちらの地域での事故だったのかも
覚えていませんが、介護デイサービスの送迎中にドライバーである
ヘルパーさんが衝突事故を起こしてしまい、乗車していた90歳代の方が
死亡した事件がありました。ヘルパーさんは20歳代の若い女性でした。
事故の状況や過失を云々する以前に思ったのは、介護職界にとって、
若く貴重な人材が、その後心に傷を負ってしまい、再び介護職に就く
気持ちに戻ることができるのか、職業的だけでなく、一生背負って
いかなければならない負の財産を負ってしまった、という印象を即座に
思いました。亡くなった高齢者には、おそらくは保険金が支給される
でしょう。訴訟事案では無いにしろ、家族側は「致し方無い」と
割合に納得できる、ある意味順当な結末ではなかったか、と思うのです。
死亡を順当と表現すれば「けしからん」と誰かが声をあげるかもしれない
不謹慎とは思いますが、率直な雑談で誰かが「家族はホッとしたでしょう」
と呟きました。
長寿の尊い命であると同時に、ただただ無難に過ごす事を望むのであれば
家庭で静かに過ごすしかありません。
Posted by もも at 2017年05月20日 10:37 | 返信
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