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TAVIの"やめどき"
2017年05月22日(月)
TAVIとは、経カテーテル的大動脈弁置換術のことだ。
最近、専門病院のみではあるが急速に普及している。
近くの病院におけるこの1年間の成績が発表された。
最近、専門病院のみではあるが急速に普及している。
近くの病院におけるこの1年間の成績が発表された。
当院の近くに県立尼崎総合医療センターがある。
その循環器科が過去1年間に施行したTAVIの成績を発表した。
1年間に38例、男性9例、女性29例
平均年齢は84歳、92歳が最高齢
経大腿動脈が36例で、経心尖部(TA-TAVI)が2例で、大部分が経大腿動脈(TF=TAVI)
38例のうち、死亡例はゼロで成功率、なんと100%という凄い数字。
【TAVIの適応】
1)重症の大動脈弁狭窄症 平均圧格差40以上、弁口面積1.0cm2未満
2)NYHAⅡ以上1
3)外科手術が困難な例(TAVIの長期予後がまだ出ないため)
【TAVIの合併症】多少の合併症はある
・房室ブロックへのペースメーカー留置 3例 SAPIEN XTからSAPIEN3になってからはゼロ
・予期せぬ冠動脈閉塞 1例
・ソケイ部のリンパろう 1例
・特殊症例(二尖弁など)でもSAPIEN3なら可能
・緊急症例 心原性ショック例でも緊急TAVI成功
TAVI施行後のフォローアップは、1、3、6ケ月後 。
その後はかかりつけ医に任すこともある。
抗血栓療法や感染性心内膜炎の予防 チエノピリジン+アスピリン
6ケ月以降はアスピリンのみ
いずれPCIのように、TAVIパスができる可能性がある。
要支援のフレイルの人でも充分可能だ。
TAVI手術には、約25人のTAVIチームが必要。
そして医療費は450万円で、諸経費を含めると約500万円かかる。
蛇足だが、
C型肝炎根治に800万円
大動脈弁狭窄症根治に500万円
これらは根治できる。
一方、人工透析が年間500万円
オプチーボが年間1750万円、であるがこれらは終わりが見えない。
成功率100%のTAVI手術は、92歳までやっている。
成功率95%のC型肝炎治療は、85歳まで、
カテーテルアブレーションは90台でもやっている。
くも膜下出血へのカテーテルによるコイル手術も90歳台もOK.
PCI(冠動脈ステント)は、100歳以上でもやっている。
もうひとつの全国トップクラスの病院である関西労災病院循環器科不整脈化の
心房細動に対する対するカテーテルアブレーションの2016年度の成績も発表された。
手術例は612件 これは兵庫県1位で全国有数。
しかも合併症はゼロ!!!
ひとつひとつの医療の進歩は著しい。
しかも90台、100歳超えでも可能。
ほとんどが税金と保険料でまかなえるが、
当然、「どこまでやるのか」という問題が残る。
ひとつの部位を根治して長生きすると、どこか別の場所が悪くなり
ふたたび先進技術を要する事態になることは、容易に想像できる。
まさに「医療の進歩が国を滅ぼす??」となるのか。
TAVIの好成績を聞きながら、「ああ、これまたたいへんやなあ」とも思った。
現在の医療には開始基準はあるものの”やめどきという概念”が無いのが特徴
成功率の向上とともに、”やめどき”という視点も入れないといけない時代だ。
循環器領域では、TAVIやアブレーションやPCIの”やめどき”は大いに課題になる。
また在宅患者さんの心不全を診る機会が増えているが、その陰に
・拡張不全の心不全
・大動脈弁狭窄症による心不全、が無いのか心エコーなどで精査しなといけない時代に。
ああ、ああ、たいへんな時代になり、まだまだたいへんになっていくのだろう。
ただし、国民皆保険制度が存続する限り、の話だ。
つまり、制度の存続と”やめどき”がバーターとなる時代はすぐそこだ。
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この記事へのコメント
90歳過ぎて何らかの外科手術を受けた後、何%の90歳超老人が、
意思疎通可能なのだろう?
自分で食べれるのかな?
介助してもらったとしても、(オムツじゃなくて)トイレで排泄できるのかな?
知人や家族を認識できて嬉しいのかな?
テレビは少しは見るのかな?
桜が咲けば春だと、わかるのだろうか?
もしそうだとして、死ぬまでのその「人間らしく生きてる」期間は、
手術をしてもしなくても、大差ないのではないか?
むしろ手術をしないほうが、「人間らしく生きてる」期間が長いのではないか、と、
手術をしたいのは、本人ではなく、手術件数を増やしたい医療者側なのではないか、と、
これまでの患者家族としての経験から、強く感じます。
Posted by 匿名 at 2017年05月22日 01:13 | 返信
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