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オピオイドvsブプレノルフィン
2017年05月04日(木)
がん性疼痛や慢性疼痛にオピオイドが使用されるが性腺機能低下という副作用がある。
一方、ブプレノルフィン(ノルスパンテープ)はそうした副作用もなく使い易い薬剤。
非オピオイドであるブプレノルフィンを再考すべし、という内容の講演を拝聴した。
一方、ブプレノルフィン(ノルスパンテープ)はそうした副作用もなく使い易い薬剤。
非オピオイドであるブプレノルフィンを再考すべし、という内容の講演を拝聴した。
以下、レペタン座薬ないしノルスパンテープに関する専門的話題。→こちら
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オピオイドの副作用 和歌山医大 川股知之教授
―ブプレノルフィンの可能性についてー
1 オピオイド鎮痛の現況
2 オピオイドの副作用
3 ブプレノルフィン鎮痛の可能性
1 オピオイド鎮痛の現況=日本の使用量は少ない
1986年 WHOのがん疼痛治療法発表
2001年 痛みは第5のバイタルサイン、であると。
術後疼痛で一番強いのは?
50523人を179の術式に分けて手術翌日の痛みを調査した結果
開腹開胸<<小手術、であった。
小手術の術後鎮痛が不十分であることが判明。
多様化するPCA投与経路(ルートをとらなくてもいい方向へ)
経皮、経口、舌下投与など、非侵襲的にPCAを行う方向にある。
ロックアウト時間20分、患者自身の指紋認証システムも導入されている。
慢性疼痛へのオピオイド投与が一般化する方向へ。
トラマドール、フェンタニル、ブプレノルフィンが使われる
世界でのオピオイド使用量であるが、
欧米、カナダ、オーストラリアが多い。10年間で倍増している。
日本は韓国と同じだったが、10年で韓国より少くなった。(韓国は10倍増加)
日本はアメリカの4分の1程度。
国内では東北が多く、兵庫・和歌山は少なく、滋賀・京都が全国最低である。
アメリカやドイツは適正使用量の2倍多く。
日本は逆に8分の1と、少ない使用量。
2 オピオイドの副作用=主に性腺機能が低下
若年者への投与の増加やがんサバイバーの増加に伴い長期使用の問題が顕在化
長期投与による副作用が気になる時代に
前立腺がんや乳がんなど長期生存がんの増加
トラマドールを年単位で飲む人が増加しているが倦怠感や性機能不全を訴える
オピオイド長期投与により下垂体系の障害、特に性腺刺激ホルモンの影響が大きい
21~86%に性腺機能低下が起きる、うつや不安、男性に多い。
特にオピオイド依存症患者に多い。メサドン内服患者にも多い。
モルヒネ200mgを1年以上内服すると副作用が出やすい。
長期投与者はホルモンのモニターが必要。
対応は、非オピオイド、オピオイドローテーション?
呼吸抑制による重篤な後遺症があり得る
ナロキサンで拮抗するが、効果は一時的で人工呼吸を要することもあり、
呼吸促進薬が開発されている。
μオピオイド受容体には多様性がある Slice Variant 、Biased Agonistの開発が急がれる。
3 ブプレノルフィン鎮痛の可能性=鎮痛効果は天井が無く、副作用にも天井が無い
ブプレノルフィンへのオピオイドローテーションはどうか
海外では舌下錠が出ている
ブプレノルフィンは内分泌機能、特に性腺機能に影響しにくい。
呼吸抑制も軽度で、副作用について天井効果がある
ブプレノルフィンの効果には天井効果は無い!(モルヒネ換算400~800mg)
吐き気に対してはドロぺリドールで対応する
ブプレノルフィンの鎮痛効果はモルヒネの40倍。
半減期は20~73時間で、作用時間8時間。
喘息患者に使用可能。
とにかく副作用が少ない。
ただし日本では、ブプレノルフィンはがん性疼痛に対しては静脈投与しかできない
貼付剤は慢性疼痛に限定されている。(理由は不明)
ブプレノルフィンは今一度、見直されるべき選択肢だ。
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