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減薬は優先順位を医者とよく話し合って

2017年06月22日(木)

産経新聞・減薬シリーズ第5回は、「減薬の基本、
優先順位を医者とよく話し合う」で書いた。→こちら
医者とは私では無く、貴方の主治医のことである。
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産経新聞・減薬シリーズ第5回  減薬の基本
                優先順位を医者とよく話し合う
              
 もし10種類の薬を飲んでいる人がいれば、それぞれの薬が以下のどの範疇に入るのか考えてみましょう。すなわち1)命に直接関わる薬(危険な高血圧や狭心症発作など)、2)苦しみを和らげる薬(鎮痛薬や睡眠薬など)、3)機能低下を防ぐ薬(甲状腺ホルモンや抗パーキンソン病薬など)、4)慢性疾患の予後を良くする薬(降圧剤や糖尿病薬や骨粗しょう症治療薬など)、5)長期予後との関連が明らかではない薬(脳循環改善薬や心筋代謝改善薬など)です。

 そして自分の余命がどれくらいなのかも考慮した上で、1)~5)のどれを優先したいか考えてみて下さい。たとえば、「命に直接関わる薬が一番だ」とか「苦痛の緩和が一番だ」など、優先順位はその人によって違うはずです。特に年齢の要因は大きく、同じ薬であっても若年者と高齢者では優先順位がかなり違ってくるはずです。また要介護者であれば将来の利益よりも目の前の利益のほうが優先するでしょう。漠然と「10種類の薬」といっても、それぞれの薬の意義はざまざま。このようにして10種類の薬に1位から10位まで優先順位をつてけください。その結果を主治医に見せてコメントを求めてみましょう。患者自身の考えと主治医と考えが大きく異なることは、決して稀ではありません、

 もしA病院とB病院の両方から薬が処方されている場合は、風邪でたまに行くCクリニックのかかりつけ医に相談するのも一法です。しかしCクリニックはあくまで相談だけでそこでの投薬はなるべく控えてください。話が複雑になるからです。いつの日かA病院やB病院への通院が必ず困難になれば、信頼するかかりつけ医に一元化することになるのでその予行演習だと考えましょう。かかりつけ医との相談が難しければ、かかりつけ薬局の薬剤師さんに相談するのもいいでしょう。あくまで相談ですから、その医師や薬剤師の主観が入っても構わないのです。患者自身や家族の意見とかかりつけ医の意見を総合してつけた優先順位を、A病院とB病院のそれぞれの専門医に見せて意見を求めてみましょう。多剤投与からの減薬はとても難しい作業なので即答は難しいかもしれませんが、少なくとも優先順位の最下位候補を決めることはできるはずです。

こうした手順を重ねることで10種類の薬の序列ができてその客観性が高まります。10種類もの多剤投与からの脱却を本気で目指すならそれぞれの薬の優先順位をみんなで決めましょう。そして最下位にランクされた1つか2つの薬を実際に中止か減量してみましょう。自己判断で勝手に中止するのは危険ですから絶対にやめてください。それぞれの薬にはベネフィット(利益)とリスク(副作用)があり、減薬は両者のバランスを熟考して行うべきです。しかしそのバランスは医師でないと分からない時が多々あります。医師は薬の中止により不都合なことが起きることを恐れます。最悪の場合の訴訟を思い浮かべながら減薬を考えるもの。一方、患者さんは減薬という結果だけを求めます。だから「万一、不都合なことが起きても訴えません」と一筆書いてくれたら喜んで減薬に協力するよ、という医師もいます。いずれにせよ減薬は、患者さん・家族とお医者さんの協働作業なのです。

 
キーワード かかりつけ薬局
現在全国に約5万5千の薬局があり、年間7億6千万枚の処方箋が取り扱われている。しかし複数の医療機関から同じ薬が投与される重複投与や飲み合わせが悪い処方があるのでそのチェックのため国はかかりつけ薬局の整備を推進している。
 

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この記事へのコメント

抗認知症薬や向精神薬は1)~5)のどこに入るのでしょう?
5)長期予後との関連が明らかではない薬(脳循環改善薬や心筋代謝改善薬など)
でしょうか?
それとも、2)苦しみを和らげる薬(鎮痛薬や睡眠薬など)でしょうか?

一番先に減薬・断薬を考慮すべきは、抗認知症薬と向精神薬および睡眠薬であると確信します。また、これらは、漢方薬で置き換えることが可能であると確信します。

Posted by 匿名 at 2017年06月22日 02:13 | 返信

先日も、ある研修会であるお医者さんが「最近週刊誌などで、スタチン系が副作用が強いと宣伝するので、きっぱりスタチン系を飲まない患者さんが増えて困っている。薬を飲まないで困るのは患者さん本人ですからね。ほんとに『主治医とよく話し合って』くださいよ。」と言う内容でした。
私も高脂血症の家系でスタチンには悩まされています。
私の思い違いかもしれないのですけど、スタチン系(リピテル)を飲んで、おまけにファンケルの「健脂サポート」も飲んだら、いっぺんに右膝の激痛が復元しました。スタチン系だけならスタチン系、ファンケルの健脂サポートなら健脂サポートだけで試してみます。スタチン系だけだったら、膝の激痛は無いのかもしれません。

Posted by にゃんにゃん at 2017年06月23日 12:59 | 返信

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