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がんと自殺、認知症、そして緩和ケア
2017年06月28日(水)
先週末は横浜で開催されていた日本緩和医療学会に参加した。
会場で、新聞社から電話がかかり、麻央さんの訃報を知った。
気を取り直して上村恵一先生の「がんと自殺」の講演を拝聴。
会場で、新聞社から電話がかかり、麻央さんの訃報を知った。
気を取り直して上村恵一先生の「がんと自殺」の講演を拝聴。
がん患者の自殺をどう阻止するか。
レビー小体型認知症の人ががんと診断された後の自殺例が多い。
しかしアリセプトを上手に使えば自殺を回避できる場合がある。
しかしうつ病やパーキンソン病と誤診されて、SSRIや
抗パ剤を投与されたら、自殺を食い止められないかもしれない。
一方、意思決定支援がここでも花盛りだ。
「認知症と緩和ケア」(訳本)という古いけど良い教科書がある。
意思決定能力と認知機能と相関しない。
だからMMSEだけで意思決定能力が無いと判断するのは間違いである。
(しかし現実には、そんな馬鹿げた判断がなされているが)
そうではなく、意思が発揮できるようなできるような工夫が大切だ。
ちなみに私は昔から一貫して講演でもそう主張してきた。
ビデオを沢山使って説明すると皆笑うが、意味を理解しているのか。
MMSEが0点でも間違いなく自己決定できる人はいくらでもいる。
さて、
がん患者と診断された後の自殺に注意しておかないと。
そもそも日本人の2割は自殺を考えている民族だ。(内閣府)
しかし実際にはしない。(それでも年間3万人弱もいるが)
ハイリスクは
・診断1年以内
・病状の進行
・抑うつ状態
・男性
・所属感の喪失
・負担感の知覚
・遺伝的要因
深刻な希死念慮がある患者に精神科医はなんの役にもたたない。
自殺を妨害するむしろ敵として認識される。
希死念慮がある人に気がつくためには、医療者の第6感しかない。
そして可能ならば、を希死念慮を共有することが大切だ。
上村恵一先生の著書を一読することをお勧めする。→こちら
懇親会でお話をさせて頂いたが新進気鋭の優秀な先生だった。
せん妄に気がついたときはコントミン、ヒルナミンの注射がいい。
ただし副作用に気をつけるべし。
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この学会には毎年参加している。
一昨年は講演も依頼されたりもした。
1万人近くが参加する、とっても大きな学会。
ああ、この1割でも在宅に転向してくれたらなあ、と思った。
しかし基本的に病院の緩和ケアの会であり
在宅緩和ケア医から見たら、笑ってしまうような話が多い。
まあその滑稽さを味わう目的もあり、毎年ここに来ているのだが。
しかし在宅緩和ケアとの距離感は年々広がるばかりで深刻に憂う。
もうこれで終わりにしよう。
咋年、そう思った。
しかし今年も参加してしまった。
そして、その思いがより強くなった。
誰のための緩和ケア?
医療者の自己満足であっては決していけない。
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この記事へのコメント
こんばんは。ガンのサバイバーの方は口を揃えて告知後は頭が真っ白になったと仰います。どうやって帰ったかわからないという方もいますね。
10年以上前、福岡ホスピスの会のお勉強会に来て下さった先生から聞いたお話です。ガンの手術に成功した後、先生は患者さんから自分はガンじゃないのか。ガンだったら自分は僧侶なので大丈夫なので正直に教えて下さいと言われたそうです。ガンの手術に成功した事、患者さんも僧侶だった事もあり当時まだ患者さんには告知をしない時期だったにも関わらず先生はガンである事を伝えたそうです。翌日、患者さんは大学病院の屋上から飛び降りて亡くなられたそうです。それまで大学病院のバリバリの最前線で働かれていて日本でも成功例の数少ない手術にも成功して新聞に載られた事もあった先生はその事がきっかけで何かこれまで間違っていたんじゃないかと思い方向を変えられたと仰っていました。告知はする方もされる方もむずかしいですね。
Posted by 匿名 at 2017年06月28日 09:37 | 返信
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