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ケア会議を経て一元化で減薬
2017年07月26日(水)
産経新聞・減薬シリーズ第7回 24種類もの処方
ケア会議を経て一元化で減薬
今回は症例を示します。73歳女性。要介護2で独居。子供は息子と娘の2人でキーパーソンは関東に住む長男。狭心症、心筋梗塞、高血圧、糖尿病、認知症、変形性膝関節症、下肢閉塞性動脈硬化症等の病気があります。訪問看護師から「薬の管理が全くできていない人がいる」との連絡を受けて訪問してビックリ。なんと5つの医療機関から合計24種類もの薬が処方されていていました。
A内科診療所からはアムロジピン錠5mg、フロセミド錠40mg、バイアスピリン錠100mg、アテノロール錠50mg、アトルバスタチン錠10mg、オルメテック錠20mg、ファモチジン錠20mg1日2回、ハップスターID70mgが28日分、B整形外科診療所からはロキソニン錠60mgとムコスタ錠100mgが1日3回ずつを2週間分、C精神科診療所からはうつと不眠と認知症に対してデジレル錠25mg、ロヒプノール錠2mg、レンドルミンD錠0.25mg、塩酸ドネペジル5mgが30日分、D泌尿器科診療所からはウブレチド錠5mg、エブランチルカプセル15mg1日2カプセルが28日分、E病院からは糖尿病などに対してビクトーザ皮下注18mg、グリメピリド錠1mg1日2回、ロキソプロフェンナトリウム錠60mg1日3回、ジクロフェナックナトリウムSRカプセル37.5mg1日2回、ランソプラゾールOD錠15mg、プロチゾラムOD錠0.25mg、ベルソムラ錠20mg、フェロミア錠50mg1日2回を60日分と、合計24種類もの薬が部屋中に散乱していました。
その女性は自分なりに工夫して区分けしていましたが多すぎて管理できていませんでした。これらの処方は同一薬が先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック)として混在しているのですが、患者さんは違う薬だと思っていました。たとえば痛み止めとしてBクリニックからのロキソニンとE病院からのロキソプロフェンナトリウム錠は同じ薬ですがそう認識されていないので現実には2倍量を飲み出血性胃潰瘍ができていました。同様に睡眠薬として処方されていたレンドルミンD錠とプロチゾラムOD錠も同じ薬なのですが誰も気がつかなかったので2倍量飲んでいたことになります。もう1種の睡眠薬も加わり夜中のトイレ歩行時に転倒し、その打撲に対してもさらに痛み止めが追加されていました。またベンゾジアゼピン系睡眠薬の多剤併用による排尿障害が辛くて泌尿器科を受診したようです。糖尿病に対してグリメピリド錠1mg1日2回が処方されていたのですが実際には1日2回2錠ずつ服用していました。HbA1cは5.4%と低く、どうやら無症候性低血糖を繰り返していたようです。また血圧も98/56と低く、低血糖と低血圧が認知症の進行に拍車をかけていたようです。AクリニックとBクリニックとCクリニックは院内処方で、DクリニックとE病院は院外処方で、院内処方と院外処方が混在していました。結局、長男の希望で在宅主治医に投薬を一元化することになりさっそくケア会議が開催。ケアマネや訪問看護師らの多職種も加わり議論を重ね、2ケ月かけて徐々に減薬。現在は5種類まで減り元気を回復。服用時間は朝と眠前だけにしてそれぞれ一包化をし訪問薬剤師とヘルパーが見守りをしています。遠くの長男とは電話やメールで適宜相談・報告しました。
キーワード 訪問薬剤師
介護保険の居宅療養管理指導を担う薬剤師。薬局の薬剤師は処方箋にもとづいて医師または歯科医師の指示を受け在宅療養者の家を訪問する。ケアプランに組み込まれていなくても利用できる。
* 一部は「解消ポリファーマシー 上手なくすりの減らし方」(じほう)から転載
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この記事へのコメント
このケースで感じるのは、老年医学会が主体となり策定された高齢者の「糖尿病の治療のガイドライン」と「高血圧のガイドライン」を知らない医師が多いという事ですね。
私は、認知症を伴う高齢者の場合、HbA1cは、年齢÷10%を超えなければ良いと昔から考えていました。血圧も160~180程度であれば、無理な降圧は行わないようにしてきました。この二つのガイドラインで、。私の考えは異端ではなくなりました。
今もこのガイドラインを盾に、減薬に励んでいます。
病院時代は、すべての薬をやめて必要があれば、治療を行う問い事もやりましたが、減薬で大きな問題は起きなかったですね。
Posted by 小関 洋 at 2017年07月27日 03:09 | 返信
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