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多くの薬は体質改善までの一時しのぎ

2017年07月27日(木)

産経新聞・減薬シリーズ第8回は、減薬の基本について書いた。→こちら
「多くの薬は体質改善までの一時しのぎ」という持論を述べたが、
製薬会社から多額の寄付をもらっているエライ先生から怒られた。
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産経新聞・減薬シリーズ第8回  減薬の基本
                多くの薬は体質改善までの一時しのぎ
 
 今回は減薬シリーズのまとめです。後期高齢者への6種類以上のお薬の処方、つまり多剤投与はなにひとついいことはありません。その理由とは、1副作用リスク、2相互作用リスク、3転倒骨折のリスク、4認知症のリスク、5飲み間違いのリスクなどがお薬の数に比例して増大するからです。それ以外にも依存症リスクや医療経済などの社会問題もあります。しかしまずは個人の利益という観点から考えてください。あるいは現在、6種類以上の多剤投与を受けている高齢者はまずはお薬を減らす事よりも今後、増えない事を心がけたほうが現実的かもしれません。加齢に伴いあちこちに自覚症状が出ると新たな診療科を受診します。そしてかかる診療科の数だけ処方数が増えてしまいます。かかる診療科が増えないように、ある年齢からはむしろ集約することを考えたほうが賢明でしょう。たとえば要介護状態になれば何人かの遠くの名医より、いずれ在宅医療も提供してくれる近所の“かかりつけ医”に徐々にシフトしたほうが幸せかもしれません。いずれにせよ、多剤投与に至る背景とは、要介護状態後でも持続する専門医志向です。認知機能が低下したり要介護状態になるといくつもの医療機関に通院できなくなります。あるいは頑張って通院できたとしても、10~20種類もの薬を管理することが困難になります。後期高齢者は早晩そんな時期が来るので、多剤投薬なら減薬を想定しておいたほうがいいでしょう。

私が思う減薬の基本は、1自己判断で勝手に中止せず主治医とよく相談する、2薬に優先順位をつけてもらう、3いきなり中止ではなく徐々に減らすという方法もある、4合剤や貼付製剤を上手く利用する、5週1回や月1回タイプの薬に変更する、などです。多剤投薬が怖いといっても、たとえば心筋梗塞や脳梗塞の既往がある人がいきなりすべての薬を中止すると命に関わるので危険です。なかには利益が不利益を上回る多剤投与もあるので画一的に考えないことが大切。その人の持病、体質、要介護度、認知機能、日常生活そして人生観まで理解してくれる主治医やかかりつけ医との二人三脚の作業と考えて下さい。

最後に私が医者を志した動機を述べさせて頂きます。19才の夏、1年間の放浪生活を経て医学部に入りました。その動機はまさに「薬に頼らない医療」を目指すためでした。薬に頼りすぎて命を落とした身内の影響です。医学生になったその日から無医地区活動を行うクラブに入りました。高血圧が多い長野県の山奥の無医村に泊まり込んで減塩指導に6年間明け暮れました。当時から「もし薬を出すだけが医療ならば機械(コンピューター)でもできる」と思っていました。40年後、果たして本当に人工知能(AI)の時代になり自分の予感が現実のものになりつつあります。59歳になった今強く思うことは、「現代医療があまりにも薬に偏りすぎている」ことです。薬を出すためではなく、生活習慣病という言葉に象徴されるように偏った生活習慣を是正するための専門家として医者が存在するのです。間違ったクセは自分では気がつかないもの。ましてそのクセこそが病気の本質であることに案外気がつかない。だからその人の体質にあう食事と運動(歩行)をアドバイスして成果を出すことが医者の仕事ではないのか。そんな中、多くの薬はあくまで体質改善までの一時しのぎに過ぎないものだと確信しています。
 
 
キーワード 多剤投与
明確な定義は無いが6種類以上の薬が処方されることを多剤投与やポリファーマシーと呼ばれている。多剤投与により予期せぬ副作用、ふらつきによる転倒、認知機能の低下などの危険性が増大する。

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各医学会が、続々と薬の「やめどき」を発表し始めた。
エライ先生に嫌われながらも、確実に成果が出ている。

・抗がん剤の「やめどき」が論じられるようになり、
・抗認知症薬の増量規定が撤廃され適量処方が可能となり、
・降圧剤や糖尿病薬の「やめどき」が続々と発表された・・・

過剰医療に警鐘を鳴らしながら、
患者さんのための医療を模索する。

言うは易し、行うは難し。
しかし信じる我が道を行く。


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この記事へのコメント

主治医とよく相談するって言っても、多剤投薬やってる主治医が投薬依存症なんだからどうしようもない。患者の診療科が多いといっても、医者としてクスリを処方する意味がわかってる医者なら、あなたは他にどこを受診しているのですか?、そこでどのようなクスリが処方されているのですか?って、聞くのが当然ですよ。それを聞かないでクスリを処方する医者は、クスリの知識が無いのです。製薬会社の言う通りに処方箋を書いている。
あ、そうか、
他に飲んでるクスリを聞いても、それがどのようなクスリでどのような副作用があって、自分が処方するクスリとどのように相互作用が生じるのか、わからないのだ。その程度の医者が巷にあふれている。

Posted by 匿名 at 2017年07月27日 02:16 | 返信

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