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ああ、おひとり様
2017年08月01日(火)
私も含めて多くの人がいつの日か、おひとり様になる。
そして要介護になったり、認知症になったりで人の世話が必要な状態に。
今日も、独居高齢者の療養を巡るゴタゴタに振り回されていた。
そして要介護になったり、認知症になったりで人の世話が必要な状態に。
今日も、独居高齢者の療養を巡るゴタゴタに振り回されていた。
少し前まで通院で点滴を打っていた独居高齢者からSOSの電話。
往診すると会話は可能だが、軽い室内熱中症気味。
看護師さんが点滴をするとすぐに元気を回復した。
帰ろうとすると近所の民生委員さんが、鬼の形相で立っていた。
なんだか、悪人を睨めつけるような感じ。
「あんた、医者がこんな状態で放っておいていいの?
早く病院に入れなくていいの?」としつこく聞いてきた。
「おひとり様ですが、遠方にオイがいるようなのでその人と
相談しないと勝手に病院や施設に入れることはできません。」
遠くのオイに電話すると、仕事が忙しくてすぐには来れないという。
もし来れるとしても1週間先になると。
緊急性は無いのだが、携帯電話を教えた民生委員さんから何度も電話がかかる。
「こんなの放っておいて、あんたほんまに医者かいな」と暴言を吐くが我慢す。
病態は認知症と老衰で、採血結果はそう悪くない。
家の中のことはできるが、少し介護が必要な状態。
今度は地域包括支援センターから電話が入った。
「とにかく民生委員さんがうるさいのでどこかに入れて下さい」
そう言われて犬猫ではなく人間だから、本人の意思もあるし。
本人は「入院は絶対イヤ。ここに死ぬまでいる」とキッパリ。
結局、1週間毎日点滴してかなり元気になってきた。
そして1週間後に遠くのオイがようやくやってきた。
本人もオイも在宅療養を希望したので、本格的に在宅開始の約束をした。
しかしその後、事態は急転して、かなり遠くの病院から当院に電話がかかってきた。
「今から入院するので診療情報を送ってくれ」とのこと。
私たちは寝耳に水。
どうやら近所民生委員さんが強行に追い出して、地域包括→オイと連絡がいき
なんらかの理由でかなり遠くの病院に運ばれたようだが、なにも情報がない。
そもそも、民生委員と地域包括センターが勝手に入院(入所)を決めるので
医師はまったく関係無く、蚊帳の外もまま入院された。
その後、地域包括支援センターから介護保険の主治医意見書を書くようにと。
しかし遠くの病院にいるので、そちらで書いてもらうしかないのだが・・・
当院への支払いもなく、未収金となる。
在宅医療をやっているとまるでゲリラ豪雨のようにわずか1日で方針が変わることも。
民生委員さんは、「独居の人は在宅療養は100%無理だから、孤独死の前に
この辺から追い出して、病院か施設にいてもらない困ると」と信じ込んでいる。
話をしたが、そのひ人自身が認知症のようだ。
思いこみが激しすぎて、私の言うことには一切耳を傾けない。
遠くのオイも地域包括の人も、強引な民生委員さんには誰も反論できない。
こうして、ああ、ああ、と言っている間に長年の患者さんと不意の別れに。
実は10月21日に神戸三宮で「おひとり様の最期」というシンポジウムをやる。
そのテーマは、「おひとり様でも最期まで暮らせる街造り。看取りの文化の構築」
しかしこのような日々を過ごす中、こんなお題目が、夢物語にも思えてくる。
民生委員さんや地域包括の意識変革が必要だが、あの人たちを変えるのは無理。
また病院のスタッフや地域連携部の意識も変えないと。
家族や市民の意識も同様。
実は、遠くの親戚が皆無の完全おひとり様(無縁者)は100%最期まで家で過ごせる。
家族がいないので幸せな最期が叶う、なんて皮肉な最期を沢山診てきたから言えること。
みんなおひとり様、になる。
中には死ぬまで自分の家に居たいという人が必ずいる。
しかし最大の抵抗勢力は民生委員さんである。
だから元気な時から彼らと仲良くしておこう。
PS)
別のおひとり様の家に往診すると、今度は遠くの長女から電話が。
老衰のお看取りが近いのだが、高カロリー点滴か胃ろうの相談をしたいと。
案の定その長女は、医療関係者、だという。
医者と坊主は本人も家族も往生際が悪いのだ。
本人の希望や尊厳より民生委員や遠くの身うちの意思が優先するこの国。
実はそんな国は、世界中で日本だけのことで、厄介なことになっている。
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この記事へのコメント
「民生委員さんは・・・その人自身が認知症のようだ」の部分で、失礼ながら笑ってしまいました。
実は私の老母を少し前に有料老人ホームに入れたのですが、いろいろがひどかったので、1ヶ月で退居しました。数多くのトラブルを経験しましたが、入居して一番最初に気付いたことは、施設ケアマネが認知症だったことです。同じ話を延々と繰り返すのです。入居前の30分ほどの面接だけでは、見抜くことができませんでした。老母が認知症だから施設に入れたのに、その施設のケアマネが認知症だったというオチです。
町会の役員さんなどにも、明らかに認知症の方がおられます。社会全体が高齢化していることを実感します。
Posted by 通行人 at 2017年08月01日 03:09 | 返信
ほんとに…
地域包括システムってなんだ⁉︎…と言いたくなってしまう
おうちで穏やかに過ごせるはずだったのに
たった一人の不思議な勢力で とんでもないこと方向に向かってしまうと
虚しさだけが残る
それこそ ご本人は 望んでいない最終章を迎えてしまう
この責任は 誰がとるのか!
穏やかな人生の最終章を どうしたら迎えることができるのか…
そのためのサポーターになりたいですね
できない!できない!ばっかり探さないで
これなら できるかもしれない…を 探そうよと声をあげたい
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2017年08月01日 11:18 | 返信
ほんとに…
地域包括システムってなんだ⁉︎…と言いたくなってしまう
おうちで穏やかに過ごせるはずだったのに
たった一人の不思議な勢力で とんでもないこと方向に向かってしまうと
虚しさだけが残る
それこそ ご本人は 望んでいない最終章を迎えてしまう
この責任は 誰がとるのか!
穏やかな人生の最終章を どうしたら迎えることができるのか…
そのためのサポーターになりたいですね
できない!できない!ばっかり探さないで
これなら できるかもしれない…を 探そうよと声をあげたい
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2017年08月02日 12:03 | 返信
地域包括センターは、市区町村役場の福祉課(公務員)が国民・市民からの苦情を直接受けないようにするための仕掛けではないでしょうか。これは厚労省に限ったことではなく、他の官庁にも同じ仕掛けがあります。公務員に苦情を殺到させないという究極の目的のため、役所の奥の間で民間人を排除して開かれる秘密会議において、うるさい人の意見を通し、静かな弱い人にしわ寄せをし、あとは知らぬふりという解決は、社会の随所で観察することができます。
Posted by 通行人 at 2017年08月02日 02:00 | 返信
若い人も生きていれば嫌でも年をとるし、老人になる。
保育園では動く籠に入って散歩に行く、歩きたいのであればボケた年寄りもぞろぞろと散歩にでるのはどうなんだろう。散歩お手伝い(サポーター)と一緒に。
子供の頃、背中に住所と名前がでっかく書かれた布が洋服に縫い付けてあったおばあさんが
よくひとりで歩いていた。背中を見れば誰だかわかるので、散歩だなと、みんな普通に見ていた。
認知症というとなんかすごくいけない病気なような、ボケたんだねというと、そうかという気持ちになる。
小さな居室が並ぶ施設の建設を見ると、こういう所に閉じ込められてしまうのは嫌だなと思う。
とりとめもなく。
Posted by ヒヨドリ at 2017年08月02日 03:29 | 返信
ヒヨドリさんのコメントから「小さな居室が並ぶ施設の建設を見ると、こういう所に閉じ込められてしまうのは嫌だなと思う。」----- お気持ち、とてもよくわかります。そして、私の父も、同様の気持ちです。それを理解していて、私は父を「小さな居室」が並ぶ介護施設に「閉じ込めて」います。
理由は、父を直接介護する意思が私にはまったく無いから。
直接介護する意思が無いことを、誰も非難することはできません。直接介護は強制できるものではなく、誰にも被害を与えないので、「直接介護しないこと」は違法ではありません。
でも、父は自宅で生活したいのだから、そうさせてあげればいいよね、と、私も思います。なぜそうしないのか、
自宅で一人で生活できないからです。ヘルパーさんが来てくれても、コミュニケーション能力が無いから何をどうしてほしいのか説明できない。ひどく呆けているわけではありません。若いころから、仕事以外はすべて女房任せで、言葉で説明しなくても女房が要求を察し、自分の手足のように阿吽の呼吸で先回りしてすべてやってくれる、そういう生活をしてきたので「いちいち言わなくてもわかるはずだ」というお殿様なのです。
ですから介護施設に居ても文句ばかり言っています。
父「言わんかてわかるはずや」⇒私「〇○さん(父の奥さん)ならわかるかもね。私だってわからないよ。言われてもわからないかもよ。だってごにょごにょ何言ってるかわからないことがしょっちゅうだよ。」⇒父「もうええわ!!!(怒)」⇒私「そう、じゃ、私、帰るからね」⇒父「・・・」----- 面会に行くと毎回こんな会話です。
でも、ただひたすら「食べればいいだけ」にセットしてある3食の食事とおやつが出て、お風呂も「お風呂ですよ」と言ってくれば単に入ればいいだけ、洗濯もしてくれる、シーツも替えてくれる、居室やフロアの温度はいつも適温、中には気の合う介護師もいる、そういう生活なので、父は「まあ、・・・」と思って我慢しているのでしょう。女房は死んだ、娘は女房の代わりをしないと言い続けている、しょうがないかな・・・といった感じ。
父を自宅に一人置いて私が音信不通で知らん顔していると、遅かれ早かれ、近所からクレームが出て市役所へ通告され、どこかの施設か病院へ放り込まれる、そこの施設か病院でクスリを飲まされキチガイ状態を経て廃人となりクスリ漬けでよだれを垂らしながら死んでいきます。
それよりは、できるだけクスリを飲まずに緩やかに老いていくことが可能な、今の施設で生活することが、はるかに良い人生だと、私は思います。
私の人生を父のために破滅させることも無いし。
ヒヨドリさん、たとえば貴方様の隣人のオッサンが貴方の家の周り(あるいは部屋の入口付近)を、暑いからってパンツ一丁でウロウロしても、貴方様は大目に見れますか? 呆けてるからしょうがない、で済ますことができますか?
私はやはりイヤですよ。私はやはり、そういう人は施設で生活してほしいです。できるだけクスリを使わない施設で。
Posted by 匿名 at 2017年08月03日 02:13 | 返信
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