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なぜ"膵臓の時代"なのか

2017年08月02日(水)

産経新聞の連載は、新たに膵臓シリーズにうつることになった。
第1回は「糖尿病とがん・認知症、なぜ“膵臓の時代”なのか」で書いた。→こちら
できるだけ分かり易く書こうと思う。

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産経新聞・膵臓シリーズ第1回   糖尿病とがん・認知症、
                 なぜ“膵臓の時代”なのか
 
 「君の膵臓をたべたい」という本がベストセラーになり映画化もされました。きっと「膵臓」が大切な臓器だから小説のタイトルになったのでしょう。しかし「膵臓」がどんな臓器なのかイメージできる人は稀でしょう。私はかつて大阪大学第二内科の胃腸膵研究室という部署に属し「膵臓外来」を担当していました。また膵臓の病気のさまざまな画像診断も担っていました。だから「膵臓」という臓器を少しは知っています。今回からは、意外と知られていないけれどとても重要な臓器である「膵臓」について書きます。

 まず膵臓がどこにあるか知っていますか?そう聞かれて答えられる人は多くはないはず。正解は「胃袋の裏」です。「お腹」というより「背骨の上」と言ったほうがいいかもしれません。膵臓に炎症が起きれば多くの人は「背中が痛い」と訴えます。次にどんな形状をしているか、と聞かれたら細長いタラコのような格好です。あるいはウナギのようなイメージかな。頭(膵頭部)と胴体(膵体部)と尻尾(膵尾部)に分けられます。さらにどんな働きをしているのか。膵臓の働きとは外分泌と内分泌に大分されます。外分泌とは消化液(消化酵素)を分泌することです。アミラーゼやリパーゼを出します。これらの消化酵素が出ないと食物の消化吸収ができなくなり命に関わります。一方、内分泌とはインスリンに代表されるホルモンを分泌する働きです。もし膵臓を全部摘出すれば外分泌も内分泌機能も無くなるので人体は危機に陥ります。大量の消化酵素を口から飲んだり、インスリン注射でしっかり補給をしなければなりません。大学病院では膵臓がんで膵臓全摘後の患者さんの主治医として夜も寝ずにインスリンを補ったこともあり様々な学びがありました。

 インスリンを出す機能が低下すると糖尿病になります。糖尿病とは血糖が高くなる病気です。しかしそれはあくまで結果であり、膵臓から出るインスリンの量が少なくなったり出てもその働きが低下することが本質です。年々増加している糖尿病は誰もが恐れるがんや認知症と深く関与しているという事実は既に有名です。そう、糖尿病は万病の元です。

  お腹の中にある臓器といえば真っ先に胃や腸が浮かぶでしょう。その次は肝臓や腎臓でしょうか。その次は、と聞かれたら胆のうや膵臓でしょうか。これらの中で肝臓以外は全摘しても生きることができます。胃や腸は全摘しても大丈夫。腎臓は2つとも摘出しても人工透析という手があります。肝臓だけは全摘すると生きていけないので肝移植という方法が模索されます。では膵臓はどうか。前述したように消化酵素やインスリンを外から補充することでなんとか生きていけます。しかし大変煩雑な事態になります。

 町医者として油ものや炭水化物やアルコールを摂りすぎている人を沢山見かけます。皆様は胃や肝臓の障害を心配するかもしれません。しかし私は仕事柄、どうしても膵臓の障害を懸念します。慢性膵炎にならないか、膵臓がんにならないか、糖尿病にならないかが心配です。現代は膵臓とどう付き合うのかを問われている時代のように感じています。膵臓の障害で損をしない生き方を考えておく時代です。次回からは様々な膵臓病や膵臓に負担をかけないライフスタイルについて考えてみましょう。
 
 
キーワード 消化酵素
消化に携わる酵素の総称。タンパク質をアミノ酸に分解する酵素、炭水化物を単糖類に分解する酵素、脂肪をグリセリンと脂肪酸とに分解する酵素などがあり、多くは膵臓で作られている。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

PS)

昨夜は深夜に往診した患者さんが早朝に亡くなられた。
久々の朝焼け往診をした。

あまり寝ていなかったので、今日は眠いし、蒸し暑い・・・
昼間は眠かったのに、夜になると目が冴えるのは、うつ体質?

しかし、今日も深夜まで会議をしていた。
開業医は常になんだかなだと問題山積だ。

今日こそ、安眠するぞ!

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この記事へのコメント

「膵臓に炎症が起きれば多くの人は「背中が痛い」と訴えます。」--- う~ん、私の体調不良サインは「胃の裏」当たりの背中が重く鈍く痛くなるのです。市民健診レベルの血液検査では糖尿病やタンパク尿は無いのですが。今のところは柴胡桂枝湯を飲むと2~3日で治る。
尼崎に行って長尾先生にエコーをかけてもらおうと、いつも思っています。首も痛いから。

Posted by 匿名 at 2017年08月03日 02:38 | 返信

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