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ランゲルハンス島に負担ない食べ方

2017年08月16日(水)

産経新聞・膵臓シリーズ第二回は「糖尿病と膵臓」で書いた。→こちら
ランゲルハンス島に負担をかけない食べ方について考えた。
と言いながら、お盆なので故人を偲び、まだ飲んでいるが・・・
 
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産経新聞・膵臓シリーズ第二回   糖尿病と膵臓
                 ランゲルハンス島の負担を減らす
 
 糖尿病と聞くと血糖の病気という印象を持つ人が多いかもしれません。しかし私は膵臓の病気とイメージします。正確には膵臓のランゲルハンス島の病気です。1869年にランゲルハンスという名前の医学生がこの島を発見しました。島と言っても本当の島ではなく膵臓の組織を顕微鏡で観た時に島のように見える組織(細胞のかたまり)のことです。ランゲルハンス島の中にあるβ細胞からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは1921年に発見された100年近い歴史があるホルモンの代表格です。血液の中に入り全身を巡り血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉のなかに取り込む作用があります。取り込まれたブドウ糖は皮下脂肪やグリコーゲンという形に変えて貯蓄されます。血糖が高ければ分泌されるインスリンの量も増え、それに比例して貯蓄の量も増えるので体重が増えます。

 だから糖尿病にならないためには血糖値があがりにくい食品(低GI食といいます)を選んだほうが有利です。GI値が小さいほどインスリンが過剰に分泌されないので太りにくいのです。ブドウ糖のGI値を100とすると、白米は85、コーンフレークは75、おそばは54、玄米は50です。GI値が低いほど「スローな食べ物」とも呼ばれます。もし炭水化物を食べる時は低GI食にした方がインスリンの枯渇を防ぎます。つまりランゲルハンス島に負担をかけない食べ物や食べ方こそが糖尿病の予防や治療の本質です。加えて運動ですね。

 もうひとつランゲルハンス島に負担をかけない食べ方を紹介します。200gのショートケーキをペロリと食べた時を想像して下さい。ショートケーキは50%が水分でそれは身につきません。残りは炭水化物(1gが4Kcal)と小麦粉というたんぱく質(1gが4Kcal)とクリームという脂肪(1gが9Kcal)で、総エネルギー量は500Kcalになります。ショートケーキを食べた直後に貴方の体重はどれ位増えるか?それは質量保存の法則で200g増加します。では、1日後にはどれだけ増えるか?これは難しい質問です。答えは「その人によって違う」です。その人が1日の基礎代謝の2000Kcalの範囲内で500Kcalのショートケーキを食べたなら体重は増えません。しかし2000Kcalを食べた上に500Kcalを食べたのであれば体重は必ず増えます。必要以上にランゲルハンス島に負担をかけてインスリンが沢山出たため貯蓄が増えてしまうのです。つまり3食しっかり食べた上にショートケーキを食べるから太るのです。しかし2000Kcalの中に収める形で食べるのなら体重は増えません。

 最後に空腹時血糖が100mg/dl以下と正常でも食後1時間の血糖値が140mg/dl以上に上がる「血糖値スパイク」がランゲルハンス島に負担をかける話をします。血糖値が急上昇するとβ細胞がそれを感知してインスリンが沢山出てしまいます。もし野菜→肉や魚のおかず→ご飯(少し目)の順で食べると血糖値スパイクはおこりません。つまり同じ食事内容であっても食べる順番で太るかどうかが決まります。さらに同じ食事でも短時間でのドカ食いよりチビチビ分けて食べたほうがランゲルハンス島に負担をかけないのです。 

 今回、低GI食、オヤツで太る理由、そして血糖値スパイクを避ける食べ方を紹介しました。今食べているものが膵臓にどれくらの負担をかけているか。時にはそんな想像をしながらよく噛んで楽しく食べてください。
 

キーワード  低GI食
Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標。WHOは「低GI食品が肥満や糖尿病を低減させる可能性がある」と報告。70以上の食品を高GI食品 55〜70の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と呼ばれる。

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この記事へのコメント

空きっ腹で、半ちゃんラーメン定食や、お好み焼き定食、カツ丼はあかんってことですね・・
先生はちゃんと食事されてますか?

Posted by 竹山 at 2017年08月18日 03:01 | 返信

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