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8年間、ありがとうございました!

2017年09月27日(水)

8年間続けてきた産経新聞の連載が昨日で終了となった。
長い間、毎週ご愛読いただき、ありがとうございました。
朝日6年と産経8年、我が50代の新聞連載のやめどき。


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朝日新聞アピタルには2000日連続で毎日書いた。
産経新聞には、8年間、毎週書いた。

朝日と産経の両方に同時に連載した人はいない。
千日回峰回峰行を3回やったような気分である。

新聞の連載は、50歳代のいい想い出になった。

一方このブログはもうしばらく続けるつもり。
でも2位になったらやめよう、と決めている。

不要と思う人が増えれば、自然に2位になるのだろう。
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こんな雑記帳にどんな価値があるのか、自分では全く分からない。
新聞は仕事だったが、このブログはストレス発散が目的でもある。



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産経新聞・膵臓シリーズ第8回(最終回)  膵臓と生活習慣
                     8年間、ありがとうございました!
 
 膵臓について8回述べてきました。お腹のなかでも重要な臓器のわりにはいまだに注目度が低いことが気になっています。最終回は膵臓に負担をかけない生活習慣について考えてみます。膵臓の病気の大半はお酒や食事内容と密接に関係しています。特に強調したいのがアルコールとの付き合い方です。タバコは百害あって一利なしですが、アルコールは適量を飲めばまさに百薬の長。しかしアルコールに対する感受性は体質によって大きく異なります。それを処理する能力はあらかじめ遺伝的に決まっています。いくら飲んでも顔に出ない人はアルコール分解酵素を持っていますが、日本人では少数派です。反対の下戸も少数派です。大半の日本人は少し飲めるがすぐに顔が赤くなる“フラッシャー”と呼ばれる人です。しかしこの「少しなら飲める人」が膵臓や肝臓の病気や食道がんに対して一番危険なグループです。毎日飲み続けるうちに分解酵素が「誘導」されて飲める量が徐々に増えます。私自身もかつてはビール一杯飲んだだけでゲーゲー吐いていました。しかしあれから40年。自然とかなり飲める部類になり毎夜、なんとなくお酒が欲しくなります。これは危険な兆候ですが。幸い在宅患者さんからの夜間の呼び出しに備える関係上、自重する夜が多いのでなんとか助かっています。一般に晩酌習慣はアルコール依存症の第一歩です。よく「週2日は休肝日を」と言われますが、本当です。慢性膵炎や膵臓がんのことを考えるならば「お酒は1日おきで」くらいの気持ちでお願いします。

 食事に関しては糖質制限食や炭水化物制限食が糖尿病食やダイエット食として大ブームです。たしかに短期的には有効です。そもそも炭水化物のとり過ぎは寿命を縮めます。しかし制限しすぎも寿命を縮めます。要は「緩やかさ」と「期間」の問題です。私自身は「ロカボ食を期間限定で」と指導しています。炭水化物を制限しすぎると相対的に脂肪分の割合が上がるので膵臓の外分泌への負担を心配します。脂肪の過剰摂取により消化酵素に負担がかかります。胆汁酸がたくさん出るので大腸がんが心配です。一方、お米やパンや麺類の食べ過ぎは膵臓の内分泌、つまりβ細胞への負担が心配です。大切なことはバランス感覚です。食事もお酒も運動も何事もですが「極端」はよくありません。「適度」や「中庸」という言葉を意識してどうか膵臓を守る食事をしてください。

 さて、大変残念なお知らせですが今回をもって8年間続けてきたこの「町医者日記」は終了となります。平成21年9月に私の半生記を3回にわたり掲載頂いたことがきっかけとなり、気がつけば8年間も経過しました。一介の町医者がこんなに長期間、連載を担当することは極めて異例だそうです。新聞の医学記事はたいていその分野の権威が書かれます。しかし私は下町の町医者の立場からできるだけ患者目線の“物語”として書いてきたつもりです。町医者だからこそ、がんから認知症、大便から小便、睡眠から歩行まで縦横無尽に自由に書かせて頂きました。お世話になった産経新聞社の関係者の皆様、そしてなにより毎週、熱心に読んで下さった読者の皆様に深く感謝いたします。日々迫り来る「老い」と上手に付き合いながら健康長寿を目指してください。またどこかでお会いしましょう!
 
キーワード ロカボ食
緩やかな糖質制限食。低炭水化物「ローカーボカボレイト」の略からできた造語。摂取カロリーは減らさずに炭水化物の割合を6割から5割、4割と緩やかに減らす。極端な糖質制限は食事の幅が狭まるがロカボ食では幅は広い。
 

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この記事へのコメント

>千日回峰回峰行を3回やったような気分である。

すごいですね!お疲れ様でございました。

Posted by CASIO at 2017年09月27日 05:05 | 返信

長尾先生、お疲れ様でした。
「継続は力なり」 分かってはいても、なかなか続けられるものではありません。
私は介護職として認知症のことを学び続けて約10年になりますが、まだまだ知らないこと理解していないことばかりです。だから、「生涯学習」と位置付けております。

ある研究会で先生とご一緒させていただいた時、「(介護職としては)よく勉強しているね・・・」と言って下さったのですが、介護職等あらゆるコメディカルが学ばないといけません。個人のスキルもさることながら、医療介護連携では総合的なレベルの向上が必要です。

高齢者医療において認知症は必須ですが、今はフレイルをキーワードに研鑽中です。
「アラ冠」の私共ですが、医師もコメディカルも力を合わせて、ボケるまで頑張り続けましょう。

Posted by YOSHIKI at 2017年09月27日 05:22 | 返信

お別れメッセージには、元々弱い体質な私です。
昔、九州修学旅行中にお世話になったバスガイドさんに情が移ってしまい、
「長崎の鐘」の歌声に泣き、お別れの段になって号泣したのを覚えています。

八年を通じての連載作業、お疲れ様でした。
>町医者だからこそ、がんから認知症、大便から小便、睡眠から歩行まで縦横無尽に
>自由に書かせて頂きました。
とありますように、本当に、医療を我々庶民の身近かなものに置き換えて下さったのは
長尾先生でいらしたと言っても、過言では無いと思っています。
超高齢化社会を迎えた今となっては、老いと病が入り混じった、現実的な医療が
当たり前になりましたが、ほんの少し前、ついこの間、数年前までは、
医療は "高嶺の花" 的な、庶民のものとは少し次元が違うものであったと記憶しています。
長尾先生の生き方、人間力、死生観 = 生きる ⇒(我々に) 病む・老い・を生きる を
考えさせる、というような構図を定着させて、医療を庶民の身近に引き寄せて下さった、
のは長尾先生でいらしたと印象を持っています。
何かにつけて節目は付き物ですが、連載お疲れ様でした。
貴重なお話をありがとうございました。

P.S 先日、ジュリーの50周年LIVE に行ってきました。
自らを「じじー」と呼称するメタボなジュリーと共に
おばさん・おばあさん & おじさん・おじいさん となったファンが
繰り広げる、昔懐かしい LIVE 空間には感慨深いものがありました。
やはり、「共に生きる」を実感し、それでも変わらない歌声に感激した
ひと時でした。
人は共に時代を生きた、という実感こそ「生きた証」な気がします。

Posted by もも at 2017年09月27日 07:43 | 返信

長尾先生

はじめまして。
成年後見制度はビジネスか?という記事で初めて長尾先生のことを知りました。
見つけるのが遅すぎた~と感じました。
こんなに、物事の本質をずけずけと書いてくださる医師が日本にまだいらっしゃるんだと、
絶滅危惧種の勢いで感激しました。

超高齢化社会に突入している現在、先生のような医師がもっとたくさん必要とされているはずなのに、
現実はなかなかそうはいかないようです。

この雑記帳には膨大な価値があるように思うのは私だけでしょうか。
知りたいこと、本当の事、それが書かれている。
ネット上にはいろいろな情報があふれていますが、本当に知りたいことはほとんど書かれていません。
専門の文献検索には役立ちますが。

私は心理職で、これから介護関係領域でも活動も増えるのではと感じています。
様々な知識が必要な介護職。
先生の知識をこの雑記帳からいただくこともできると感じています。
先生のストレス発散は、読んでいる私のストレス発散になる時もあります。
なかなか、読み切れていませんが。

2位になったら辞めるなどと言わずに、ぜひぜひ、続けてください。
よろしくお願いします。

sue

Posted by sue at 2017年09月29日 03:33 | 返信

 7年半凄いです ありがとうございます。とても勉強になりました。父が亡くなったころに連載が始まり 母も楽しみにしていました。母も数年前に亡くなり、この7年半は薬業界 薬局薬剤師の世界も激動の時代でした。感謝です

Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2017年09月30日 07:44 | 返信

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