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かかりつけ医と地域包括ケア病棟の連携

2017年11月01日(水)

医療タイムス10月号は、「かかりつけ医と地域包括ケア病棟の連携」で書いた。→こちら
「地域包括ケア病棟」はまだあまり知られていないがこれからの大本命である。
この病棟を有する在宅療養支援病院が在宅医療の半分を担う時代が来るだろう。

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医療タイムス10月号  かかりつけ医と地域包括ケア病棟の連携  長尾和宏
 
 
 かかりつけ医の多くは、通院できなくなった高齢者を自然なかたちで往診している。在宅医療という体裁をとるならば訪問診療+往診となるだろうが、在宅療養支援診療所の届け出をしていなくても継続して診ていることが多い。かかりつけの高齢者が肺炎や栄養不良などで入院加療が必要になった時、どこに紹介すればいいのだろうか。高度急性期病院と開業医の連携が盛んである。それは7:1病院が生き残るためには開業医からの紹介や逆紹介が必須であるからだ。多くの開業医は紹介先は高度急性期病院だと考えてきただろう。

 しかし100歳の肺炎患者さんを高度急性期病院の呼吸器科に紹介する時に違和感があるはずだ。日本呼吸器学会が「治療しない肺炎」というガイドラインを掲げるなか、超高齢者をどこまで治療するのか、という命題が頭をよぎる。本来、そのような患者さんの加療は13:1の地域包括ケア病棟が担うべきであろう。地域包括ケア病棟の機能のひとつは在宅患者さんのバックベッドである。

 地域包括ケア病棟協会に加盟する病棟が順調に増えているという。これは開業医にとって頼もしいニュースである。しかし開業医や市民にとって知名度はまだ充分とは言えない。どんな機能を持った病棟なのかよく知らないという人も多い。地域包括ケア病棟では人工呼吸器を装着している患者さんのレスパイトケアや末期がん患者さんの緩和ケアも対応している。あるいは救急対応や大腿骨頸部骨折の手術も行っている。こうした病棟機能の周知が急務であろう。機能分化の視点からも高齢者の肺炎などの紹介先は、高度急性期病院よりも地域包括ケア病棟が当たり前、という流れに開業医も協力すべきだろう。今後、かかりつけ医と地域包括ケア病棟の連携が大きな課題になってくる。こちらの病診連携の方がメインになる時代が来るのであろう。診療所経営者は、今後どれだけ多くの地域包括ケア病棟と連携できるかを考えておかないといけない。

 ここからは勝手な近未来の予想図である。在宅医療の阻害因子のひとつに夜間対応の煩わしさがあげられる。過重労働のなかで研修医生活を送った50~60歳代の医師と、新臨床研修医制度のなかで育った30~40歳台では、夜間対応の難易度が違って当然だろう。全国どの地域をみても在宅医の高齢化が目立つ。平均年齢は60~70歳代であろう。10年後のこの国の在宅医療を考えた時、現状のままでは早晩立ちゆかなくなるだろう。私は200床以下の在宅療養支援病院の在宅機能に期待している。その多くが地域包括ケア病棟を有しているので患者さんにとっても安心である。在宅でも病棟でもどちらでも看取りができるのが在宅療養支援病院の強みである。一部の都市部では、在宅専門クリニックと在宅療養支援病院が競合していると聞くが長い目でみると棲み分けが進むだろう。在宅医療を担っている医療機関の大半が一馬力の診療所が大半であることを考えると、近い将来、診療所と在宅療養支援病院、診療所と地域包括ケア病棟の連携で地域の在宅ニーズを担うことになるのだろう。そのようなベクトルを意識した病診連携システムを構築することこそが地域包括ケアではないのか。「ほぼ在宅、時々入院」の入院先とは地域の地域包括ケア病棟であると理解している。
 
 

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この記事へのコメント

「地域包括ケア病棟」という言葉は初耳でしたが、こういう機能を持った病院があるとすれば、すごく頼もしい存在だと思いました。

Posted by CASIO at 2017年11月01日 05:53 | 返信

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