このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
キレない食事とは
2017年11月13日(月)
まだ警察のお世話になったことは無いが、
なんとかしないと上く世の中を渡れない。
最近、キレる人のニュースが多い。
・「ハゲ―」と叫ぶ元国会議員
・タクシー運転手を蹴る弁護士
・道路における通行上のトラブル
パーキングエリアでの駐車方法について注意を受けた若者が注意をした男性の車に対して
あおり運転をした挙句に追い越し車線において停車させ、結果として死亡事故を招いた例。
私もよくキレるほうだ。
正確に言うと、「だった」と過去形だ。
だんだん「キレる元気」が無くなってきた。
キレるのはまだエネルギーが残っている事。
咋年、大失敗した時は、実は糖質制限食3日目あたりだった。
それ以来、怖くて無理な制限はしないようにしたら元通りに。
キレない食事や生活習慣とはどんなものだろうか。
キレて失敗だらけの我が人生にはもう手遅れだが、もしあるのであれば、知りたいな。
そんな中、不公平な提案を受容するかどうかに食事の糖質/蛋白質比が関与している
という興味深い論文が発表された。(Proc Natl Acad Sci USA 2017;114:6510-6514)
FBで紹介されていたものだが、とても気になったのでシェアさせて頂く。
食事の栄養組成のありかた在り方を観点で考えさせてくれるデータである。
ああ、あの時、肉をたくさん食べておけば良かった
振り返れば、年に何回かそんな想いをしてきたなあ・・・・
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
研究のポイント1:最後通牒ゲームで不公平な提案の受容能力を検討
本研究はドイツ・リューベック大学の心理学教室・内科の共同研究チームによってなされ、
研究手法として最後通牒ゲーム(ultimatum game)という心理ゲームが用いられた。
最後通牒ゲームとは、2人がペアになって行うゲームであり、2人は提案者と判断者に分かれる。提案者には2人が得られる報酬の総額が提示され、提案者は任意の分配法を提案する権利がある。判断者には最初に提案者の顔写真がモニターに1.5秒提示され、次に2人が得られる報酬の総額(1.5秒間)、その後、提案者の提案(3秒間)がモニターで提示される。その後、その提案を受容するか、拒否するかを5秒間で判断する。判断者が受容すれば、2人とも提案者の提案に従って報酬を受け取ることができ、判断者が拒否すると2人とも1円も受け取ることができない。
例えば、総額1万円を2人とも5,000円ずつという提案であれば、ほとんどの判断者が受容するであろう。一方、提案者が9,000円で、判断者が1,000円という提案だと、ほとんどの判断者は拒否するに違いない。これが提案者が6,200円で、判断者が3,800円という提案だと、判断者の性格によって、拒否も受容もありうるであろう。こうした判断の相違は、個々の判断者の個性によっても支配されるが、それが食事の組成によっても影響を受けているかどうかを検討したのが今回の研究である。
本研究は2つのパートに分かれていた。パート1では、電子メールでの募集に応募した87人のリューベック大学の学生(54人が女性、平均年齢23.7歳、BMI 22.3)が対象とされ、それぞれ合計で21回の最後通牒ゲームを11~13時の間に実施した。初めの20回のゲーム(模擬ゲーム)ではランダムに公平な提案も、不公平な提案も、その中間の提案も含んで提案された。そして、最後の21回目に1回きりの試験としてのゲームを行った。この回では、総額が10ユーロ、提案者が8ユーロ、判断者が2ユーロという不公平な提案がなされた。
最後通牒ゲームの終了後、87人全員がその日の朝食の詳細な食事記録の提出を求められた。その日の朝食における糖質/蛋白質比と21回目の不公平な提案を受容する確率の関係性を見たのがパート1である。このパート1では被験者は朝食の摂取内容については何も指示されておらず、被験者が普段食べている内容にするよう求められていた。解析においては、被験者は朝食の糖質/蛋白質比率の中央値で2群に分類され、両群間で受容比率が比較された。
パート2では、同様に24人の男子学生(平均年齢24.6歳、BMI22.6)が対象とされ、それぞれ48回の最後通牒ゲームを正午に開始するというセッションを行った。そのセッション当日の朝に摂取する朝食は施設内で8時45分に摂取してもらうこととし、内容は以下の2種類の試験食のいずれかであった。
①高糖質/蛋白質食 850kcal:蛋白質10%、脂質10%、糖質80%(順に21.25g、9.4g、170g)
②低糖質/蛋白質食 850kcal:蛋白質25%、脂質25%、糖質50%(順に53.125g、23.6g、106.25g)
このセッションを7~9日の間隔で2回行い、2回目は1回目と異なる方の食事を摂取するというクロスオーバーデザインであった。
そして、このパート2では、48回の最後通牒ゲームを正午に開始する前に、被験者たちは表1のようなスケジュールで採血を受けた。
世知辛い世の中を寛容の精神で生きていくためには
とても興味深い研究である。これまでの最後通牒ゲームを用いた研究では、トリプトファンの摂取を急激になくすことにより不公平な提案の受容率は低下していたらしい(Science 2008;320:1739)。よって、トリプトファン→セロトニン系が寛容の精神おいて大切と考えられていたのである。一方、今回の研究では、トリプトファン→セロトニン系よりも、チロシン→ドパミン系が大切であることが示された。今後の脳生理学?(精神生理学?)に新たな光を照らすものであり、関連の基礎医学の先生方にとっては特に興味深いことであろう。
一方、私にとっては、今回の低糖質/蛋白質食で不公平な提案に対する受容能が高くなることが、低糖質に由来するのか、高蛋白質に由来するのかが知りたいところである。低糖質・高脂肪食(蛋白質比率は今回の高糖質/蛋白質と同じ10%)にしたときのデータを知れば、どちらが重要なのか分かるであろう。私自身は糖質制限食を推奨している人間ではあるが、血中アミノ酸組成が関わっていることから考えると、低糖質よりも高蛋白質であることの方が重要なのだろうと思う。実際、研究者らも、今回のデータをそのまま糖質制限食に当てはめないようにというような注意書きをしている。
また、今回の研究では、ハム・カマンベールチーズ・クリームチーズなどが主たる蛋白質源であった。高蛋白質食が寛容な精神につながりうるとして、その場合に、今回の研究で用いられたような動物性蛋白質でない場合でも同じ結果が得られるのかも知りたいところである。鶏由来、魚由来、大豆由来といった蛋白質源での検討もしてもらいたいと思う。
なお、この論文の問題点も感じる。1食の蛋白質摂取が50gを超えるとなると、1日の蛋白質摂取が150gを超えることになる。一般的な日本人の蛋白質摂取が体重1kg当たり1.0~1.2g、われわれの施設で緩やかな糖質制限指導をした後の糖尿病患者の蛋白質摂取が体重1kg当たり1.6gである。これらと比較して考えると、1食50gの蛋白質摂取は、日本人ではまず不可能と思われるのである。
こうした点を踏まえ、この世知辛い世の中をわれわれが寛容な心で生きていくための食事法というものの研究を進めてもらいたいと願うところである。
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
「最近の子供が、切れやすいのは、ちゃんと家庭で食事が与えられないからだ」とは聞いたことがあります。でも一体何の栄養素が大事なのかはよく分かりません。
切れる子は、リン酸Pの入ったスナック菓子ばかり食べているとか、よく勉強にできる落ち着いた子供は、いわゆるお袋の味というか、朝食もご飯とみそ汁と、焼魚と煮野菜や納豆などたべているのでしょうか。
若い女性の月経時には鉄分が不足してイライラするというから、鉄分も影響しているのかも。
更年期でイライラするのは、ホルモンが激変するから。
睡眠不足でも、いらいらします。
「切れやすい食事、切れにくい食事」とは何か、よくわかりません。
でも市役所なんかで、頑固で物分りの悪いおじさんの対応には、私も切れます。
Posted by にゃんにゃん at 2017年11月13日 10:10 | 返信
すっかり忘れていましたけど、テタニーで、カルシュウム不足で情緒不安定になった鍼灸師がいました。
甲状腺機能亢進でもイライラします。
仏教でも精進料理で、動物性食品も出汁も使わないのは、イライラを抑える為なのでしょうか。
糖質制限で、穀物類を制限して動物性蛋白質を、多くとると、あるいはイライラする時もあるかもしれませんね。
あるお医者さんが、「塩は、いかん!」と宣言して家庭でも塩を制限したら、坊ちゃんが、全く元気がなくなって、勉強もしない、遊びもしない子供になっちゃったので、ある程度は塩を取らなきゃ、動けないと仰っていました。
オリンピック選手などは、塩味の濃い食事でないと、闘う気力がでないそうです。
肉体労働は汗で、塩分が出てしまうそうです。
京都のお公家さんとか、事務系統のデスクワークばっかりだと塩を要らないのでしょう。
逆に言うと、塩を取りすぎると、血圧が上がって、イライラするかもしれません。
すみません、こんな事しか分かりません。
Posted by にゃんにゃん at 2017年11月13日 05:46 | 返信
約10年間、栄養療法を家族で実践しています。娘が精神疾患がありますが、おかげで大変体調が安定しています。(精神科の薬と併用です)
最近、新しい講座が始まったので、あらためて動画で勉強しています。「オーソモレキュラー・ニュートリション・サポーター養成講座」といい、専門的な知識のない人でも勉強できる講座です。
それによると7つのコンセプトに基づいているとのことなので、引用してみます。
1.タンパク質、ビタミン、ミネラルの確保
2.脂質の重要性とバランス
3.血糖コントロール
4.食物繊維による腸内環境整備
5.アレルゲンへの対応
6.アルコール、カフェインの明と暗
7.加工食品、食品添加物への留意
私は理系の人間ではないので、難しい事はわかりませんが、低糖質も高タンパク質も同じくらい同時に重要だと習っています。そしてタンパク質は動物性タンパク質が一番効果が高いとのことでした。
Posted by CASIO at 2017年11月13日 11:34 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: